エルドアン大統領「トランプ、制裁なしと発言」
2019年06月29日付 Cumhuriyet 紙


レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は日本で開催されたG20首脳会談の記者会見においロシア製地対空ミサイルシステム「S400」に関する質問に対し「トランプ大統領から制裁措置はないと聞いている」と回答した。

エルドアン大統領は、S400の購入に関して「現在配備プロセスの真っ最中であり、配備プロセスの中でこのような合意があったことは否定できない。そのようなことはトルコのような国家にはそぐわないし、もうこれは済んだことだ」と話した。
レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は、G20首脳会談に関してインテックス大阪エキシビションセンターで行われた記者会見で会見を行った。エルドアン大統領は、この会見の後に記者らの質問に回答した。
ロシアからS400を購入することに関する質問に対しトランプ大統領が行った記者会見に言及したエルドアン大統領は、以下のように回答した。
「彼と会談する直前に、私はすでに報道関係者らにこの件については十分な回答をしている。S400に関するすべての合意は達成され、すべてがもはや済んだことだ。現在はすでに配備プロセスに入っている。そして、配備プロセスにおいてもこのような合意があったことは否定しないし、それはトルコのような国には相応しくない。もはや済んだことだ。」
「しかしながら、ここで私は事実を語らねばならない。われわれはパトリオットミサイル購入の件で、オバマ前大統領時代に交渉を始めた。しかしパトリオットミサイルの件では、残念ながら『議会が承認しなかった』と伝えられ、われわれへの売却は実現しなかった。もちろん、われわれは再び防空システムのために交渉をスタートさせねばならなかった。そして最も好ましい条件であったのがロシアであり、彼らとの合意も得て購入に向けた交渉を開始したのである。」
「制裁措置に関しては、トランプ大統領が本日行った記者会見でこの件について明らかにしている。そのようなことはないとも彼自身から聞いている。例えば、われわれはS400について配備を進める一方で、アメリカからはロッキード・マーティン社から現在ボーイング社製の航空機を購入している。100機のボーイング社製航空機を、ロッキード・マーティン社から購入しているのだ。つまり、自由市場経済であるこの世界において、われわれはこれらを混同させることなく、且つ状況に応じて対応していくつもりだ。そのうえで、次の事実についても特に強調する必要があるだろう。われわれはアメリカと戦略的パートナーである。戦略的パートナーであっても、われわれが進めていることについてトルコの主権に介入するような権限などはないのであり、みながそれを認識しなければならない。」

■「われわれは市場ではなく、共同メーカーである」

F35戦闘機に対し、現在までにアメリカへ14億ドルを支払ったと話したエルドアン大統領は、以下のように見解を述べた。
「ここではわれわれは市場ではなく、共同メーカーである。共同メーカーとして、これまでにわれわれには4機のF35が配備されている。しかし、今後われわれが購入する機数は100に16を足した数になるだろう。つまり116機の航空機だ。われわれはこの件についても実現を期待している。支払い計画はスタートしており、現在支払いの最中である。しかし、こうした状況下である人々が出した声明は、大統領のアプローチと全く一致していない。こうした声明がわれわれ二国間の関係性を壊すものではないと私は信じているし、この決定を引き続き維持していくつもりだ。」
ある記者による「トルコ・アメリカ間でいかなる制裁措置も発生しないと言い切れるのか」という質問に対し、エルドアン大統領は「今現在、そのような見方はない。二国間の戦略的パートナーとしての関係性の中で、そのようなことが起きるということ自体が間違いであり、ありえないと私は考えている」と答えた。
エルドアン大統領はS400が地中海東部に配備される件が議題となったかどうかの質問に対しては、「まだ起きてもいないことが議題となるわけがない。まずは対応を進めるとともに見守るつもりだ」と答えた。
ある記者がジャマル・カショギ氏殺害事件について質問すると、エルドアン大統領は以下のように回答した。
「現在、報告機関が準備している報告書は、すべてを明らかにしている。このことに関してわれわれはいかなる国からの要求に対しても、それらすべての国や諜報機関の長官、あるいは関係者らに対してわが国の諜報機関が集めたあらゆる種類の情報や文書をある程度は引き渡している。こうした状況の中で、われわれは報告書の作成を進めている。現時点では、国連のカラマール特別報告者の報告書が特に多くのことを明らかにしており、すべてが公開されている。そして今後の動きについて私が確信していることは、アメリカや国連もこの件を追及することになるということだ。何よりもまず、われわれが最後までこの件については追及していくつもりだ。なぜなら、追及し続ける限り火が消えることはないからだ。」
エルドアン大統領は、カショギ氏殺害事件についてアメリカのドナルド・トランプ大統領と話をしたかどうかという質問に対し、以下のように回答した。
「今日ではないが、彼とは長時間にわたり話をした。以前フランスで会談したときも、これらについて極めて詳細に話をした。サウジアラビアが派遣したメンバーらとも同様に綿密に話をした。しかし、すでにすべてが非常に明確ではっきりしている。すべてのことが明確ではっきりしている状態でもなお、隠されていることがある。これらを白日の下にさらす必要性がある。彼はサウジアラビアの一市民である。しかし、事件が起きた場所はわが国だ。われわれに何が求められているのか?『被疑者を移送しろ、われわれがこちらで裁く』。なぜそちらで裁判にかけるのか?法には規則がある。犯罪はどこで起きたとしても、起きた場所で裁かれるものだ。」
「もしこのようなことが起きたとすれば、今わが国を訪れわれわれが被疑者と見ている人物らに関し、本来裁判を行うげき場所はイスタンブルである。なぜなら犯罪が行われた場所はどこだろうか?そう、イスタンブルである。イスタンブルで裁判にかけなければならないのだ。向こうはイスタンブル首席検事がサウジアラビアに赴くことを要求している。なぜ行かせなければならないのか?別の機会ならあり得るだろうが、なぜこの件で生かせる必要があるだろうか?彼らの国の検事をこちらへ派遣すればいいだろう。そもそも必要な情報はすでに送付済みだ。これとは別で今現在必要なプロセスの法の範疇での問題は、場所がどこであろうとその場所で対応が進められるべきということだ。」

■リビアでの軍事行動

エルドアン大統領はリビアのハリファ・ハフタル司令官がトルコに対して出した声明について言及し、「私はこの件に関し、何者かによりこのような命令が出されたというような情報は聞いていない。もしハフタル司令官によってこのような命令が出されたとすれば、命令が出ていたとしても現時点で関係のある多くの友人がこの場にいる。われわれはこの件についても調査を進める。そもそも、この件に関して必要な措置はすでにとってある。今後はさらに異なる形で対処するつもりだ。」とコメントした。
エルドアン大統領はS400がトルコへ7月15日に配備されるか否かについて、「正確な日付について私は知らないが、『7月上旬には配備が始まる』と関係者らは発表している。現時点での予想もこのあたりである」と回答した。
ロシアのプーチン大統領との会談ではイドリブ問題が議題となったかどうかについての質問に、エルドアン大統領は以下のように回答した。
「お察しの通り、われわれがプーチン大統領と会談を行ってイドリブが議題とならないことなどありえないだろう。なぜなら、当該地域においてトルコとロシアは実際に同じ時間を共有している。もちろんイランに関しても、ソチサミットの枠組み内で状況を共有している。私が観測地点と示した場所は、12か所が政権によって残念ながら攻撃を受けた。これらの攻撃の際に、わが国の兵士1名が犠牲となった。もちろん、その後に必要な対応は行った。今後このような攻撃が起きないことを願っている。現在は政情の安定が議題となっている。われわれは決して期待してはいないし、二度とこのようなことが起きてはならないと考えている。われわれは議論を行い、会談も行ってきた。これら監視塔の存在は、イドリブの保護、当該地域の保護を目的としている。この件について、われわれは最後まで高い感度を保ち続ける所存だ。」

■FETÖについてアメリカの対応

レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は「ギュレン派組織(FETÖ)やカショギ氏殺害事件に関し、アメリカのトランプ大統領が何かしらの動きを見せると考えているか?」という質問に対し、以下のように回答した。「特にみなさんご存知だろうが、アメリカとシリアのメンビチやユーフラテス川以東…これらに関してトランプ大統領が出した声明は、特に軍の完全撤退についてがテーマとなっていた。少なくとも、ユーフラテス川以東の軍の撤退については発表されている。さらに、現在イドリブについてもアメリカが関心を寄せていることは、われわれが行ってきた活動においても注目に値する。アメリカと連合軍がともに当該地域で活動するのを見ることは不可能などではない。アメリカもそこにいる。」
エルドアン大統領はロシア・トルコ間の動きについても以下のように説明した。
「ロシア連邦とわれわれの状況については、特にシリア北西部において全く異なっている。アフリン軍事作戦におけるわれわれの存在と、ジェラブルスやアル・バーブ等におけるわれわれの存在は、どちらもこのプロセスの中で互いにコミュニケーションを取ってきた結果です。今後のプロセスにおいて願うことは、例えばメンビチでアメリカと共同で作戦を進めることで今現在のメンビチを侵略者らから救出し、本来の所有者らに引き渡すことだ。この件について、われわれは非常に多くの活動を行ってきた。こうした情勢になってから1年が経過した。あの時、メンビチから侵略者らを掃討することは叶わなかった。もちろん、メンビチの正常化だけでなくこの土地の本来の所有者であるアラブ人らの移住もサポートすることが重要だ。」

■シリア

エルドアン大統領は、会見の中でシリア北部のテロ回廊についても言及した。問題となっている地域でテロ回廊が形成されていると指摘したエルドアン大統領は、「この場所をテロ回廊である状況から解放して平和の回廊とすること、そして本来の所有者たちの移住をサポートしていかなければならない。この件について歩みを進めることが必要だ。われわれはこの件についても尽力している」と話した。
国境線沿いに安全地帯を形成することについて改めて要求したエルドアン大統領は、以下のように言葉を続けた。
「この安全地帯に対しては、特に豊かな欧米諸国の支援により、トルコで仮設テントやコンテナハウスを設置した都市に残るシリア人らを支援国で建設された宿泊施設へ移住させたいと考えている。今日も多くの国家首脳らと改めてこの件について会談した。今後もこの件についてはフォローしていくつもりだ。」
サミット期間中に首脳らと行った会談ではFETÖについても議論したと話したエルドアン大統領は、以下のように見解を述べた。「すべての各国首脳らとFETÖ問題について会談を行い、自国でもFETÖ問題についてわが国の教育財団や各国の教育省と共同で活動を行うこと、そして特にこのテロ組織から自国を守ることを求めた。」
ある記者のこのG20サミット期間中にサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子(MBS)と会談を行ったか否かという質問について、エルドアン大統領は同皇太子とは会談を行わなかったと話した。
エルドアン大統領は、ジャマル・カショギ氏殺害事件を明らかにすること、そしてその責任は誰にあるのか明確にするために何ができるのかという質問に対し、以下のように回答した。
「カショギ氏殺害に関する情報や記録を私は耳にしている。これらの記録を聞いたからこそわかっているのだが、これらの記録はMBS皇太子が送り込んだ人々にもわが国の諜報機関が聞かせているし、彼らも知っている。しかも彼らの捜査はもっと進んでおり、『これは残虐で悲惨な事件』といった感じであり、ここで話すにはあまりに重い表現もある。第一段階でトルコに2機の航空機で送り込まれた15人がこの事件の加害者であり、この事件を起こす必要があったのもMBS皇太子だ。なぜならわれわれとの電話会談でこの件について約束をしたが、現在に至るまで何も実行されていない。彼らはこれを公表すればいいのであり、他所で加害者を探す必要などない。元外相の嘘の発言、MBS皇太子に吐かせた嘘がその根拠であり、これほどまでに明らかなのだ。これ以上私に何を話せと言うのか?」
「これらの記録を彼らが公表しなければならない。資料も記録も存在している」と話したエルドアン大統領は、「何よりもまず、人が殺されているのだ。これはそんなに軽いことだろうか?メディアとして、国際メディアがこの件についてもっと主導権をにぎるべきだ。ドルはすべてを買えるのか?買えないものだってなければならないし、買えないものについてもペンを執ってくれると信じている。ペンは買えないものでなければならないし、思考も買えないものであるべきだ」と発言した。
エルドアン大統領はある質問に対し、アメリカのドナルド・トランプ大統領との会談でトルコ・アメリカ間の関係について話をしたと述べ、「他にもS400の件や、F35についても話をした。これを踏まえて今後についての議論を行い、トランプ大統領のトルコ訪問についても話した。アメリカとトルコのビジネスマンを高いレベルで集結させることについても話をした」と述べた。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:47061 )