在アンカラのロシアのアンドレイ・カルロフ大使を死に至らしめた暗殺事件は、内容もタイミングも、極めて慎重に計画されたものであった。この襲撃について我々が意見を聞いた安全保障専門家、諜報関係者、外交官らは、この襲撃の第一の目標がトルコとロシアの関係(悪化)であることを指摘し、以下の点を強調した。
この襲撃は、トルコとロシア間の関係が具体的な協力の歩みによって強化されている時期に行われた。
両国は、アレッポでの人道危機を終わらせるために4日間に渡って厳しい駆け引きを展開し、肯定的な結論を得た。両者は対話を通じて(軍事的)後退を承認し、そのおかげで多数のアレッポ住民が無傷で戦闘地域から安全地区へと解放された。
両国はアレッポでだけでなく、シリア全域での停戦、ひいては政治的解決のための話し合いを続けてきた。トルコ側は、それがアサドでなくても、ロシアが支援する体制を対話者とするよう準備していた。外交官と諜報関係者からなるチームは(会談)前夜、朝まで作業していたのである。
トルコとロシアの関係平常化は、シリアに関する駆け引きの確実な進展と具体的な成果を通じて、より健全に進展していた。
■閣僚二人はモスクワへの途上
暗殺事件が起きた頃、メヴリュト・チャヴシュオール外務大臣はモスクワへ移動中だった。事件発生から二時間後には、フィクリ・ウシュク国防大臣がモスクワへ向かうことになっていた。アレッポでの進展、タイイプ・エルドアン大統領とロシアの指導者ウラジーミル・プーチン大統領による多数の電話会談が、アレッポで結実した。アンカラーモスクワラインにおけるこれらの対話は、シリア全体での停戦をもたらすであろうとの期待を生み出した。
■容疑者は何者か
今回の襲撃の後、いつものように、「背後に誰がいるのか」との問題が提起された。殺人者の身元は特定された。第一の可能性は、これまでのアレッポのニュースに怒りを感じており、属しているグループの報道とプロパガンダに影響を受けている者のひとりであるという見方だ。実行犯は死んでおり、これらの問いに答えることは難しい。しかし、これほどの緻密な詳細が明らかになると、この殺人がそれほど単純なものではなく、背後の別の「雇い主」がいるという解釈も同時に出てきた。ある当局関係者は、トルコとロシアの関係平常化がイランと「西洋諸国」(特にアメリカ)を不快にさせることを指摘し、「一般的な容疑者を捜索するなら、トルコとロシアの関係悪化を望むものに注目しなければならない」と解説した。
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( 翻訳者:岸田圭司 )
( 記事ID:41797 )