昨夜ブルガリアのヴァルナで行われた会議は、およそ1年ぶりにトルコとEUが最高首脳レベルで会談する機会をもたらし、各陣営のポジションの違いを再び眼前に晒した。
乗り越えられるべき数多の問題がある中で、EU側が会議の大部分をトルコ国境を越えたために捕えられている2人のギリシャ兵の状況にあてたことは最も注意を引く要素だ。
■復活祭の贈り物
会議に参加した複数の高官は、EUはギリシャ兵の件を驚くほど重要視しており、かなり大げさに取り上げられているという見解だ。。会議の開催国であるブルガリアのボイコ・ボリソフ首相と欧州議会のドナルド・タスク議長、さらには欧州委員会のジャン・クロード・ユンケル委員長がこの問題に固執したことは深刻な緊張を招いた。ユンケル氏がエルドアン大統領に対し、「あなたは偉大なリーダーだ。雪で迷った2人の兵士はあなたにとって危険ではない。この兵士たちが4月8日の復活祭をそれぞれの自宅で祝えるよう計らうことは、非常に貴い振舞いとなるだろう」と述べたと明らかされている。
EU側がギリシャ兵について固執したことに対してエルドアンが厳しい反応を示した事も、多くの情報源によって確認された。2016年7月15日のクーデター未遂後、何人かのトルコ兵士がギリシャに逃亡したこと、トルコの返還要請に否定的な返答が与えられた事を指摘したエルドアン大統領は、ギリシャ兵の問題がトルコの司法権内にあることを強調して、「私は公正よりも大きくはない」と述べた。
■首脳会議の謎かけ
もう一つ頭を混乱させるのは、この会議でEU・トルコ間の新たな首脳会議開催が提案されたことだ。ブルガリアのボリソフ首相は、「6月にもう一度集まり、問題を各題目ごとに取り上げて仔細に検証して解決したい」と話した。ここで注目すべきは、タスク氏もユンケル氏も会議の場でこうしたメッセージを発しておらず、さらにトルコ側もこのような要求をしてないということだ。会議ではEU側が人権、法の優位性、表現の自由と非常事態(OHAL)といった問題において、トルコに多くの圧力をかけるだろうという予測があった。アンカラも入念な準備を行った。しかしながらEU側は、驚くべき形で、これらの問題にかなり表面的に触れるにとどまった。一方、記者会見の雰囲気は正反対で、EU側、取り分けタスク氏がこれらの問題を前面に出した。
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( 翻訳者:堀谷加佳留 )
( 記事ID:44563 )