米のトルコ制裁危機への4つの段階
2018年08月02日付 Cumhuriyet 紙


アメリカがブランソン牧師の早急な開放のために始めた制裁が、昨日初めて具体化した。アメリカは、内務大臣と法務大臣をブラックリストに載せた。財務省は、ギュル法相とソイル内相について、「深刻な人権侵害に関与した組織のトップとして、制裁の対象となった」とコメントした。事態がこの段階に至る以前から、対米関係においてはその他の危機的な事態がおきていた。

ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は、アブデュルハミト・ギュル法相とスレイマン・ソイル内相が制裁リストに加わったことを明かした。

サンダース報道官に続いてアメリカ財務省も、両大臣がブランソン牧師の逮捕で「直接的な役割」を果たしたことを理由にこの決定が下されたと声明を出した。両大臣には、トルコで深刻な人権侵害が行われたことに責任があると主張された。

■トルコ:報復する

アメリカは人権侵害に関する法に基づいた決定で、両大臣について「トルコ政府による権利の侵害に責を負う組織の長である」と述べた。この決定は、アンカラの厳しい抗議を呼んだ。外務省は、トルコの司法制度に対する明らかな介入であるこの決定を翻すようアメリカ政府へ呼びかけ、「攻撃的な態度に対しては、直ちに同様の返答がなされるだろう」と述べた。

■長年の同盟に激震

NATO加盟国であるトルコとアメリカの関が、またも非常に難しい局面を迎える中、ワシントンからアンカラへ向けられた法相ならびに内相個人への制裁は、長年の同盟を揺らがせた。アメリが財務省が発表したスレイマン・ソイル内相とアブデュルハミト・ギュル法相に対する制裁は、トルコでアンドリュー・ブランソン牧師が拘束されていることがその理由として挙げられた。

■少しずつ崩壊

1. トルコとアメリカの間で近年起きた最も深刻な動揺は、7月15日クーデター未遂の後に起こった。トルコ政府はアメリカにFETÖ指導者の身柄を要求したが、叶わなかった。

2. シリア問題でロシアやイランと協働するトルコは、アメリカと何度も衝突している。PYD/YPGへの武器供与とマンビジュ問題は両国の関係を緊張させた。

3. トルコはロシアからS-400ミサイルを購入することを取決め、アメリカともNATOとも関係が悪化した。アメリカはF-35戦闘機の供与は出来ないと表明した。

4. ハルクバンク裁判、ハーカン・アティッラ元副頭取の逮捕と有罪判決、ブランソン牧師の逮捕と拘束も、アメリカの抗議を呼んだ。

アメリカ財務省のホームページ上で、ブランソン牧師の逮捕・拘束にトルコのギュル法相とソイル内相が主導的役割を担ったために、両名が制裁リスト入りしたことが述べられた。両大臣が、トルコで行われている深刻な人権侵害の責任者であることが強調された。また、マグニツキー法に基づいていることが指摘され、「深刻な人権侵害に関与した人物、あるいは職員が真剣な人権侵害に関与した組織のトップとして、制裁対象とされた」として、グローバル・マグニツキー法に則った財務省により、これらの閣僚が「人権侵害と汚職に関与した個人の財産凍結を含めた法令第13818号により制裁対象とされた」と述べられた。

アメリカのスティーブン・マヌーチン財務相の、「ブランソン牧師が不当に逮捕され、裁判にかけられたことは受け入れられない。トランプ大統領は、アメリカはトルコがブランソン牧師を直ちに解放することを期待していると明言した」という発言が、声明文に記載された。

制裁には、両大臣のアメリカにおける資産と、その資産が生み出す収入の凍結も含まれることが強調された。

■「受け入れられない」

アメリカ財務省のほか、ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官も、トルコの裁判所が先週ブランソン牧師に自宅軟禁を命じたことに対し、トルコの内相と法相に制裁を加えると発表した。サンダース報道官は、2016年10月にイズミルでブランソンが逮捕され、その後軟禁状態にあることを振り返り、「トルコ当局がブランソン牧師をいまだに解放していないことは受け入れられない」と述べた。

テロ組織FETÖ/PDYとPKKを支援して罪を犯し、スパイを行った容疑で、35年の懲役が求められたアメリカのブランソン牧師の拘束は、「健康上の問題」が考慮され自宅軟禁に切り替えられた。電子手錠を着けられて自宅軟禁になったことは話題になった。先週の火曜日、弁護士らが拘束の継続判決に異議を申し立てたが、裁判所に却下されている。制裁の決定は即ち、トルコの内相と法相への制裁適用を意味する。ワシントンがブランソン牧師を理由にあたかもアンカラへ宣戦布告したことは、そもそも長い間両国の間にあった緊張が高まったことを暴露した。 両国間で続けられてきたエルドアン大統領とトランプ大統領、あるいは外相、国防相、財務省らの二者会談での対話の努力、または緊張は周縁から収まっていくだろうという見解にも関わらず、密かに火がくすぶり続けていたことがまたしても明るみに出た。

■アメリカとの深刻な問題

2016年のクーデター未遂、FETÖテロ組織の構成に果たしたワシントンの役割、ギュレンの送還問題だけでなく、シリアについても両国の間には深刻な問題が長い間横たわっている。アンカラがテロ組織と見做すYPGとアメリカがシリアで連携していることも、厄介な問題の一つである。アメリカ欧州軍の司令官カーティス・M・スカパロッティ陸軍大将が昨日アンカラを訪れたが、今回の2日間の公式訪問での主要議題がシリアであることが報じられている。トルコとアメリカは、シリアで戦略的に重要な都市マンビジュに関する「ロードマップ」について合意した。この合意でトルコと連合軍は、マンビジュの二地点で協力しているが、それぞれ独自の任務も開始している。イランに対し圧力的な政策を強めるワシントンとアンカラの間にあるもう一つの争議が、イラン系アゼリー人の実業家ルザ・サッラーフが、イランへの制裁に穴を開けたことへの糾弾である。この裁判の間に、ハルクバンクのメフメト・ハーカン・アティッラ副頭取もアメリカへ入国する際逮捕され、裁判で「アメリカの対イラン制裁を破り、アメリカの銀行に対する詐欺行為を策謀した罪」で有罪判決を受けている。

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( 翻訳者:庄原茉美 )
( 記事ID:45172 )