シリアでの「ユーフラテスの盾」作戦において成功を収めたトルコ国軍はいかなる軍事行動へも準備万端だ。「『ユーフラテスの盾』作戦の第一段階が終わり、次の段階がやってくるだろう」というエルドアン大統領の発言のあと、検討が行われ、シンジャール(イラク北部)が候補に挙がった。
タイイプ・エルドアン大統領が先日行った、カラデニズで「他の地域でもテロ組織を制圧するため、新たな作戦を練っている。」との発言は、トルコ国軍が「ユーフラテスの盾」作戦以降、国境を越えた新たな軍事行動の準備に入っているのか否かという疑問をもたらした。
ヒュッリイェト紙が信頼できる情報筋から得た情報によれば、地域でのトルコ国軍部隊はあらゆる軍事行動への準備が整っている。だが、この軍事作戦がどこで行われるのか、現段階では明らかではない。安全保障専門家たちは、アメリカとロシアの保護の下、シリアの複数地域で圧倒的勢力を持つPYDとPYGの支配下にあるマンビジュ(トルコ語名メンビチ)、アフリーン、コバーニー地域への軍事行動は、ワシントンD.C(米)とモスクワ(露)が協力をしないかぎり、一方的には実現不可能なものだと見ている。アメリカはラッカへの軍事行動でYPG支援を選択したため、トルコ国軍諸部隊がこれに加わることは論外である。
■ティラーソンのメッセージ
練られたシナリオについての議論では、イラクのシンジャールもしくはカンディルが候補に挙がっている。メヴリュト・チャヴシュオール外相は先週NATO会談に向かう際、飛行機での記者発表で、アメリカ国務長官レックス・ティラーソン氏との接触でシンジャールでの合同軍事作戦の話になったこと、「シンジャールに関して軍事的選択は必要であれば、ではなく必ず取るつもりだ、勢力がそこに存在する限り作戦を実行に移すつもりだ。いずれにせよカンディルは私たちにとっては『そこ』、PKKがいるところ、なのである。アメリカはこう言った、『シンジャールを含み、全地域からPKKが撤退し除去されることに関してはどんな場合にも備えている。あなた方と共に行動していこう』と。我らの首相、大統領どちらにもそう伝えていた」と話した。
■非常に重要な地点にある
テロ組織PKKが“新カンディル”を創ろうとしているシンジャールは、スィロピから約100km南にある。安全保障機関は、PKKがなぜこの地域を重要視しているのかについて以下に簡潔に挙げている。
・トルコ・シリア・イラクの3国にまたがる戦略的重要性をもつ
・基本的に山地となり、テロリストたちにとって、安全で守りやすい
・安全保障面で、PKKにとってカンディルほどではなくても、地理的に重要な場所である
・異なる民族、宗派をもつ地域で第一中心地となる状況にある
・PKKの人員確保において供給源にできる
・カンディルに行くのを恐れる“テロリスト候補たち”も、ここシンジャールはいくらか身近である。この理由はカンディルに比べアクセスが良いこと、万が一の際、組織から抜け出しやすい可能性があることにある。
・いずれにしても、完全にトルコの影響下にない。なぜなら当該地域ではアメリカの集中支援がPKKの安全を確保している状況であるからだ。
・アメリカが立案した訓練キャンプもシンジャールにある。そのためPKKは、トルコの戦闘機が地域で軍事行動を行う際に、トルコはアメリカと調整を行う必要があることを知っている。
安全保障専門家たちは特に、上記最後の理由で、シンジャールのためにアメリカとの交渉プロセスを経るだろうと見ている。このため一旦トルコ空軍による、再びターゲットとなるカンディルへの軍事行動計画がより現実的なものとなるだろうと明かされている。
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( 翻訳者:岩田紗知 )
( 記事ID:42416 )