ロンドン高層アパート火災、助かったトルコ人住民語る
2017年06月15日付 Hurriyet 紙


昨日(6月14日)、ロンドンで24階建ての建物で火事が起こり、少なくとも12名が死亡した。この火事は今日のイギリスの各新聞の一面となった。建物の21階で閉じ込められ、負傷しながらも自力で脱出し救出されたトルコ人タクシードライバー、シェネル・マジトさんが恐怖の時を語ってくれた。

BBCトルコ語放送が伝えたニュースによると、タイムズ紙が事件を「15分の惨劇」という見出しで報道した。目撃者によると火事はたった15分でマンション全体を包み込んでおり、マンション外壁の部材が原因である可能性があると報じた。

タイムズ紙は、炎が建物の外壁で最初は上に、そして風の影響で横に広がったことを示す写真と、目撃者らの火事がどう起こったのかについての証言も掲載した。

ある目撃者は、隣人の家で起こった火事を最初に目撃した一人だとして、「火事は台所で起こったみたいでした。ドアから見たんです。小さな火事で、隣人はその時消防を呼んで、荷物をまとめて、大きなバッグを持って外に出ました」と語った。
他の目撃者は、隣人の冷蔵庫が爆発したのだと話し、全員外に出ようとしていたと話した。
同紙は今回の火災は消防隊が直面した最も過酷な火災の一つだとし、通常ならば高層建築では防災機能により火災が起きても一部区間でせき止められるはずだが、昨日の事故では消防隊が「決して起こるはずがないため、指導さえなかった」燃え盛る高層住宅に入るという事態に陥ったと伝えた。

タイムズ紙は、火事の背景にある理由の一つは、市場の自由化による規則の撤廃にあるとしている。また、フィナンシャル・タイムズ紙は、「ロンドンで起きた致命的な火災の背後に安全性議論」という見出しを掲げた。

同紙によると、火事は、政府が遅らせてきた新しい建築物の安全規定を完了するために政府にかかる圧力を強めた。フィナンシャル・タイムズ紙は、ロンドンで2009年に6名が死亡した20階建ての建物の火災も外壁材が原因で延焼したことを指摘した。

「悲劇だ。恐ろしい。防ぎえた」という見出しをつけたi(アイ)紙は、火災から12時間後に救出された老人がいたと報じた。
同紙によると火事の後、地域住民が家が燃えた人々を支援し、衣類や子供のための玩具、毛布やお金を寄付した。

外壁材が火災を悪化させたという疑いを調査しているi紙は、建築会社が市場における最も高品質かつ不燃性の材料で外壁材を作っていると発表したと伝えた。

デイリーテレグラフ紙は、「起こるべくして起きた惨劇」と見出しを付けた。同紙によると、建物の住民には火事から逃れようとシーツで作ったヒモでマンションからの脱出を試みる人や、ゴミ袋や毛布カバーでパラシュートを作り、ビルから飛び降りた人もいたという。

また、無事救出された人々は、建物にかけてある「建物で火災が発生しても家から出ないでください」という警告を聞かなかったおかげで助かったとも報じている。

テレグラフ紙は、イギリス政府は1999年から外壁材の火災への影響について警告を受けてきたと書いている。
同紙は、外壁材と建物の外壁の間にできた空間が煙突効果を生み出し、火事の急速な拡大を助長した可能性を指摘した。

ガーディアン紙は、「警告は無視された」という見出しで報道した。同紙によると最も熟練した消防士でさえ火災の拡大速度に驚愕したという。

勤続27年のある消防士は同紙に、「未だかつてこんなものは見たことがない。頭上に落ちてくる破片から身を守るためにライオットシールドを上にして活動していた。全員小さな階段から出ようとしていた。我々が見たものは9.11のようだった」と語った。

■負傷しながらも救出されたシェネル・マジトさん、その時を語る

21階に閉じ込められ、建物で負傷しつつも自力で脱出し救助されたトルコ人タクシードライバー、シェネル・マジトさんが、惨劇の瞬間を説明してくれた。

ロンドンのロイヤル・フリー・ホスピタルで治療を受けているシェネル・マジトさんはこう語った。
「マンションには25年住んでいます。火事が起きたとき、私たちは家にいました。義兄が私に電話をかけて下に消防隊がいると教えてくれました。そして私に写真を送ってくれたのですが、写真には炎が映っていました。廊下に出ると本当に真っ黒な煙と熱を感じました。再び中に駆け込み、消防隊に電話をかけて何をすべきか訊きました。消防隊は私たちにドアの下に濡れた布を敷いて煙が中に入らないようにしなさいと言いました。『ガスマスクを着けた消防士を派遣して上から私たちを助け出してほしい、マスクがあれば煙の中を抜けられます』と伝えましたが、私たちは一時間半待たされました。その間に3度外に出ては家の中に駆け戻りました。さらに突然扉が閉まり、エレベーターも動きませんでした。私たちは階段から出ようと試みて、再び家に走ったところ、扉が閉まってしまいました。扉を開けるまで少しパニックになりましたが、それでも手でまさぐりながら開けられました。何といっても暗闇で何も見えなかったのです。再び家に入り、もう少し待機して、消防隊に電話をかけました。今度は消防隊の女性が、『階段から下へ降りるしかありません、誰もあなたたちのところに向かえないんです』と告げました。家の窓が爆発すると、私たちはもう他に術はないと思いました。階段で煙にまかれて死んでも、焼け死ぬよりは良いだろうと。私たちは助かるんだと言い聞かせながらバケツ三杯分の水をかぶりました。濡れたタオルで鼻を覆い、必死になってドアから燃える階段に身を投じました。階段の鉄の部分を掴みながら下まで降りました。下で何かを踏みましたが暗闇でそれが何があるかは見えませんでした。だって煙と暗闇の中なのですから。柔らかい人の体のようなものに感じました。」

■「助けられなかった、止まって助けたら私たちも死んでいただろう」

シェネル・マジトさんは、8階に降りた時に階段で気絶した15歳の女の子と出くわしたが助けることが出来なかったと話した。
「8階に降りると15歳の女の子がいました。寝間着で外に出て、階段で倒れてしまったようでした。残念ながら彼女を助けられませんでした。立ち止まって彼女を助けたら、私たちも死んでしまったでしょうから。妻と一緒に外に出ました。消防士たちが私たちの頭上にシールドをかぶせて建物から離れた場所へ誘導し、避難場所へ連れて行ってくれました。そして4人の消防士が、あの場所で倒れていた女の子を毛布で包んで連れてきました。彼女は重体でした。消防隊はそこで私たちに酸素マスクを提供した後、救急車に乗せて病院へ搬送しました。今私たちの容体は落ち着いています、この事件を乗り越えました。妻は私以上にパニックになっていたせいでかなりの煙を吸いましたが、もう回復しました。総領事の方が来て私たちを見舞ってくれました、本当に感謝しています。親しい友人や親戚が電話をくれ、病院に来てくれて、私は改めて自分は一人ではなく、この社会に属しているのだと感じました。アッラーが皆を祝福し給いますように。」

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( 翻訳者:市野太音  )
( 記事ID:42813 )