アムネスティ「ディヤルバクル旧市街(スル郡)レポート」発表
2016年12月06日付 Cumhuriyet 紙


アムネスティ・インターナショナルによる「強制的に土地を追われ、財産を奪われた人々、スルの住民が家に帰る権利」と題したレポートが、昨日ディヤルバクルにて行われた記者会見で発表された。

スルを離れた26家族と市民団体、そして役人との話し合いで準備されたレポートでは、合計4万人もの人が地区を離れざるを得なくなり、また外出禁止令が施行されている地区で暮らす2万4千人も、ほとんど全員が家を離れたことが述べられた。

アムネスティ・インターナショナルのヨーロッパと中央アジアを担当するジョン・ダルフュイセン氏はこう語る。
「悲惨な状態にある重要な問題を解決したい。このレポートは何万人もの人に関係している。アムネスティ・インターナショナルは、去年、政府が深刻な治安問題に直面していたと認識している。対立に対して、国は何かしら対抗策を講じなければならなかったが、それは信じられないほど不均衡なものだった。
この対抗策の規模と、その一計画として家々が壊されたことは、不均衡さのしるしだろう。我々は、これは集団懲戒のため以前から準備されていた計画のひとつだろうと考えた。そして、この6カ月の間、この考えを翻すようなことは起こらなかった。」

ダルフュイセン氏は、強制的に土地を追われた人々が、家々に戻ることが必要だと指摘し、「人々が家に帰るための条件は、まだまだ見通しが立っていないといえる。トルコ当局が、強制的に家を追われた人々に対してプロジェクトを考案するのは今からでも遅くはない。これを優先事項とするべきだ。何万人もの人の人生が混乱していることに我々は言及しているのである。このようなことを受け入れることはできない。トルコは、人々が生活する場所へ帰る権利に対し、敬意を示さなければならない。今トルコ当局がこれに対して敬意を示していないのは明らかである」と述べた。

また、アムネスティ・インターナショナルのトルコ調査員、アンドリュー・ガードナー(Andrew Gardner)氏は、「我々の第一の仕事は強制的な移住を説明することである。外出禁止令は専横的な施策だ。移住後に、人々の経済状況は悪化した。残してきた家もひどい状態にある。彼らは家賃を払えず、家具のない家で暮らしている。県が家賃を援助している家族もいるが、十分ではない。家に戻ることは人間の権利である。今こそ、人々にこの権利を認める時だ」と述べた。

■スルでは1750棟の家が破壊された。

また、ガードナー氏は、スルでの外出禁止令が1年にもわたって施行されていることを指摘し、こう語った。
「外出禁止令が住民帰宅の最大の障害となっている。スルの住民は状況に関する情報さえ持っていない。我々の助言としては、人々に家に帰る権利を認めることである。南東での何万もの強制移住の犠牲者に対し、帰宅権利が確保されなければならない。この地域の人々に、本当の賠償金が支払われなければならない。そして、外出禁止令による権利の侵害に対し、包括的な調査が行われなければならない。公的な数字によると、スルでは1750棟もの家が破壊されたが、今後さらに500棟の家が破壊されるだろう。知事の発表によると、これらの家々が大きな被害を受けているという。」
レポートでは、治安部隊が戦闘の際、戦車や重火器を使ったと述べられており、トルコ人権財団がまとめた情報によると、2015年8月から2016年8月の期間、外出禁止令が宣言された地区や郡では、武器を持たない地元民321人が命を落としており、そのうち79人が子供だったと述べられた。レポートでは「当局は、スルで行われている作戦の間、武装した65人の葬儀が行われ、68人を逮捕したと述べた。しかしながら、外出禁止令が適用されている居住区で殺された人の中には、銃撃戦に参加する可能性のない幼い子供と老人もいた」と報告されている。

■レポートの見出し

―スルの住民が地区を離れざるをえなくなった理由として、電気と水道が頻繁に止まり、食料の調達が滞ることが挙げられている。

―スル住民の大半は、両親、もしくは子供のうちの1人が、行商などの当局への登録対象外の業種で、社会保障なしに一馬力で働いて稼いだお金で暮らす大家族であり、難事に備えるような貯えがない。

―スルの住民は、スルで働いていた職場が閉鎖されたため、あるいは登録外の経済活動が、武力衝突と外出禁止令により崩壊したために、失業中であると語った。

―面会した家族のすべてが、何の財産も、家財道具も一切持たずに家を出たと話した。

―土地から離れた子供達の教育が妨げられており、学校に戻れない子供達もいる。当局は、子供たちが教育を受け続けられるための一歩を踏み出している。県はアムネスティ・インターナショナルに、外出禁止例が施行されている6つの区画にある6つの学校に籍を置く4,784人の生徒のうち1,927人に対して、2016年6月以降、教育費のひとつである通学費が援助され、無料送迎が行われていると述べた。一方で、残る2,857人の生徒は新しい学校に籍を移したが、何の交通費用の援助もないという。このデータは、市民団体組織の説明とは一致しない。

―県の名で行われたアンケート調査は、郡の住民の95%がスルの国有化に反対であることを示し、さらに、ディヤルバクル弁護士協会が住民の抗議活動に法的支援を行っているにもかかわらず、たった15%の家庭しかこの決定に反対していないとしている。当局がスル国有化についてスル住民に何の情報提供も相談もしておらず、また、土地を追われた人々が新たな人生を歩もうとしている時に国有化が決定されたことは、スル住民が国有化の決定と、それがもたらす結果について何も知らなかったことを示している。

■他人が我が家に住み着いた

―レポートに記載された土地を奪われたスル住民の意見は以下の通りだ。
「家も希望も残ってない」
私はずっと貧困の中で暮らしてきた。唯一の持っているものはこの家だった。唯一の望みは息子を大学にいれることだけだった。今は家も、息子を大学に入れる希望もなくなった。

「ディヤルバクルの四方八方に散った」
親戚たちと一緒に、大家族として500人皆がスル郡で生活していた。毎日道で互いに会って話をしていた。今はディヤルバクルの四方八方に散ってしまい、電話でしか話せない。家具はすべて壊された。無事だったものは何もない。県庁へ行ったが情報は与えられず、どんな提案もなかった。

「家は略奪されてしまった」
私のように、持ち主が離れてしまった家のほとんどは略奪されている。中に入ることは不可能だ。家具などはすべて被害を受けた。失った財産と家具のために私たちには3000リラ与えられたが、これだけのお金では家に帰れない。家になにがあるかいまだわからない。誰かが勝手に、私たちの家に住み着いているらしい。そこに我々は行くことさえできない。

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( 翻訳者:西田夏子 )
( 記事ID:41714 )