ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長は、7月15日クーデター未遂から一周年を迎えたことを受けて文書を用意し、「ヨーロッパはトルコに向けて差し伸べた手をそのままにしておく」とし、トルコへの要望として、ヨーロッパとヨーロッパの基本的価値観に沿った態度を見たいと述べた。
ドイツの「ビルド・アム・ゾンダーグ」紙の日曜版に寄稿したユンケル氏は、(昨年)7月15日の夜攻撃に見舞われたトルコ大国民議会の議事堂と、負傷した人々の姿を今も覚えていると綴った。当時、クーデター未遂がどのように結論づけられるかはまだ分からない中、トゥスク欧州理事会議長とモゲリーニEU外務上級代表と共に滞在先のモンゴルからEUを代表して、トルコの民主的組織に対する攻撃への批判を表明した。また、トルコがEUへの接近を望んでおり、このためにビザの簡易化と関税同盟の深化に向けすべてが行われたと述べて、次のように続けた。
■死刑制度に対する警告
「EUへの加盟を望む国とは即ち、ひとつの価値観を持つ共同体の一員になろうとすることを意味する。ヴェルト紙のデニズ・ユジェル代表のように、起訴状のないまま何か月もの間、新聞記者が 独房で拘束される事態は、人権、報道の自由、そして法治国家の価値観を持つこのような同盟に全くそぐわないものだ。トルコが死刑制度を採用すれば、トルコはEU加盟の門を完全に閉じることとなる。」
ユンケル氏は、これについてエルドアン大統領と非常に率直な対話を続けていることを指摘し、次のように続けた。
「私たちが5月に行った直近の会合で、(エルドアン)大統領がヨーロッパに対し背を向けるのではなく、ヨーロッパとの接近を探っているのを私は確認した。エネルギー、安全保障、テロとの戦いにおいて協力を一歩一歩深めてゆくことについて我々には見解の一致があった。クーデター未遂の一年後、ヨーロッパの差し伸べた手はそのままの状態である。私も今、トルコがヨーロッパに賛同する態度を明白にし、ヨーロッパの基本的価値観を尊重し、耳を傾けることを期待している。」
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( 翻訳者:成田健司 )
( 記事ID:42997 )