難民のせたバス転落、22人死亡ーイズミル
2018年10月14日付 Cumhuriyet 紙


イズミルで、荷台の箱にギリシャのサモス島に向かっていた外国籍の移民を載せたトラックが、運転手のコントロールを外れ、水路に落ちた。この恐ろしい事故でトラックはひっくり返り、22人の移民が死亡し、運転手を含む13人が負傷した。この事故で負傷し救助されたトラックの運転手、ムスタファ・ユルマズは、病院警察に対する最初の供述で、事故が起きたクスッキョイ地域で前に白い車が出てきたこと、衝突しないよう急な動きを行ったこと、交差点でコントロールを失い水路に転落したことを述べた。

殺戮のようなこの事故は、朝8時ごろ、イズミルのガーズィエミル郡、アドナン・メンデレス空港近くで起こった。このトラックは、エーゲ海岸からボートでギリシャのサモス島に行くため、人身売買業者と契約したとされる移民を荷台に乗せていた。運転手の身元は、未だ明らかになっていない。トラックは、メンデレス郡方面へ向かっていた際、カーブを曲がりきれなかった。道を外れたトラックは、反対側から分離帯を越え、デイルメンチャイ水路の底に落ち、横転した。荷台に乗せられていた女性や子供を含む移民の一部は周辺に放り出され、一部はトラックの下に取り残された。
通報を受け、事故現場に多数の医療、捜索、救助のチームが派遣された。事故現場に到着して恐ろしい光景を目撃したチームは、妊娠中の女性1人、赤ん坊2人、子供2人を含む22人が亡くなったことを明らかにした。負傷した13人は救急車で病院に搬送された。

■負傷者の容態は深刻

ドクズ・エイリュル大学(DEÜ)医学部病院に搬送された負傷者のうち9人は子供、2人は成人だという。負傷した子供たちは身体に骨折が見られ、DEÜ小児救急で治療を受けている。DEÜ成人救急には、女性1人を含む2人の移民がいるという。イズミル・キタプ・チェレビ大学アタテュルク教育研究病院に搬送された負傷者の1人は妊娠しており、手術を受けたことが明らかにされた。生きるか死ぬかの状況だった虐殺のような事故の後、痛ましい光景が明らかになった。母国の国内の混乱のため、よりよい生活を求めて出発した移民たちの後には、路上に放り出された持ち物と密入国を行う際使用するゴムボートが残された。事故が起こった現場には多数のゴムボートがあったという。

■天候による影響はなし

一方、ヒュセイン・アシュクン県警察局長は事件現場を訪れ、捜査を行った。事故による負傷者は、事故現場に派遣された医療スタッフによって救急車で周辺の各病院に搬送された。トラックの下に取り残されたり周囲に放り出された移民たちの遺体は、検察の確認の後、イズミル法医学協会に移送された。
天候による悪影響はなかったことが指摘され、チームは、事故の原因を明らかにするための捜査を開始し、継続している。

■トラック運転手:前に白い車が飛び出した

事故で負傷し救助されたトラック運転手のムスタファ・ユルマズ(35)は、病院で警察に最初の供述を行い、「09 アイドゥン」ナンバーのトラックで午前3時にショケを出発したこと、サズルキョイを通過した後難民をトラックに乗せたこと、ガソリンがなかったためセルチュクの高速道路に入ったこと、事故が起こったクスッキョイ地域は前に白い車が出てきたこと、衝突を回避するため急な動きを行ったこと、交差点でコントロールを失い水路に飛び出したことを述べた。ユルマズ運転手は骨2本を骨折したため、ギプスを付けられたという。ユルマズ運転手は、病院の救急で脳外科外来に担架で運ばれ、意識を失ったという。

■運転手の余罪が明らかに

一方、警察にはユルマズ運転手の複数の前科が記録されていることも、捜査の結果明らかになった。運転手がトラックを使用するために必要な「C級」の免許の代わりに、自動車運転が可能な「B級」の運転免許を持っていたことも明らかになった。

■「メンデレス海岸からボートに乗る計画だった」

最初に明らかになったことによると、ギリシャ・サモス島に行くため人身売買業者と契約した外国籍の移民たちは、内陸アナトリア地方からトラックに乗り、メンデレス郡の海岸からボートに乗る計画だったことがわかった。

■目撃者:「『怪我人は自分だけだ』と言うので事故現場は見なかった」

事故を目撃したメフメト・エケルさんは、事故現場を車で通過した際、道の脇にけが人の1人を見たと述べた。エケルさんは、「私は朝、コナクに向かっていた。橋の上を通過する際、道の脇で1人が私の車を止めようとしていた。しかし私は最初止まらなかった。その後少し先で停止した。窓を開けると、相手は『事故を起こした、怪我をしている。イェシルユルトの病院まで連れて行ってくれ』と言った。私はそちらの方向にではなく、テペジキの病院に連れて行こうと言ったが、彼はそれを受け入れなかった。その後、『少し先に警察がいる。よければ彼らに話そう。車を牽引してくれる。被害が出ないように』と言うと、彼は『怪我人は私だけだ、少し先でタクシーに乗せてくれ』と言った。私はカラバーラルでタクシーに乗せた。彼は怪我をしていて、運転手だったようだ。『1人だ』と言うので事故現場は見なかった」と話した。

メフメト・エケルさんが話した怪我人が、事故で怪我をして救助されたトラック運転手ムスタファ・ユルマズである可能性があることが明らかになり、事故に関する捜査は続いている。

■トラック、水路から引き上げ

22人が死亡し13人が負傷した事故の後、事故現場捜査チームの活動が続いている。ムスタファ・ユルマズのコントロールを外れ、水路に落ちたナンバー09 S 0574のトラックも、落ちた場所からクレーンによって引き上げられた。ひっくり返ったトラックの荷台の下に取り残されたり周囲に放り出されたりした遺体は、検察の捜査の後、解剖を行うためイズミル法医学協会の遺体安置所に移送された。

■トゥンジャイ・オズカンCHP議員、事故現場へ

CHP副党首でイズミル選出国会議員のトゥンジャイ・オズカン氏は、事故現場を訪れ、担当者らから話を聞いた。オズカン副党首はその後記者会見を行い、密入国に向けた対策が強化される必要があると延べ、次のように続けた。
「下に広がる光景は恐ろしいものだ。希望を持って家を出発し、何千キロメートルも離れた希望に向かって旅をしていた人々が、このような最期を迎えたことは実に痛ましいことだ。この解決策を探さなければならない。下に広がる光景に心が痛む。大きな悲劇だ。トラックの後部は完全に人でいっぱいだ。その中には子供もいる。現在死亡が確認されているのは22人、負傷者は13人だが、この数字は徐々に変わっている。トラックには安全のための装備が一切なかった。そのため死者の数が多くなった。現在、亡くなった方の移送作業が続いている。負傷者は病院に送られたが、その人数は変わっている。トラックはアコーディオンのようになっている。様々な国から来たという。身につけていたIDから明らかになった。検察官が下で作業を続けている。トラックの荷台は女性や子供と人々でいっぱいだったという。考えてみると、広範囲に放り出されたようだ。私が得た情報によると、トラックの荷台には子供6人がいたという。現場の水路は現在真っ赤になっている。おそらく運転手は寝ていたのだろう。このような事件は増加する。人身の密輸は世界中で最も卑劣な罪の1つだ。残念なことに、現在我々が向き合っている光景は大きな人道上の悲劇だ。これが豊かな国々に開かれた点で豊かな国々は座って解決策を探す必要がある。そうでなければ通過地点となっている我々の国々はこれを防ぐことはできない。パンと仕事、食料、平穏な生活を人々に与えなければならない」と述べた。

■イズミル弁護士会:事故ではなく殺人

事故に関して、イズミル弁護士会も書面による声明を行った。弁護士会は声明で、数日前カラブルヌで移民を乗せたボートが沈没したことにも言及し、この事件は事故ではなく殺人であると述べた。声明は次の通り。

「戦争や圧政、残虐な行為から逃れ、よりよい生活を求めて出発した途上で命を失った人々に神の慈悲と、遠く離れた彼らの痛ましい家族にお見舞いをお祈りする。我々の願いは、難民が我々を必要としなくなること、自分たちの国に自由に戻れるような平和と平穏に満ちた日々が訪れること、もしくは彼らが人間らしく暮らせる恒久的な解決策が生み出され、世界に公正な分配が行われ、新たな家を見つけることだ。これ以上人々がこの危険な旅で命を落とさないよう、イズミル弁護士会として、改めて戦争と暴力に向かう国々に、この戦争状態を終わらせること、基本的人権である庇護権への敬意が進展しつつ続けられること、実際に直面している困難と、特に弁護士が難民に接触する際直面する妨害が取り除かれることを呼びかける。」

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:45555 )