司法の独立がなければ、経済の改善はない
2019年06月17日付 Cumhuriyet 紙
サバンジュ大学とトルコ産業・実業家協会競合フォーラム委員長でサバンジュ大学イザク・アティヤシュ准教授は、経済では深刻な不透明性が増しているとし、「様々なショックに対して行政がどのように回答するかについての不透明性は、近年深刻な形で増加している」と述べた。アティヤシュ准教授によると、司法の独立について国際的なトルコの順位は深刻な形で落ちた。経済を担う行政組織でシステム化は弱体化し、組織への信頼は落ちた。外国資本の信頼を得るためにまずこの問題について対策をとるべきである。
「現在、会社は、債務、為替レートのショックと変動、経済の停滞、インフレといった問題に従事している。さらに、中長期的な視点を引き出すためマクロ経済的な安定を保証し、少なくとも経済的な政策では不明瞭性を大いに減らし、経済を担う行政組織への信頼を増す必要がある」と述べたアティヤシュ准教授と危機からの脱出のためにトルコが追求すべき方法について話した。
―現在、トルコ経済で起こっている問題は何か。
―まず目につくのは、マクロ経済的な不安定さ、失業率の増加、停滞感である。基本的マクロ経済の指標の推移及び、恐らくより重要なのは、様々なショックに対して行政組織がどのような回答を出すか、という不透明性が近年深刻な形で増加していることである。中長期には、十分に生産性が増加しておらず、十分な競争がないという問題がある。トルコは、ここ20年間で深刻な構造的な変化が起こった一方で、1990年代後半から中程度のテクノロジー製品(特に自動車や白物家電)[の生産]に移行した。その後、より高等なテクノロジー製品を開発するために措置を講ずるべきだった。しかし、これは起こらなかった。
■法律は順守されなかった
-経済では今まで、どのような間違いあったのか。
-2000年代前半の最も重要な特徴のうちの一つが、組織構造の強化及びより法律に依拠した行政組織に移行した。経済活動を調節する法律的かつ調整的な枠組みは大いに変わった。中央銀行の独立という方向で歩みが進められた。重要な諸部門で調整的な権威が作られた。近年はというと、システム化が弱体し、法律に基づく行政組織からは遠ざかっている。経済的には、より高度なテクノロジーの使用という点で重要な一歩が踏み出されなかった。本組織が行った調査によると、2007年以降、輸出において質的増加が鈍化している。
トルコ実業家協会とともに私たちが準備した「飛躍した企業」という報告書によると、トルコの大企業は国際的な生産性と技術力の域により近く、中小企業は同等の技術力の域により遠い。トルコでの大企業と中小企業の生産性の差は、国際比較によると、より大きい。
教育に関する重要な措置が講じられなかった。さらに、国際学習到達度調査(PISA)の結果を見ると、後退してさえいた。トルコは、高等教育への進学率では国際的にも順位がいい。しかし、質の面ではとても悪い。 高等教育で量を重んじる政策が声高に言われ、質については後退した。
■選挙がバランスを崩した
-再び外国の投資家の信頼を得るためには、どのような歩みが必要か。
-近年、トルコ経済を担う行政組織がいかなる法律あるいは合意に基づいて行われているのかという点で、不透明性が深刻に増加している。司法の独立について、トルコの国際的な順位も深刻な形で落ち込み、現在も下降している。不透明性が深刻な形で増している状態である。意思決定のメカニズムが極端に中央集権的な状態になっているというのが大方の味方である。経済を担当する行政組織ではシステム化が弱体し、組織への信頼性が減少している。外国ファンドの信頼を得るためには、まずこの点で対処しなければならない。
-イスタンブルの選挙が再度行われたことは、経済にとってどんな意味があったのか。
-選挙が絶えず行われることで、深刻な経済的な問題を生み出し、マクロ経済的なバランスも崩した。イスタンブルの再選挙は、講ずべき措置を先延ばししたことを意味する。重要な時間の喪失だった。さらに、法律や規則への信頼をより減少させる結果となった。
-現在、トルコ企業が抱えている主要な問題は何か。
-現在、トルコ企業は中長期的な視点を持つことができない。現在、企業は、債務、為替レートのショックと変動、経済的な停滞、インフレといった問題に従事している。より中長期的な視点を引き出すためマクロ経済的な安定を保証し、少なくとも経済的な政策において不明瞭性を大いに減らし、経済を担う行政組織への信頼を増す必要がある。他方、トルコの諸条件の中で、端的いうと「システム化」という問題で前進を保証できないと、新たな成長シナリオを作り出すことはとても難しいと思われる。
■政府は公正であるべきだ
-私たちはいくつもの奨励政策が薬にならないのを見てきた。経済にはどのような奨励政策が必要なのか。
-トルコは奨励政策がとても豊富な国であるが、いくつかの学術的な作業を除いてはこの政策にどのような効果があるのかわからない。産業政策は、その性質上不透明性が高い分野において適用されるべきである。例えば、新しい高度なテクノロジー分野に投資をし、目標を明確化し、継続的な報告を行い、その報告により目標を再考し、パフォーマンスの指標を作成しなければならない。産業政策は、弾力性がないといけない。この種の政策は、規則に縛られることが難しい。弾力性があるということは、投機筋へ金が流れることもあるということである。一方で、これを防ぐ必要もある。しかし、このことは、政治が透明性をもち、管理できる状態にあることによってのみ実現できる。この種の政策が効果的な形で計画され実現することは、公共機関が公正で成熟しており、信頼の置ける環境にある必要がある。
■信頼が構築される必要がある
-経済分野において皆が新しいモデルや新しいシナリオについて言及している。このモデルには、何がないといけないか。
-2011年にオザン・バクシュとトルコの成長の将来の阻害要因を念頭に置いた研究を行った。その際に私たちが達した結論は、もっとも重要な成長の妨げが、貯蓄率の低さ以上に能力に長けた労働力の少なさであった。例えば、高等教育の効果は、同程度の国や世界の平均と比べると著しく落ちることを発見した。その当時から今日まで、教育政策において重要な動きはなかった。現在、トルコがもっとも重要で優先すべき事項は、より一層法律を遵守する経済組織を構築し、不透明性を減らすことと共に、法の優位性とそれへの信頼の再構築、法律の適正で平等な適用に関し必要な信頼できるメカニズムを作り上げることである。これらの問題について歩みが踏み出されなければ、他の問題についても進展は見られないだろう。二つ目は、個人投資の質の重要性を守ることである。三つ目としては、効果的な産業政策を行うことである。より革新的で高度なテクノロジーの利用に基づく成長への移行は、官民の効果的な連携が必要である。新しい部門へ投資を行うにはリスクが伴い、投資の効果はとても不透明である。産業政策は、トルコでは一般的に奨励政策と見られている。しかし、産業政策は大いに上記の諸問題の解決向けられるべきである。財政支援、あるいは、一般的な奨励政策は、こうしたものの一部となりうるが、政策とはこれだけではない。
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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:46985 )