ドイツ:難民の間で広がるキリスト教への改宗(3)
2016年07月11日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ドイツで広がる難民の改宗 信条の自由を保障する国における個人的な試み(3)
【ベルリン:イーマーン・ムルーク】
■信仰と信条の自由を保証する国における個人の試み
教会は、社会の中での意見や立場の形成に重要な役割を果たしている。アレックス・ディーリッヒ氏の言葉によれば、教会は、難民支援に加えて、ドイツ人の間に難民を歓迎する文化を促進することや、様々な国々からやってきた新来者が抱く恐れを取り除くことに尽力している。アレックス氏は、キリスト教への改宗について難民たちからの個人的な試みがあることを否定しない。しかし彼はこうも述べた。「改宗に至るまでの道のりは長いのです。難民の方々が改宗を決めた後、最初にその本当の動機について追及します。それは難民資格や滞在許可を得るためだけなのか、それとも心からの望みなのか、ということが問題です。」
さらにこう付け加えた。「個人的には、私はこの教会でキリスト教に改宗したいと申し出る難民を見たことがありません。しかし、私は常々この問題に関しては注意深く対処した方が良いと思っています。一部の人たちが考えるほど、事態はそう簡単なものではありません。また、本当の動機が明らかになれば、行わなければいけないことがたくさんあります。まず、ドイツ語を学ばせ、キリスト教という宗教について説明し、改宗に際しての障害を明確にしなければいけません。しかし、我々のここでの目標はあくまで支援であり、難民を信徒として獲得しようしているわけでありません。」
ドイツのドルトムント市に滞在しているシリア人ムスリム青年のソフィヤーン・ハリール氏によれば、彼自身や同じくムスリム難民である友人たちは教会のいかなる立場の人からも改宗を勧められたことはなく、彼らに対する教会の支援は、一定の条件に従ったものであると感じている。ソフィヤーン氏はDWアラビックにこう語った。「ヨーロッパに避難しはじめた当初は、自分たちは死の波によってヨーロッパ海岸に打ち付けられるか、自分たちの教義や宗教上の思想を失うことになる、などと想像していました。けれど、ここに来てみると、教会が宗教の異なる人々に対して積極的な役割を果たし、ドイツ政府と同じように、難民への支援や保護、困難な状況を緩和する活動を行っていることに驚きました。」
ソフィヤーン氏は、キリスト教に改宗する人を何度か見たことがある。彼の意見では、それは、より良い生活とより早いドイツ社会への参加という特権を得るための個人的な事情である。「宗教と信条の自由を保障する国では、教会は、こうした個人的な改宗の試みに対して責任を持たないのです」と彼は言う。
(つづく)
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( 翻訳者:阿部光太郎 )
( 記事ID:40885 )