西洋追随に陥るアラブの学術研究(2)
2017年05月28日付 al-Hayat 紙


■アラブの科学を救うのは西洋の模倣ではなく知的批判の確立(2)

【マグディー・ユースフ】

■西洋は周縁化された者の長所を求める

個人的な経験談だが、カイロ大学でヨーロッパの6つの言語から翻訳した一連の本を出版することは容易であった。それに対し、専門的知識を要する様々な分野に従事する現代アラブの学者らが行なった研究の献呈本を、翻訳し出版することは困難であった。出版を拒否された本のタイトルは、『現代アラブの世界文化への貢献:アラブと西洋の対話』である。「エジプト国家翻訳プロジェクト」は、「西洋人向けで、我々アラブ人向けではない」という理由で却下したのである。

一方、西洋の有名出版社は、この本の出版を歓迎した。そればかりか、翻訳家に一連の本の英語翻訳の監修を委託したのである。これは、現代世界では周縁化された文化の貢献に関心を寄せるという見方に基づき、世界文化を再形成することを意味する。要するに、アラブの学術研究は、西洋諸国の科学研究に完全に従属しているようである。アラブでの科学研究は、単に西洋からもたらされた成果に過ぎず、基礎となる研究仮説のための知識の確立からは程遠い。最善の場合でも、アラブの知識の確立に関しては、西洋の理論のコピーの域を出ない。これは自然科学や芸術の様々な学派にも当てはまる。宗教学において先人の努力(イジュティハード)の反芻に終始するのと同様、西洋の知識の再生産で満足し、この繰り返しを「近代化」や「文明化」と呼んでいるのだ。

アラブ社会の文化的背景に馴染む真の知識を生成する代わりに、新たな追加も再考もなく、もう一つの「先進的な」西洋の再生産に逃げ込む昨今の悲劇が、アラブ世界に存在するのは明らかである。これは自然科学分野でも明らかに見られ、芸術や文学、社会科学などあらゆる学問においても同様である。

(3)に続く

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:二見咲穂 )
( 記事ID:42849 )