Servet Yıldırımコラム:まずはTLの安定
2018年09月01日付 Milliyet 紙

トルコ市場はもう二か月途絶えることのない波の中にある。

これは初めてのことではない。以前にもこのような波間に落ちたことがあった。

ただ今回は少し長く続いているが、以前の波もそうだったように、終わりがない波なわけではない。

危機と呼ぼうが、乱気流と呼ぼうが、名前は何でもいいが、この一過程が終われば動勢が読み取れる程度の為替相場と利子に落ち着くだろう。

経済と市場に新たなバランスがもたらされるだろう。

過去でそうであったように過剰に価格が落ちたトルコリラは、急速に高騰する利子と安価になった株式価格により海外ニーズがある時期を越えると発生する。

しかしこの過程は基礎経済指標よりもさらに長期間強い影響をもたらすだろう。

■インフレーションが激しくなっている

トルコリラの落下による急速なインフレはどこまで続くのかはっきりさせることは難しい。

私たちが希望しているより長く続くかもしれない。なぜなら予想と価格動向の変動が想定よりも大きいからである。

中央銀行が年末に行った13.4%という予想は楽観的なものとなった。

月曜に発表される八月の数字では1年のインフレ率は17−18%の間と上昇するだろう。

9月にはさらに上昇するように思われる。

20%台に上昇することも遠くない。

したがって、トルコは「高インフレーション国家」区分から「超・高インフレーション」国家となるべく向かっている。

インフレが何千%ともなったベネズエラを考慮しないとして、トルコは新興国グループの中ではアルゼンチンに続いて世界第二の高インフレ率の国となった。

2000年台にインフレーションと戦って勝ち取った利益を今失いつつある。

経済の一番優先するべきことはこの流れを逆に向けることだ。

■成長の遅延

昨年7%台であった経済成長が今年と2019年には非常に低い成長率となることが予測される。

なによりもトルコリラの落下がもたらす計算上の影響はあるだろう。

トルコリラとして算出され、平均為替レートにより米ドルに換算される国内総生産は米ドルベースでは減算するだろう。

つまりトルコは国際的な規模ではより貧しくなってしまう。

元々トルコは世界17位の経済からトップ10入りすることを目指していた。

1人当たりの国民所得は減少し、中間所得トラップから抜け出そうとすると、トラップの底に向かって引き寄せられる。

高い金利とTLの急落により生じる市場の揺れ幅は大きく、多くの企業は道を拓くことが困難となっている。

為替レートと金利の動きにより、バランスシートが崩壊しつつある。

この構図では多くの企業の投資意欲と機会が喪失しないまでも制限されてしまうだろう。

■雇用の伸びの上限

我々がいくら文句を言っていようとも、トルコ経済の雇用創出力は他の多くの経済に比べ大きいものであった。

例えば五月までの一年で50万人が労働力となった、つまりこれほどの人間が求職した。

この期間にトルコ経済は70万人の雇用を創出した。

これにより高い失業率はある程度低下した。

当時不十分だと考えていたこの小さな成長さえ希求する状態となるだろう。

成長見通しの悪化と投資の減速は、雇用の伸びを鈍化し、停止させることにもなりうる。

つまりさらに失業が増えるということだ。

■財政における圧力・・・

İ現在の状況から抜け出すためには、金融政策と同じかそれ以上に財政政策の重要性が増している。

トルコは2009年の不況を一時的な財政措置で抜け出した。

再び同様の状況となりうる。

しかし財政収支悪化が大きなリスクとして立ちはだかっている。

成長の減速により税金回収が悪影響を受ける可能性がある。

財政収入は、昨日の預金金利に対する税率を引き下げるなどの措置によって失われる可能性がある。

一方、金利の上昇により国内債務の利払いが増加しており、トルコリラの下落によって対外債務利子支払い相当分のトルコリラ予算がふくれあがっている。

これらは前例のないことではなく、過去にも経験した事象である。

したがって、金融政策で対処できない状況ではない。

しかしこのようなプレッシャーのかかる時期においては支出の優先付け、緊縮策を迅速に実施することも重要である。

■対外バランス悪化は軽度か

この種の危機や変動がもつ唯一の恩恵は対外バランスを部分的に修正できるというところだろう。

下落するトルコリラによる輸出増加・輸入減少の効果、国内市場の縮小のため企業が海外への販売に目を向ける状況となり、対外貿易赤字と経常収支赤字が小さくなる。

もしくは景気後退の規模が大きくなればトルコのような経済の経常収支は赤字どころか黒字に転じる可能性がある。

しかしこの動きをみて「対外バランスの問題を解決した」と喜ぶべきではない。なぜならこれは完全に周期的縮小によりもたらされた補正だからだ。

構造的な変化がない限り経済復活と同時に赤字が再び拡大し始める。

構図は上記のとおりだ。

この構図ではまず迅速にトルコリラの安定性を保証することだ。

これは価格安定性を確保するためにも必要なことである。

またこの間に損害を算出し、中期的経済像を改善するステップを、経済プログラムの形で、各所との恊働姿勢の中迅速に実践する必要がある。

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( 翻訳者:山口 南 )
( 記事ID:45312 )