ヨーロッパ議会外交委員会委員長「ギュレン派テロへの認識新たに」
2016年08月30日付 Hurriyet 紙
ヨーロッパ議会(AP)のエルマー・ブローク外交委員会委員長は、トルコへの訪問後、ギュレン派テロ組織(FETO)に関するいくつかの認識を新たにすることを明らかにしながら、「このグループは10年間、ある種の秘密の同盟を発展させている。この方法で国の中に入り、軍と省庁でのこれらに関する状況が問題である。国と社会でシャリーアを適用させたいようである。この件に関して、注意しなければならないと私は考える。」と述べた。
ヨーロッパ議会外交委員会委員長のエルマー・ブローク外交委員会委員長とヨーロッパ議会カティ・ピリトルコ担当官は先週のトルコ訪問について話した。
ブローク委員長は開会のスピーチで、2013年からトルコで大きな衝撃があったことを述べながら、「ギュレン運動がしようとする事柄に関するサインがあった。私としては(トルコへの)訪問の後ギュレン派に関するいくつかの件について認識を新たにしたと言わざるを得ない」と話した。
■「軍内の数字も想定していたものより多かった」
FETOを「10年間ある種秘密の同盟を発展させているグループ」とするブローク氏は、以下のように続けた。
「この方法で国の中に入った。軍と省庁でのこれらに関する状況が問題である。軍の司令階級における(ギュレン派の)数も我々の想定していたものよりも多かった。ギュレン派は、システマティックにまず教育から手をつけ若者をターゲットに、インタラクティブな運動を形成した。国と社会にシャリーアを適用させることを望んでいる。この件に関して注意すべきであると私は考える。」
FETOが国に浸透したことを強調するブローク氏は、「軍においてアタテュルクの影響はもうない。軍の構造はその点で変わった。密入国業者対策を担当するはずの国境警備司令官らがギュレン派と手を結んでいた、と話した。2013年の同様の状況とはまた異なるとみている」と述べた。
クーデターの夜TBMMへの爆撃に言及し、ブローク氏は以下のように述べた:
「以下のことを頭に浮かばなければならなかった、このロケット弾のいくつかはTBMMで会議が行われた場所のたった数メートル先に落ちた。この攻撃によって国会議員125人が死亡する可能性だってあった。この攻撃は、国会議員をターゲットとしていた。ヨーロッパ議会(AP)でこのような状況が起きたら、あなた方はどう感じるだろうか?これについてあなた方は考えなければならない。例えば、現在会場にいる50人が爆撃によって死亡したら、どう感じるだろうか?フランス議会やイギリス議会が自国の航空機によって攻撃されるような状況が起きたら、どう感じるだろうか?問題をこの観点から考えなければならない。」
クーデターを起こした軍人たちはF16戦闘機を用いてレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領の飛行機を墜落させようとしたと述べるブローク氏は、この出来事は、「国内にあるパラレル国家による攻撃であった」と話した。
■「クルディスタン労働者党(PKK)、ISは市民をターゲットとしている」
ブローク氏は、ここ最近起きているテロ攻撃についても触れた。
同氏は「これらの攻撃はクルディスタン労働者党(PKK)、またISの両方によって行われている。これらのテロ攻撃は市民をターゲットとするものである」と述べ、これらのテロ攻撃がクルド問題解決プロセスに立ち戻ることを難しくしていると話した。
ブローク氏は、「PKKはEUのテロ組織リストに入っている。我々はHDPと近い関係はあるが、PKKとそのような関係はない。PKKはテロ組織であるものの、一種の関係は作らなければならず、そのためにHDPは重要な役割を果たすかもしれない」と位置付けた。
■PYD/PKKにユーフラテスの東に関し注意
トルコのシリアにおけるテロ組織に対して始まった軍事作戦に関して評価するブローク氏は、軍事作戦が始まった日、自分たちや、アメリカのジョー・バイデン副首相と、イラクのマスード・バルザーニ北イラク・クルド人自治政府大統領はトルコにいたことを指摘した。
特にバルザーニ大統領がトルコにいたことに注目がなされなかったと話すブローク氏は、トルコはISに対して現在もっと影響力ある形で軍事作戦をしている、と強調した。
PKKのシリアにおける関係組織であるPYDがシリアでさらに進攻しないようにしなければならないと明らかにするブローク氏は、以下のように続けた。
「トルコ-シリア国境の400キロにわたる土地は現在クルド人の手にある。クルド人はもともと、ユーフラテスの東に留まるべきである。クルド人は空いた土地を使い勢力の空白地帯を利用し、ISに対する軍事作戦で自分たちの土地を拡大しようとしている。これは、トルコとシリア国境のすべての土地をクルド人の手に渡すことを意味する。その地域に住むアラブ人は、クルド人の下で暮らしたくない。トルコも軍事作戦を単独で行っているわけではない。この地域に住む人々と活動しているのである。」
■「発言において後退しなければならない」
難民問題にも触れるブローク氏は、「私は決してトルコがヨーロッパをゆすっているというような印象は持っていない。私は発言を後退させるべきだと考えている。もし、より柔らかい発言をし、我々の利益を考慮すれば、より合理的な状況になるだろう」と述べた。
ブローク氏は、トルコとポジティブな関係を築いていくことが必要だと示しながら、「戦略地政学的な面から、トルコは我々の側にいることは、他のキャンプにいることより大変重要である。これはEU加盟問題と関係はない。誰も我々に、『それをやらなければ難民協定を破棄する』とは言っていない。トルコは難民協定を受け入れていると考えている」と話した。
■トルコ人のヨーロッパへのビザなし渡航
トルコとのビザ免除は問題の一部であると述べ、ブローク氏は以下のように話した:「この件に関しては来週以降、もしくは10月の初めに話し合わなければならない。ビザ免除に関する事柄は規定の枠組みの中で進められている。残る5つの問題のうち4つは大きな問題ではない。
テロ対策法の変更に関しクーデター未遂事件の後に一つ問題がある。これに関連するロードマップについて議論を行わなければならない。問題を解決するために建設的な姿勢を示さなければならない。プロセスを少しずつ前進させていく必要がある。
トルコはこの4年間で、250-300万の難民を受け入れたことを強調するブローク氏は、「どの国がこのようなことをしたのか?これは難民問題において大変重要な事柄である。いくつかの国では100人以上の難民が来た。トルコの南部では人口の20-30%が難民の街がある。スロバキア政府やドイツ政府はこれらに対しどのように協力することができたのか?この件に関して我々は自身に誠実である必要がある。もし難民らが良い状態でトルコで住み続けたいのであれば、この負担を分ける妥当な行動をとらなければならない」と述べた。
■我々は過小評価していた
ヨーロッパ議会(AP)トルコレ担当官カティ・ピリ氏はスピーチにおいて、今回の訪問では政府関係者とだけでなく、野党や市民団体、ジャーナリストとも会談を行ったことを明らかにしながら、「私に言わせれば、クーデター未遂事件のトルコ社会へのトラウマティックな影響を少なく見積もっていた。クーデターがもともと計画されていた深夜3時に起こっていたら、全く別の結末を我々は見ていただろう。」と話す
FETOメンバーが軍や政府に浸透していたと述べるピリ氏は、以下のこと話した:「私は軍に多くのギュレン派がいるとは考えていなかった。しかし、司法と警察に入り込んでいることはトルコまたトルコ国外でもよく知られていた。クーデターを行ったといわれる人々は、ギュレン派支持者であったとみられている。ここでの問題というのはこれだ:これは上から指令されて計画されたものなのか、それとも個人によるものだったのか?軍で1200人のギュレン派の排除が取り沙汰されていた。この手続きは8月にされる予定だった。これもクーデターを引き起こす要因となったのかもしれない。
クーデターのあと、主にFETO派の人々が逮捕されたり、もしくは職を追放されたりした、とピリ氏は話す。この騒動で、クーデターに全く関係のない人々も職を奪われたことについて話した。クーデター未遂に対する自分たちの反応は遅くはなかったと擁護するピリ氏は、「オランダの報道で、247人の市民が殺されたと報じられたが、それ以上にこれが偽りのクーデターであるとの報道が行われた。間違いはこれである、と私は思う。もちろん、クーデターをすぐに非難してはいるものの、このクーデターのトルコ社会への影響を知らなかった」と述べた。
EUのいくつかの国に住むトルコ人が示したFETO支持者に対する反発に関してもピリ氏は話し、「トルコはEUのメンバーになるために努力している。EUは、トルコのものではない。そのため、我々が候補国であるトルコの抱える問題に干渉しないことは合理的である。トルコは自ら望んで交渉をしているのである。これによって、国内問題に介入することは正解である。しかし残念ながら、多くの国で次第に圧力が増している。それらの国々に暮らすトルコ人マイノリティーは落ち着かなければならない。トルコでの出来事を我々の国に反映させないことが必要である」と述べた。
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( 翻訳者:内山千尋 )
( 記事ID:41140 )