アルメニアで起こった政治的危機と社会的諸事件の後行われた早期国会議員選挙のために、国民は投票所に向かった。
アルメニアで4月に起こったデモの後首相の座に座ったニコル・パシニャン首相が早期選挙実現のために10月に辞職し、その後早期選挙が決定された。この選挙のために、市民は今朝(9日)、投票を開始した。
投票は、アルメニア全土で朝8時に始まり、12時間続く。約300万人の人口を持つこの国には、250万人ほどの有権者がいる。投票率は以前の選挙同様60%ほどになることが期待されている。
■国民はパシニャン首相主導の連合の勝利を予想
選挙前に行われたアンケートでは、10月に辞任したにもかかわらず暫定首相の座に就いていたニコル・パシニャン首相の政党「市民契約党」の主導による「私の1歩」連合が、この争いで圧倒的勝利を収めると見られていた。パシニャン首相の最も近いライバルは、中道左派の「繁栄するアルメニア」党になることが期待されている。
10年間政権についていたセルジ・サルキシャン元大統領が党首を務めるアルメニア共和党(HHK)は、足切り条項を越えられないと見られている。サルキシャン元大統領は、この選挙に出馬していない。HHKは、元大統領の代わりに以前政権で国防相の任に就いていたワスゲン・サルキシャン氏の主導で選挙に臨んでいる。
アルメニアでは、選挙に単独で挑む政党には5%、政党連合には7%の足切り条項がある。
■最低101人の新議員が決定
この選挙で、議会の少なくとも101人の新たなメンバーが明らかになる。アルメニア憲法によると、議員の数は最低101人、最大200人となる。
憲法は、議会に少なくとも3政党の代表が所属することを求めている。このため、選挙で投じられる票の配分と足切り条項に引っかかる政党の状況によっては、選挙区が出す議員の数が変動しうる。このため、前回の議会の議員数は105人だった。議会に何人の国会議員が所属するかは、選挙委員会が1週間以内に発表することが待たれている。
選挙の第1報は、今夜明らかになり始め、月曜日の朝には非公式の結果が発表されると見られている。
アルメニア議会が形成された後、新たな議会のメンバーは12月31日に行われると発表されている議会で首相を選出し、首相が内閣を作る。
■早期選挙はどのように行われたのか?
2017年4月2日に行われた前回の選挙で、セルジ・サルキシャン元大統領の政党HHKは49%の票を獲得し議会の第一党となった。パシニャン氏の政党連合はというと7.7%の票を獲得した。サルキシャン元大統領は、大統領の任期満了後4月の議会で国会議員の投票によって首相に選出された。
アルメニアでは2015年に行われた憲法改正により、半大統領制から議会制に移行した。これにより、大統領はより象徴的な職となる一方、首相の権限が増大した。
反サルキシャン派は、2期大統領を務めたこのアルメニア人政治家の任期が終わった後、首相候補とならないことを表明したにもかかわらず、権力を手放さないためにこのような憲法改正を行ったと主張した。
サルキシャン氏の政権に対抗して、アルメニアで不正や人権侵害が行われていることを主張し、より多くの民主主義を望むパシニャン氏率いる数千人のデモ参加者たちは、首都エレバンを始めアルメニアの多くの都市で何日にも渡って抗議活動を行った。
デモにより、サルキシャン氏は辞職を余儀なくされた。その代わりに議会で投票が行われ、パシニャン氏の党の議員は9人しかいなかったにもかかわらず、「街路の支持で」パシニャン氏が首相に選出された。ニコル・パシニャン氏は、一刻も早い早期選挙実施を訴え、早期選挙実現のため10月に首相を辞職した。これを受けて、議会で行われた2度の投票でも首相は決まらなかった。このため、12月9日に早期選挙が実施されることが決定された。
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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:45893 )