アメリカのドナルド・トランプ大統領による、テロ組織PKKのシリアにおける支部隊YPG(クルド人民防衛隊)への武器供与問題を分析したエコノミスト誌は、アメリカの重火器供与の決定でもって、トルコとアメリカの関係が新たな危機に直面しているという見解を示した。
BBCトルコ語版が伝えた分析報道では、5月16日に予定されているレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領とアメリカのドナルド・トランプ大統領の会談が緊張状態になりうるとした上で、「ラッカ攻撃作戦に関して、トルコはイスラム主義の反体制派を推薦し、アメリカがシリア領内のクルド人との連合に固執する可能性がある」と述べられた。エコノミスト誌は、テロ組織PKKのシリア支部隊YPGを、アメリカはシリアにおける対ISISの「実証された貴重な仲間」と見ているが、トルコはYPGを「ISIS同様のテロ組織」と見做していると指摘する。
■最大の損害は関係性
PKKに対し、「YPGの母集団」という表現を用いたエコノミスト誌は、トルコ軍がイラクのシェンガルとシリアのカラチョク山を空爆した後、ロシアとイラクのクルド人自治区の示した反発に触れ、アメリカとの関係に関しても次の様な見解を示している。「しかし最も大きな損害はトルコの対アメリカ関係だ。空爆の直後、アメリカ軍は新たな衝突を防ぐためにクルド兵とともにトルコ・シリア国境で共同巡回を開始した。これにより、NATOに加盟する二国間の関係性悪化の懸念が取り沙汰されることになった」。ペンタゴン(アメリカ国防省)とアメリカ外務省当局もまた、対ISIS作戦で歩み寄りを見せず、シェンガルに配置された米兵を危険に晒したとしてトルコを批判した。
イラクに駐留する司令官らは、空爆の知らせが来た時には、実行まで1時間も残されていなかったと語る。エコノミスト紙は、「アメリカはイラク地域でのアメリカの『代理人』を攻撃したとしてトルコを批判し、またトルコは、『敵を武装させた』ためにアメリカに憤っている」と報じた。報道では、PKKがこの数年の間、トルコで多数の攻撃を行っており、南東部で何千人もの人々が犠牲になっているとも述べている。
「エコノミスト誌」の報道は次の様に続く。
「メフメト・シムシェキ副首相は、アメリカがYPGに供与した武器を、PKKがトルコで軍や警察に対し使用したとする多くの証拠があると発言した。ワシントン当局はアンカラ当局とは反対に、この二つの組織を別のものとして考えている。」
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( 翻訳者:山村 弥 )
( 記事ID:42641 )