コラム:テロリズムとシリア、そしてアメリカ⑵
2017年05月01日付 al-Hayat 紙

■アサドの「ダーイシュ」とアメリカの「9.11」⑵

【ムスタファ・アルーシュ】

我々は、ここで明白な諸般の事柄をきっちり再確認しなくてはならない。例えば、「ダーイシュ」は自派の法度と教義を適用する政治システムとして実在している。彼らは人々を家畜同然に殺し、首を吊るしあげ、遺跡を破壊する全世界にとっての真の脅威である。ヌスラ戦線も名前は変わったが、行動様式は変わっていない。

こうした様相について、広くは西洋、特にアメリカ合衆国は、政治的現実として捉えており、昼も夜もテロリズムに立ち向かう方法を考えることに没頭している。他方、西洋のジャーナリズムは、毎日、アメリカがテロリズムに対応しているというこの事実について、議論している。未だに、アメリカ政治をめぐる民衆の記憶は、アル=カーイダや「ダーイシュ」の名が出るたびに恐怖におびえているのだ。

このようにしてアサド政権は、崩壊しかけの過激派集団に依存するばかりか、可能な限り支援した。同政権は、西洋に対して、世界平和に対する過激派集団の危険性を説明するようになった。しかし、それと同時に彼自身が9.11をゲームやフィクションだと言ったことを忘れ、今や過激派集団を恐ろしい事実と述べ立てているのだ。

事態はこのように推移しており、また我々はその事態の真実を捉えておらず、さらにその深い思想的、文化的要因と対峙していない。したがって、「ダーイシュ」とアサド政権の崩壊は―いずれ起こることではあるが―私たちに「ダーイシュ」が他の場所で復活しないこと、アサドが新たな独裁の形態で復活しないことを保証するものではない。

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( 翻訳者:森本 瑠 )
( 記事ID:42663 )