ドイツ:難民の間で広がるキリスト教への改宗(2)
2016年07月11日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ドイツで広がる難民の改宗 信条の自由を保障する国における個人的な試み(2)
【ベルリン:イーマーン・ムルーク】
■お互いの恐れと疑い
この〔教会を通じた難民支援プログラム〕活動の雰囲気と難民たちの印象について、今回の取材の調整責任者であるマリアン・ハンケ氏は、DWアラビックにこう語った。「最初、一部の難民たちの表情に恐怖や不安の徴が現れていることに気づきました。特に活動は教会の中で行われているので、彼らの多くが初めて教会に入ることに対して、不安に思っていることは明らかでした。しかし初めてのミーティングでは、大変良い雰囲気になって、お互いに良い印象を残すことができました。」
ハンケ氏が語ったこの恐れは、イスラーム・コミュニティ内部の一部の難民たちの間で続く論争の中でも明らかになってきた。特にドイツのメディアがこの問題を、イスラーム教徒難民のキリスト教への改宗と結びつけて報じてからは一層顕著になっている。
イスラーム学の研究者であり、モスクにおけるイマーム養成責任者でもあるアリー・オズディール氏は、教会の支援を一般にポジティブなとらえ方をしている難民がいることを認めつつ、モスクも支援活動を行ってはいるが、教会に比べてできることは限られていると述べた。彼はこう付け加えた。「キリスト教への改宗問題について、イスラーム・コミュニティの内部ではキリスト教徒の側からの布教の試みに対して批判の声が上がっています。しかし、そこには重要な問いもあります。キリスト教徒に改宗した難民たちは、そもそもそれ以前には熱心なムスリムだったのでしょうか?」
そしてさらにこう付け加えた。「恐れや疑いの気持ちは、イスラーム・コミュニティの中だけではなく、教会の中にもあります。難民たちがキリスト教を受け入れることの決定の信頼性を疑う声も上がっています。教会は、難民たちが難民申請に関してより良い機会を得ることを望んでいるということは前から知っています。つまり、ここでは宗教は、目標を実現するための手段となってしまっているのです。」
(つづく)
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( 翻訳者:阿部光太郎 )
( 記事ID:40884 )