ボスフォラス海峡、貨物船が岸に衝突、歴史的建造物、大破
2018年04月07日付 Cumhuriyet 紙
イスタンブル、ボスフォラス海峡で舵が故障した大麦を積んだ船が、ヘキムバシュ・サーリフ・エフェンディの海辺の邸宅に衝突した。衝突後の情報によると、邸宅は大きな被害を受けたが、この事故による死者または負傷者はいないという。
エジプトを出港したマルタ船籍の「VITASPIRIT」号は、イスタンブルのボスフォラス海峡を通過する際、舵が故障した。舵が故障した船は進路を変えてベイレルベイ側にあるヘキムバシュ・サーリフ・エフェンディ邸に衝突した。同船は、全長が225m、幅が32mある。事故後、現場に到着した沿岸警察総局所属のタグボートが、船をアフルカプまで牽引した。
■県知事府から発表
スタンブル県知事府は、船舶事故に関して発表を行った。発表では、以下のように述べられた。
「15時25分にマルタ船籍の船舶『VITASPIRIT』号が、ロシアからサウジアラビアに向かう途中イスタンブルのボスフォラス海峡で北から南に進んでいた際、カンルジャの手前で船の機械部が完全に停止したことにより、メインの機械も舵もきかなくなったため、急速に陸地に向けて流され、即座に投錨したものの、船は陸地に向かい、15時30分にファーティフ・スルタン・メフメト橋のアナトリア側にある海辺の邸宅に衝突したことが確認された。同船は、水先人とともにイスタンブルのボスフォラス海峡に進入した。同船は全長225mで、62.623トンの大麦を積載している。交通海事通信省沿岸警察総局所属の船が、現場にイスタンブル船舶サービスセンターによって緊急派遣された。救助船ネネ・ハトゥン号、タグボートの救助3号、救助6号、救助7号、救助8号、高速救助ボートの沿岸警備1号、クイェム1号、ボートのフェネル1号、ダイバーチーム、陸上救助チームを緊急に事故現場に派遣した。ボスフォラス海峡の交通は両方向とも停止された。この惨事で、船が投錨した後、錨が海底ケーブルにぶつかったことが確認され、ケーブルからの救出作戦に続きタグボートによって安全な形でアフルカプ係留所に送られている。この事故による死者や海洋汚染はなかった。事故はメインの機械が完全に停止したことによって起こった。」
■事故直前の無線記録
イスタンブル・ボスフォラス海峡で、マルタ船籍の船舶「VITASPIRIT」号が、錨を固定した後ヘキムバシュ・サーリフ・エフェンディ邸に衝突した。衝突後、邸宅に大きな被害が出たものの、この事故による死者・負傷者はでなかった。衝突直前の無線会話は以下のように記録されていた。
沿岸警察:投錨可能。了解。
救助3号:船長、そちらに全速で向かっている。
水先人:右舷錨を下ろす。船長はおこなっていない。全責任は私にあると言っている。
沿岸警察:船長は現在こちらを聞いているか?
水先人:操舵手は聞いていない。海岸にとても近づいた。おそらく衝突する。右舷錨を2つ固定しようと努めている。船尾を海岸につけたい。
沿岸警察:救助3号、現在も全速力か?
救助3号:全速力で進んでいる。
水先人:機械は全速力を出したが助けるのは不可能だ。海岸に衝突する。
沿岸警察:船長、舵が効かないということだが、錨は下ろせないのか?
水先人:船長に二度言ったが投錨しなかった。現在右舷錨を下ろしている。
沿岸警察:了解、すぐに投錨するよう。緊急用の舵も動かないのか?舵を右舷に取れないのか?
水先人:現在一切動いていない。全速力で邸宅に向かっている。激しくぶつかると思われる。
■最近では映画「イスタンブルの赤」の撮影地に
ヘキムバシュ・サーリフ・エフェンディ邸では、コンサートや結婚式などが行われるとともに、映画やドラマも撮影された。最近では、フェルハン・オズペテク監督、ハリト・エルゲンチ、トゥバ・ビュユキュスチュン、ネジャト・イシュレルなどが出演した「イスタンブルの赤」という映画も撮られた。この邸宅ではさらに、過去にドラマ「千夜一夜物語」など多くのドラマも撮影された。
■ヘキムバシュ・サーリフ・エフェンディ邸の歴史
赤い色をした象徴的な海辺の邸宅の、所有者として知られている最も古い人物は、オスマン帝国の最初の医学校である帝国医学校の最初の卒業生の1人、ヘキムバシュ・サーリフ・エフェンディだ。邸宅の名前にもなっているヘキムバシュ・サーリフ・エフェンディは、オスマン帝国の3人の王女の侍医を務める一方、植物学教師、教育制度顧問、教育制度会議の議長などの任にも就き、その名声がオスマン帝国の国境も越えた人物である。
■船が衝突した邸宅での調査が継続中
イスタンブルのボスフォラス海峡で、舵が動かなくなった大麦を積んだ船が衝突したヘキムバシュ・サーリフ・エフェンディ邸での調査が続いている。沿岸警察の海上警察チームも地上での捜査を続けている。衝突の影響で邸宅に生じた大きな被害が注目を集め、調査は1日中続くと見られている。
■船はアフルカプ海上で待機
舵が動かなくなりヘキムバシュ・サーリフ・エフェンディ邸に衝突したマルタ船籍の船舶「VITASPIRIT」号は、アフルカプ海上で待機している。同船は、昨夜沿岸警察総局のタグボートによってアフルカプに牽引された。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:44645 )