差し止め裁判は鈍足、グリーンライン工事は高速進行
2017年10月07日付 Cumhuriyet 紙


ヤクプ・シェキプ・オクムシュオール弁護士は、「差し止め裁判は鈍足、一方でグリーンラインの工事は高速で進行」と説明し、「グリーンラインが完成して草原にダメージが出てから、法廷で差し止め判決が出されたところでどうなる?出なかったとしてもどうなる?」と問うた。

黒海地方8県の草原と草原を繋ぐ、2600キロメートルにおよぶグリーンライン・プロジェクトが高原の自然の仕組みを破壊しかねないとして、3年前、牧畜家らが裁判所に申し立てた。この問題で、リゼ県チャムルヘムシン郡カヴルン高原とサミスタル草原を繋ぐ道路において調査が実施された。
訴訟が起こされて3年経って調査が実施されたが、問題の道路は半分が完成している。裁判を担当するヤクプ・シェキプ・オクムシュオール弁護士は、「司法は鈍足だった一方、グリーンライン工事は高速で進行した」と説明し、「道路が完成して草原にダメージが出てから裁判所が差し止め判決を出したところでどうなるのか?しなかったとしてどうなるのか?」と問うた。

チャムルヘムシン郡に位置するカヴルン高原とサミスタル草原を繋ぐグリーンライン・プロジェクトの一環で工事が続く8キロメートルの道路と、アウソル草原~フセル草原間の道路では、16ヘクタールでは、樹木伐採許可の執行停止と工事中断を要求する3つの訴訟が、2014年にリゼ県行政裁判所に対して申し立てられた。

裁判所はそれらの申し立てに対し、「森林の伐採許可の執行停止」判決を出したものの、別の裁判委員会は執行停止判決を撤回。これにたいする異議も退けた。さらに高等裁判所に異議が申し立てられた結果、専門家による未調査の段階で判決が出されたことを理由に案件を差し戻された。この案件を新たに引き継いだリゼ行政裁判所は、専門家が現場調査を行うことを決定した。


■3年後に調査
リゼ行政裁判所が組織した委員会について、この諮問委員会には関係者のほか技術者らも参画し、先日、カヴルン高原、サミスタル草原、アウソル草原、ハジュザーネ高原、フソル高原での詳細な調査を実施した。諮問委員会は、原告側の意見を聞き、現地を訪れ、環境破壊のみられた場所を撮影。また、牧畜家らを弁護するヤクプ・シェキプ・オクムシュオール弁護士も、グリーンライン・プロジェクトが、牧草地や自然保護地区、国立公園区域に与えた環境破壊について説明した。起訴から3年が経っての調査であり、環境活動家らが長年反対してきたカヴルン高原とサミスタル草原間を繋ぐ道路は半分が完成してしまっていた。特にカヴルン高原では、住宅の上方を通る道路が環境破壊を引き起こしている様子がみられた。調査後、草原を後にした委員らは、報告書を整えて裁判所に提出する予定である。

■「差し止め裁判は鈍足、工事進行は高速」

裁判を担当するヤクプ・シェキプ・オクムシュオール弁護士は、訴訟の一環で、長期間待たされた後に調査が実施されたものの、この期間中に問題の道路工事は進行したと話した。また同弁護士は次のように続けた。

「工事進行を中断する判決は出されず、また、裁判結果を待とうとしなかったために、カヴルン高原~サミスタル草原区間で工事が開始された道路は半分以上完成してしまった。
我々が裁判所に期待していたのは、牧草地や自然保護地域、国立公園区域を台無しにしないことであり、そのために訴訟を起こした。それなのに、道路が完成して草原がダメになってから裁判所から差し止め判決が出たところで何になる?出なかったとしても今更どうなる? 何のために裁判所が存在するか? それは権利侵害に歯止めをかけるためだ。ことが済んでしまってから裁判所が差し止め判決を出せばどうなるか? その責任は誰がとるのか?司法の歩みは非常にのろく、工事の進行は非常に早かったという経緯がある。この問題に関し、司法機能が完全には実施されなかったと思う。司法は、仕事が遅い。より積極的になってくれることを期待している」

■グリーンライン・プロジェクトとは

グリーンラインは、サムスン県からオルドゥ県、ギレスン県、ギュムシュハーネ県、バイブルト県、トラブゾン県、リゼ県、アルトヴィン県の高原、そして各観光エリアを高地で繋ぐおよそ2600キロメートルに伸びる観光道路として計画された。幅7メートル、上下一車線として計画され、路面は寄木模様の石畳で仕上げられることになっている。道路と同時に40地点にホテルやレストラン、スキー場等を併設した観光センターも設置される計画。グリーンライン事業は2018年の完成が見込まれている。

リゼ県チャムルヘムシン郡では、グリーンライン・プロジェクトの一環であるカヴルン高原とサミスタル草原間を繋ぐ道路建設に反対する環境活動家らが長期にわたって反対を呼びかけ、活動を行っていた。グリーンライン・プロジェクト反対運動のシンボルにもなっている、通称「ハッヴァお母さん」もといラビア・オズジャンさんは、プロジェクト反対運動を続ける活動のなかで最前線に立ってきた。一方でプロジェクトに反対する11人には「事業と活動の自由の侵害」罪で訴訟が起こされ争議中である。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:43528 )