欧州議会は、憲法改正がコペンハーゲン基準に適さないことを理由としトルコの加盟交渉の凍結を勧告するレポートを承認した。トルコ政府は、「効力はない」と述べて反発した。
欧州議会(AP)は、欧州連合(EU)とトルコの間で2005年10月3日に始められた加盟交渉の凍結を勧告する法案という性質をもつレポートを承認した。フランスのストラスブール市に召集された欧州議会総会での638人による投票で、欧州議会対トルコ報告官、オランダのカティ・ピリ氏によって作成されたレポートは、否認64票、承認477票という結果受理され、97人の議員は棄権した。2005年から今年まで、EU機関は初めて一国の加盟交渉の凍結のため公式の招集を行ったことになる。
■理由は憲法改正
決定ではトルコで4月16日に憲法改正のために行われた国民投票の結果に原因を帰し、憲法改正法案が修正を受けず現状のまま施行する場合トルコとの加盟交渉を即刻かつ公式に凍結するため、28の加盟国と欧州評議会を招集した。
7月15日のクーデター未遂及びトルコで起こったテロ活動も非難されており、トルコ政府の責任者達は、法治国家及び公正な司法権の下で裁判を受ける権利と責任を持つことが明示されている。非常事態(OHAL)によりとられた措置が、基本的自由の保護及び多くの国民にとって、「大規模、長期的、不釣り合いかつ好ましくない影響を生み出した」という見解が記載されている。
最新の憲法改正でもって「権力の分立」の原則がないがしろにされ、コペンハーゲン基準から遠ざかったとされたレポートでは、PKK(クルディスタン労働者党)が再び暴力に訴えていることの他に、タイイプ・エルドアン大統領がEUの指導者たちを「ナチスに準えた」ことが非難されている。
初めてレポートに入った表現では、「トルコ政府がヨーロッパに存在するトルコ社会をコントロールしようとする危険性」が示され、そして「トルコ政府がこの態度を改めるよう」望まれている。
欧州議会レポートでは、EU加盟国にPKKのシンボルを非合法を求める文言もある。加えてロシアの協力で進められているアックユ原子力中央計画を放棄するようにとの要請もレポートには記載されている。
■勧告という性質
欧州議会が承認したレポートは勧告という性質を帯び、法的拘束力はない。欧州議会は、11月にも加盟交渉の一時凍結を要請したが、この際の勧告は12月に招集された欧州評議会では受理されなかった。交渉凍結の要請はEUの指導者らが構成する欧州評議会による承認を要する。欧州委員会での交渉凍結の意思表明は効力はない。
■オメル・チェリキEU担当相:レポートは返却
EU担当相兼交渉責任者のオメル・チェリキ氏は、レポートの承認後に行われた会見で、「欧州議会は、政治的性質を帯びる決定を発表した。レポートではトルコが今日まで行ってきたことは触れられていない。すなわち歴史的な出来事に関して一面的である。このレポートを我々は受け入れない。レポートは我々にとって無効で効力はなく、我々に届いた際にカバーさえ開けず、そのまま返却されることになるはずだ」と述べた。
外務スポークスマンのミュフトゥオール氏もまた、「この決定が我々の関係に良い影響がないことは明らかだ。欧州議会の無根拠な主張と中傷に依拠するこの決定は、EUの世評を傷つけており、この決定は我々の陣営にとって無効と見なされている」と反発した。
■ユルドゥルム首相:決定は無効
ビナリ・ユルドゥルム首相は、欧州議会の決定に反発し、「我々にとって、この決定は無効であり、有効性はない。EUは将来のビジョンを示さなければなれないし、トルコと本当に一緒に道を共にするのか、しないのかで、決定を下さなければならない。5月25日に正式加盟交渉プロセスの再開に向けた一カ月ものロードマップが設けられた。現在これに関する取組みはトルコ、EU共に続けている。もちろん議会は時々このような決定を下すこともある。我々が重要視するのは、EU執行部の方針である。そこで醸成される意思は我々にとって関係のあるものだ。」
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( 翻訳者:山村 弥 )
( 記事ID:42928 )