エジプト・スーダンの間の緊張…レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領が先月訪問したスーダンは、駐エジプト大使を召還した。BBCトルコ語放送の報道では、「エジプト・スーダン間の緊張は、スアキン島のトルコへ割当てが原因か?」と問われた。エジプトメディアでは2国間で至った合意の目的は、この島で海軍基地が建設され「エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領の転覆である」と報道された。
スーダンは、アブドゥル・マフムド・アブドゥル・ハリム駐エジプト大使を首都ハルツームへ召還した。外務省はこの決定の理由を発表しておらず、大使がハルツームにどの位滞在するのかは不明である。
BBCトルコ語放送の報道によると、エジプト外務省は今のところ対応について協議中であると述べるに留まった。
報道内容は以下の通りである。
「二国関係は昨年、スーダンのオマル・アル・バシール大統領が、ダルフールなど同国の紛争地帯で軍に歯向かう反政府勢力を支援しているとしてエジプトの情報機関を批判して以来、悪化している。
関係修復に向けた外交努力もあった。しかし、特にエルドアン大統領が昨年12月末にスーダンを訪問し、紅海のエジプト沿岸に近いスアキン島をトルコに割り当てることに合意すると、緊張はさらなる高まりを見せ始めた。」
紅海沿岸、エジプトとスーダンの国境にある2万850キロ平方メートルもの「ハライブ・トライアングル」と呼ばれる領域がどちらに属するかという歴史的論争は、ときに両国に政治的、軍事的対立をもたらす。最大都市のハライブ、エブ・ラマド、シェラティンがあるこの地域には、アバブデ族、ベシャリン族を始めとして、スーダンの部族が居住している。
■エジプトメディア:「トルコの乱心とイランの陰謀」
エジプトメディアは、二国間の合意の目的を、島での海軍基地建設と「エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領の転覆」であると報じた。エジプトでエルシーシ大統領と政府が管理するメディアは、スアキン協定の後トルコとスーダンが陰謀を画策していると主張した。カイロで発行されているワタン紙は、「スーダンのオマル・アル・バシール大統領はドル獲得と引き換えに危険に手を出している。スーダンは、トルコの乱心とイランの陰謀、エチオピアがエジプトを水なしで生活させ、カタールはエジプトを財政的破綻させようと画策する陰で、歴史的かつ地理的法則を無視してエジプトに敵対している」と批評した。
カタールの陸軍大将がエルドアン大統領と同じ日にハルツームを訪問したことも、エジプトメディアでは、カイロに対して画策された陰謀の証拠として示された。
エジプトとトルコの関係は、エジプト軍が2013年にムハンマド・ムルスィー大統領を転覆させて以降緊張状態にある。
ムルスィー氏と親密な関係にあるムスリム同胞団の活動はエジプトで禁じられた。
エジプト・アラブ共和国のアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は、国の「内政に干渉した」としてトルコを非難した。
■エジプト・スーダン間の緊張状態
エジプトとスーダンの関係は、豊かな鉱層がある国境地帯ハライブとシャラティンの帰属問題と、ナイル川の水権争いが理由で、すでに緊張状態にある。
スーダンは昨年、エジプトを「内政問題に関与した」と非難し、エジプトからの農産物の輸入を禁止した。
■紛糾するハライブ・トライアングル
今日、エジプト国営放送では、金曜礼拝の生放送が、その帰属が問題となっているハライブにあるアル・タウバ・ジャーミィから初めて行われ、金曜の説教をワクフ省のムハンマド・ムフタル・ジュマ大臣自ら行ったことも、緊張の顕れのひとつだ。
■スアキン協定
トルコは、スーダンと締結された協定に沿って、オスマン帝国時代に建設されるも、その後放棄された港町スアキンの再建を計画をしている。
紅海沿岸にあるこの島に建設される造船所には、民間船や軍艦が停泊できるという。
エルドアン大統領とスーダンのイブラヒム・ガンドゥール外務大臣は、12月24日にハルツームで協定を締結した。
スーダン外務大臣は、協定のうち造船所を強調し、この協定が軍事協力の道を開くことができると述べた。
エルドアン大統領も、トルコが一定期間、スアキンに観光地域と紅海を経由したメッカ巡礼のための宿泊施設を建設することを許可され、スアキンとその他の地域でトルコが担うプロジェクトは総額6億5000万ドルに上ることを明らかにした。
スーダンのオマル・アル・バシール大統領は、ダルフール紛争中に戦争犯罪を犯したと非難され、20年にわたり米国の禁輸措置が適用されていた。
米国はスーダンに20年にわたり適用していたこの制裁を10月に解除している。
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( 翻訳者:尾形知恵 )
( 記事ID:44099 )