キプロス交渉、決裂
2017年07月11日付 Hurriyet 紙

イスタンブルで開かれた世界石油会議で昨日7月10日にタイイプ・エルドアン大統領はスピーチを行い、キプロス交渉が先週末に決裂したことをもって「大きなチャンスを逸した」と述べた。

実際、今回は誰もが合意の締結を期待していたも同然であった。北キプロス政府と南キプロス政府だけでなく、1960年の独立協定の保証国であるトルコ、ギリシャ、イギリスも数年を経て一堂に会し、国連事務総長の監督下でスイスも協議に参加していた。交渉は、現在南キプロス政府が合意を撤回したことで決裂した。我々が追跡調査できた限りでは、南キプロスの新聞社すらもニコス・アナスタシアディス大統領を非難している。

エルドアン大統領は、7月10日、この件にエネルギーの観点からアプローチした。周知のように、南キプロス政府は、キプロス島南部にある天然ガス層を経営するために、トルコのあらゆる反対にもかかわらず開発許可を出している。アメリカのノーブル社、イスラエルと共同経営しているデレキ社、そして最近はフランスのトタル社がこの許可状を有している。アメリカのエクソンモービル社、イタリアのエニ社、イギリスのBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)社、そしてイギリス・オランダ共同経営のロイヤル・ダッチ・シェル社といった巨大企業もキプロスのガスに関心を寄せている。

しかし、キプロスにあるガスの地層は、それだけで液化天然ガス施設を建設するには経済的でない。1つの方法は、イスラエルの沖にある天然ガスをパイプラインでキプロスへ送り、そこからギリシャを介してヨーロッパ市場にも送ることである。ただし、キプロス島とギリシャの距離は長い…。イスラエルの人々は一時期、キプロスからトルコにかけて設置されるパイプラインを使ってキプロスのガスとともに自国のガスをもヨーロッパに送ることが最短ルートであると言っていた。

キプロス交渉が和平という形で終結することは、この点、すなわち東地中海の平和と安全、さらに発展という点からも期待されていた。

エルドアン大統領が7月10日に「チャンスを逸した」と述べた際に、東地中海を強調した背景にはこのようなことがあったのだ。

同様に、「いくつかのエネルギー会社が南キプロス政府の講じている無責任な措置の一部となっていることは、決して納得できない」と述べた際も、この件について言及していた。スピーチ中の「新たな緊張状態を回避すること」および「トルコのような友好国を失うリスク」といった警告は、南キプロス政府が、トルコの反対にもかかわらず7月中に開発作業を開始しようとしていることに向けたものであった。

エルドアン大統領が「キプロスの資源が島の全地域のものであること」を求めたメッセージを出した一方で、聴衆らの間では、つい先頃までアメリカの資源メジャー・エクソンモービルの会長だったレックス・ティラーソン米国務長官の存在が重要であった。

アメリカ合衆国とロシアのエネルギー大臣に加えて、イスラエルのエネルギー大臣も7月12日に会議でイスタンブルにいると予想される。

しかし、キプロス交渉の決裂は、トルコにとって、少なくともエネルギーという側面と同様に重要なのは欧州連合(EU)という側面である。

トルコとEUの間の関係はすでに十分緊張している。先週、欧州議会は欧州評議会に加盟交渉の中止を求めた。アンカラは「決定は法的な拘束力を持たない」と述べており、この点は正しいのだが、その正当性は通達されたメッセージの厳しさや厳しさを減じはしない。ヨーロッパからトルコに通達されたメッセージは「貴国の民主主義は後退している」というものだった。

EUのトルコに対するアプローチはきわめて問題続きである。2004年のキプロス協約の不履行、2005年に全加盟申請国に対し全体的に開始される交渉が分節化され、2007年にメルケル首相とサルコジ元大統領が登場しトルコを排斥しようとしていたことは、不正義として挙げられるべきものの筆頭である。最近では、EUが7月15日クーデタ未遂事件に反対し、あとになって自己批判を行ったという曖昧な態度もこうした例として挙げられる。

当然ながら、7月15日以降の非常事態宣言によっていくつかの権利や自由が一時停止されたこと、政治家やジャーナリスト・作家らの逮捕、EUの原則がクーデタ未遂事件後に逃れた将校らを引き渡さなかったといった展開も、実際に関係を悪化させている。

この一方で、EUとトルコの間で2016年に調印された難民管理協定がもたらした義務がある。関係が完全に決裂しないようにし、さらにシリア内戦を理由に余儀なくされているのは、テロへの共闘の必要性である。

しかし、同協定によると、ビザの自由に加えて新たな交渉分野の開始も予測されていた。新たな分野の交渉開始にあたって、トルコの民主主義の質が落ちていること と同じく、南キプロス政府の拒否権も重要である。たとえば、現在おそらく最も話し合われるべき司法・権利・自由といった分野は、南キプロスの拒否権のもとにある。さらに、更新が予測される関税同盟の協定さえも同様である。

したがって、キプロス交渉の決裂は、エネルギー計画の点だけではなく、トルコ-EU関係の隔たりが一層拡大したという点においても重大な展開なのである。

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( 翻訳者:金戸 渉 )
( 記事ID:42958 )