バルザーニー北イラク・クルド自治政府大統領、トルコ訪問
2019年06月23日付 Hurriyet 紙
北イラク・クルド自治政府(IKBY)のネチルヴァン・バルザーニ大統領は、大統領選後初めての外国訪問としてトルコを訪れ、イラク・トルコ関係のつながりの新たな時代が始まると述べた。
北イラク・クルド地域政府(IKBY)のネチルヴァン・バルザーニ大統領は、レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領とメディア非公開の会談を行った後、アナトリア通信に会見を行った。
IKBYのバルザーニ大統領は、6月10日に地域政府の大統領に選出されたあと、初の外国訪問でトルコを訪問したことの重要性を強調し、エルドアン大統領との会談を光栄に思うと述べた。
バルザーニ大統領は、会談の詳細について、以下のように話した。
「大統領選後初の外国訪問だ。レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領との会談を光栄に思う。両国の関係をどのように発展させるかについて、長い会談を行った。会談では、両国にとって重要な事柄について詳細に言及された。我々の地域とトルコ、イラク関係における新たなプロセスが始まると考えている。私の訪問が関係の進展をもたらすと確信している。」
IKBYのバルザーニ大統領は、エルドアン大統領のイラク訪問も非常に重要な1歩となるだろうとの見解を示した。
■「トルコは困難な時に常にそばにいた」
バルザーニ大統領は、トルコ政府と北イラク政府の間には歴史的な友好関係があると述べ、「トルコは、あらゆる困難な状況において、我々の民を支援してくれた。大統領閣下とトルコの人々の支援への感謝の気持ちを新たにした」と述べた。
バルザーニ大統領は、イラク・トルコ間の貿易関係にも言及し、貿易規模の拡大においてIKBYがどのような役割を演じるのかという問いに、次のように答えた。
「(イラク・トルコ間の貿易関係において)我々の地域の役割は重要である。我々の地域は、トルコ・イラク国境にある。クルディスタン地域は、現在幸運なことに、イラク政府と過去に比べ非常によい関係を築いている。トルコ・イラク間の貿易額は130億ドルほどだ。大統領との会談で、改めて貿易規模の拡大に言及された。これを成し遂げるために必要なステップを踏み出すことについて、大統領との会談で全面的に話し合うことができた。大統領がこの問題において非常に意欲的であることがわかった。イラクの貿易規模の拡大における、早急な前進を期待している。」
■オヴァキョイ国境門問題
バルザーニ大統領は、トルコとイラク中央政府の間でしばらく言及され、そのための合同代表団も立ち上げられた新たな国境門、オヴァキョイの開設において、IKBYがどのような政策を取るかに関しても、コメントを行った。
バルザーニ大統領は、この問題について北イラク政府とトルコ政府、イラク政府の間で真剣に話し合われるべきだと述べ、次のように続けた。
「周知のように、現在ある国境門のキャパシティを互いに増強した。新たな橋が建設され、(クルディスタン地域の)ザーホーではトルコ企業によってトンネルが建設された。これに関する我々の目標は、イラクと我々の地域、そしてトルコの間での貿易規模の拡大が容易になるようにすることである。」
IKBYの大統領はさらに、「貿易規模の拡大について、どのような対策を取る必要があるとしても、我々にはこの件について一切問題はない」と述べた。
バルザーニ大統領は、トルコ・イラク間での石油貿易におけるIKBYの役割にも言及し、「(トルコ・アダナの)ジェイハン港に向かう石油パイプラインラインがある。望まれない状況が起こった場合、イラク南部を始めとしてキルクークや他の地域の石油パイプラインを通して輸出を行うことについて、イラク中央政府への支援の準備ができており、このことを彼らにも伝えた。将来多くの石油を輸出するために、現在あるパイプラインのキャパシティを増加させたいと考えている」と述べた。
■バグダード―アルビル・ラインでの石油協定
バルザーニ大統領は、イラクのアーディル・アブドゥルマハディー首相が、「今月初頭にIKBYに送られた予算に対し、イラク政府は石油1バレルの収益も受け取らなかった」と述べたことに触れ、この状況に関してともに座って議論する必要がある第1の問題であると指摘した。
バルザーニ大統領は、2国間の石油協定について次のように述べた。
「原則として、イラク政府に25万バレルの原油が運ばれていることについて、いかなる問題も認識していない。しかし、その可能性に関して、まずは一堂に会するべきだ。私はここに来る前、バグダードにいた。イラクのアーディル・アブドゥルマハディー首相との会談で、この件が取り上げられた。問題は、25万バレルが運ばれることではない。この事業には法的に決められた規模がある。我々の地域は2014年に予算削減によって相当額の借金をした。これらのすべてを話し合い、そして解決を決議することが必要だ。解決法は、クルディスタン地域とイラク政府双方の意向に沿ったものでなければならない。イラクと共通の解決策に到達するために、クルディスタン地域はイラク政府を支援する準備がある。」
■「イラク領土を通してあらゆる国も害させない」
アメリカ・イラン間で近年起こっている緊張によるIKBYへの影響について問われると、バルザーニ大統領は、「私は戦争状態に戻らないことを望んでいる。この問題について、イラク政府とよく協議している。我々の政策の方向性は、イラク領土を通してどちら側も害さないというものだ。起こりうる戦争や問題において、イラク全土を守るよう努める」と答えた。
■「PKKが近隣諸国を害することは認められない」
バルザーニ大統領は、イラクのシンジャールやマフムール、そして国境地帯におけるテロ組織PKKの存在に関しても語り、「クルディスタン地域で軍事作戦が行われる主な理由は、PKKがそこにいるからだ。我々の領土が、特にトルコを始めとするあらゆる隣国に対して利用されることには、原則として反対である」と述べた。
IKBYのバルザーニ大統領は、次のように言葉を締めくくった。
「トルコは、非常に難しい状況の中で、我々を支援してくれた。トルコとクルディスタン地域の間に非常に良い成果を得ることができた。PKKや他のいかなる武装組織も、我々の隣人たちに問題を引き起こすことは決して容認できるようなものではない。この問題における我々の政策は以前から明確であり、そのまま継続していく。(PKKは)地域で500以上の村が放棄される原因となり、大きな問題を引き起こした。クルディスタン地域としての我々の政策は、近隣諸国と良好な関係をもつことである。」
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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:47021 )