■イラク、降水量の不足により小麦の収穫量が30%減少
【バグダード:ナスィール・フスーン】
イラク農業省は、降雨量と河川水の著しい不足により、国内の小麦と大麦の収穫量が30%減少したと発表した。マフディー・ダンマド・カイスィー農業省事務次官は、本紙が入手した同氏の声明の原本によると、イラクは「トルコやイランから流入してくるティグリス・ユーフラテス川の水位の減少に直面している」と指摘した。
ユーフラテス川はトルコ内にある複数の水源に完全に依存している。その一方で、イラク国内に水源をもつ諸々の河川が、ティグリス川の水量の42%を支えている。残りの水量はイランとトルコから流入してくる。
イランは、農業プロジェクトへの供給のために、イラク国内を流れるティグリス川の支流の流れを変えた。一方で、イラク政府は3月から6月までの3か月間にわたり、(トルコの)イリスダムへの水供給を開始する時期の延期をめぐりトルコと交渉している。イリスダムによって、イラクに流入する水量の50%が失われると見られているためだ。トルコは、イラクとの水分配を法的に強制する合意が存在しないことに根拠を置いているが、ダムへの水の供給によって、イラクは将来的に深刻な干ばつの危険に直面せざるを得なくなる。
20年前のティグリス川の水量は、1年あたり平均500億㎥を超えていたが、最近は70億㎥を満たないところまで減少している。またユーフラテス川の水量は毎秒1千㎥であったが、現在では180㎥となっている。カイスィー事務次官は以下の旨を付言した。「河川の水不足と同時に発生したその他の要因として、前例にない程の降雨の減少がある。イラクでは過去数十年、このような降雨不足が発生したことはない。これが、これまで農業部門を筆頭凄まじい被害をもたらした。」
(後略)
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( 翻訳者:中鉢夏輝 )
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