ドナルド・トランプ米大統領のシリアからの撤退の決定を、ヒュッリイェト紙にコメントした元米国務副長官でトルコ問題を扱う責任者であるマシュー・ブライザ氏は、次のように話した。「トランプ大統領は、エルドアン大統領との電話会談のあとこの決定を公表したということを考えるならば、これはエルドアン大統領の最近における最大の外交成果の一つであると考えている。トランプ大統領は、殆ど即座にクルド人民防衛隊(YPG)により引き起こされる被害を排除した。この決定によりトランプ大統領は、テログループよりトルコを選んだのだ。これは非常に皆を驚かせるようなそして前向きな状況だ」
ブライザ氏は、ヒュッリイェト紙の質問に手短に以下のように答えた。
「この決定によりシリアで引き起こされることになる不安定要素を脇に置くならば、トランプのこの決定は、米国-トルコ関係に非常に重要な良い影響をもたらすだろう。しかしこの決定はこの地域にはあまりいい影響を与えないと私は考えている。」
■イランの影響力が増す
ロシアが米国のこの地域からの撤退を引き出したので、ロシアのプーチン大統領は確実にロシアの勝利を宣言すると言えるだろう。ロシアの政治的影響力が大きくなるはずだ。しかし思うに、ロシア以上にイランのシリアにおける影響力が明白な形で大きくなるだろう。現在懸念している事柄は次のようなことである。
DEAŞ(イスラム国)は、この事態を再び活動を活発化するための機会として考え、シリアにおいてDEAŞが引き起こした不安定な情勢が戻る可能性がある。そして米国はシリアの未来の構築において、またイランの活動を制限することにおいて、政治的主導権を失う可能性がある
■トランプの計算
トランプ米大統領は、トルコとの関係を進展させることにより大きな勝算があると考えている、と私は思う。数週間前ギュレン氏のトルコ送還のために努力していると言及したのは重要である。米国でギュレン運動に対して開始されたFBI捜査が強化されていることを我々は知っている。第三の要因はトルコの米国からのパトリオットミサイルの購入である。これもトルコがロシアからS-4000ミサイルを購入したことで、(米国との)関係で明らかになった険悪な状況を大幅に修復することになる。トランプ大統領は、アメリカ-トルコ関係を進展させるために非常に多くの事柄を行っているようにみえる。トランプ大統領は、「もはやシリア北部の安定の構築のために、我々はYPGよりも、我がNATOの同盟国トルコにまっすぐ向き合っている」と話した。これもトランプが軍事的同盟国としてトルコに信頼を寄せていることを示している。今後、シリア北部に、ユーフラテス東部により多くのトルコ国軍が配備されるのを見ることになる。トルコがこうした形でシリアに関する影響力や主導権を増すことになると言える。
■クルド人民防衛隊(YPG)は窮地に立たされている
元米国務副長官ブライザ氏は、次のように続けた。「シリアで現在YPG勢力が窮地に立たされている。米国の支援なければYPGの存続は困難になるだろう。彼らは茫然としてしまっている、トランプ大統領の考えを変えさせるために出来ることを模索している。かれらは成果を継続させるために、あらゆることを行うであろう。アサドに助けを求めるだろう。ロシアが最近YPGを批判したが、以前彼らをアスタナプロセスの一部とするのを望んでいた。ロシアがYPGと米国が構築したようなパートナーシップを築くとは、私は思っていない」
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( 翻訳者:尾形知恵 )
( 記事ID:45955 )