OPEC総会会場に到着したサウジアラビアのハーリド・ファリーハ・エネルギー産業鉱物資源相(提供:ロイター)
■OPEC、2018年末まで減産延長で合意
【ウィーン:ランダ・タキー・ディーン】
【東京:本紙、ロイター】
石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国を含む24の産油国は、世界的な石油余剰を解消するために、来年(2018年)3月までが期限とされていた協調減産を来年末まで延長することで合意した。OPECは昨日(11月30日)ウィーンで開かれた総会で(減産)合意の延長を確認した。(総会では)合意延長について、ロシアをはじめとするOPEC非加盟国の産油国と協議が行われた。OPECはナイジェリアとリビアにも減産合意が適用されるとし、両国はこの決定に同意した。
原油価格は昨日、OPEC閣僚会合がウィーンで開幕したと同時に、1バレル64ドルを越えた。価格の上昇は、現在の減産合意を2018年末まで延長することで合意することを示唆した発言が会合のメンバーからなされたことを受けて生じた。
原油価格の国際指標であるブレント原油2月先物が1%以上値上がりし1バレル64ドルを越えたことについて、話し合いがなされた。また、NY原油先物は1バレル57.96ドルに達した。
サウジアラビアのハーリド・ファーリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、第173回OPEC閣僚会合の開会スピーチにて、「世界の原油市場のデータから見ても協調減産の延長決定はその効果を証明した」との見解を示した。ファーリハ大臣は今年5月のOECD諸国石油在庫について、「5年移動平均線を上回り2億8000万バレルに達したがその後減少し、今年10月には約50%減の1億4000万バレルに至った。同様に、浮体式貯蔵設備内の原油量も、今年6月から5000万バレル減少した」と述べた。同大臣は、「石油供給減における協力はOPEC加盟国の100%を越える減産順守率を達成し、全ての産油国はこの前向きな動きを有効に活用した」と指摘した。また、OPEC総会議長(ファーリハ大臣)は「OECD石油在庫を過去5年平均の水準まで引き下げるにあたり、我々はまだ目標の半分にも到達していないことを認識せねばならない」ことを強調した一方、「中長期的に見れば、今後の石油市況は加速度的に進む広範囲な世界経済の回復に助けられて活発化していくものと思われる」と述べた。ファーリハ大臣は、「(石油に対する)旺盛な需要があることを示す指標は他にもある」ことを指摘し、「この数か月間で需要見通しは安定して上方修正し、2017年および2018年の伸び率は現在150万バレル/日に達した」と述べた。
ファーリハ大臣はこれらの数値を「良い知らせ」と受け止めていると述べ、「目標に到達するにはさらに真剣に取り組んでいかなければならない。(中略)我々の目標を持続的に達成するためには、各加盟国が他国に頼ることなく自国の取組にきちんと責任を持って歩み続けなければならない」と述べた。同大臣は、「協調減産終了後の出口戦略について話し合うのはまだ早い」と強調した。
同様の文脈で、クウェートのイサーム・マルズーク石油相は、クウェートが来年末までの減産を支持することを強調し、「OPECは良い状況にあり、次回6月総会でも現状を維持できるだろう」と述べた。同大臣はさらに、「クウェートは現在1日200万バレルを輸出している」と述べ、「協調減産終了後の出口戦略について話し合うのはまだ早い」との見解を示した。
一方、イランのビジャン・ザンギャネ石油相は、「協調減産は6か月または9か月延長されるだろう」と予想し、9か月の延長が望ましいと述べた。また同大臣は、「市場が過熱した場合、次回6月総会では合意の見直しが行われるだろう」と述べ、ブレント原油先物1バレル60ドル台が「適正価格」であるとの見解を示した。
(後略)
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( 翻訳者:北本芳明 )
( 記事ID:43880 )