イェニチャー紙に対して一昨日夜(8日夜)行われた襲撃に、政治家や報道機関から反発が寄せられた。共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首は、「この卑怯な襲撃行為の責任は必ず問われなければならない」と発言した。イェニチャー紙のイスタンブルにある本社や、アンカラの支局などにも支援の訪問が相次いだ。イェニチャー紙のイスタンブル県イェニボサ市にある本社ビルに対し、一昨日夜20時半頃、約20人のグループが襲撃を行った。理想主義の活動に近く、民族主義者行動党(MHP)に敵対する人々を支援する新聞社に襲撃を行ったグループは、「この行動の指揮者はデヴレト・バフチェリだ」というスローガンを掲げていたことがわかった。新聞社ビルの7階には、記者クラブや編集部で働いているスタッフらがいた。ガラス製のドアを破壊し、受付係が常在する場所まで侵入した襲撃者らは、受付や入口付近にあったデスクを破壊した。二人の警備員がエントランス階にある経理部門に入り、入口のドアを閉鎖した。襲撃者らはこのドアを消化器で打ち破ろうとしたが、開かないことがわかるとそのまま逃走した。
■「事件の真相が解明されることを待っている」
襲撃者らの容姿などを警察に届け出たと話したイェニチャー紙のアフメト・ヤブルオール最高経営責任者は、以下のようにコメントした。「襲撃者らが誰であるのかという情報は、私たちには知らされませんでした。しかし、われわれのMHP内部におけるスタンスははっきりとしています。党大会が行われる時期にこの襲撃が起きていたならば、誰がこんなことをしたのか、多かれ少なかれわかったことでしょう。しかし、現状は平穏です。ここ最近で、反感を買うような記事も出ていませんでした。大統領制の議論に関しても、私たちは野党側に立っています。これらの関連活動については、コラムに記載しています。今回の襲撃が誰によって行われ、そして何を目的として行われたのか、私たちにはわかりません。警察がこの真相を解明してくれることを待っています。」
■「暴力を選んだ」
CHPのケマル・クルチダルオール党首は、ツイッターで以下のように発言した。「トルコで、ある意見に対する敵意がこれほどまでに拡散することはこれまでなかったはずだ。イェニチャー紙に対して行われたこの卑怯な襲撃の責任は、必ずや問われなければならない。」また、MHP所属のユスフ・ハラチョール国会議員は、「今回の襲撃は、大統領制に関する議論に影響を及ぼすことになる。つまり、それを理由に暴力を彼らは選択したのだ」と批判した。MHP党本部からは、今回の襲撃に対するコメントの発表はなかった。ガーズィアンテプ県出で無所属のウミト・オズダー国会議員は、「おそらく、襲撃者らは大統領制へのお祝いのつもりだったのだろう」と発言した一方、スィナン・オーアン元MHP所属国会議員は、「今回の襲撃を非難する。これは理想主義派新聞への襲撃だ」と発言した。
■アクシェネル氏「臆病なやり方だ」
襲撃を受けた新聞社の被害状況が、昨日の朝、公開された。ビルの玄関や周辺の窓ガラスが割られ、受付の台は損壊し、監視カメラも破壊されていた。この襲撃の後、新聞社で働くスタッフや編集者らに、支援の電話が寄せられた。MHPのメラル・アクシェネル党首候補や、イズミル県のミュサヴァト・デルヴィショール前知事が新聞社を訪問し、スタッフらと面会した。ビル内を調査したアクシェネル氏は、以下のような要旨でコメントした。「この国で暮らす人々の命や財産、名誉、尊厳、そして生きる権利は、この国を統治しる人間に委ねられている。こうした類の出来事が、最近は非常に広まっている。報道機関に対する襲撃のほか、個人への攻撃も行われている。タイプが気に食わないからその人を殴る。女性に対する暴力も多い。おかしいだろう。この国を統治する人々を、私は任務へと招きたい。報道機関に対し、一体何度、襲撃が行われただろうか。私は強く非難している。これは卑怯で臆病なやり方だ。大統領制に対しみなが『イエス』と言うことが期待されている。こんな状況の中で一体誰が『ノー』と言う人々の権利を守れるというのか。」CHPのバルシュ・ヤルカダシュ国会議員も、イェニチャー紙のアンカラ支局を訪問した。
■報道機関ら「情報を得る権利への襲撃」
トルコジャーナリスト協会のコメント:「新聞社や記者らが常に標的とされている今の状況においては、社会的平和も守ることができない。報道機関に対する襲撃は、市民が情報を得て、真実を知る権利に対する直接的な攻撃だ。民主主義とは、異なる意見を許容する体制のことをいうのだ。」
報道協議会のコメント:「今回の襲撃や、これに類する多くの事件が、一刻も早く終結を迎えるよう捜査が行われ、そして加害者に値する人々に対して処罰が下されることを望みます。われわれ報道協議会は、トルコが近代的な民主主義国家であるという信念のもと、こうした弾圧は必ずや処罰されなければならないということを強く主張します。」
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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:41730 )