シリア人の人口が急増している自治体では、新しいインフラ投資の必要性が急速に高まっている。資金の限られている自治外に対しては、国連の開発機関であるUNDP（国連開発計画）が支援する。

社会の多くの分野で自国への帰国が期待されているシリア難民だが、すでに地方自治体ではインフラ投資の際、考慮に入れる要素となっている。ハタイ県、キリス県、シャンルウルファ県、そしてガーズィアンテプ県では、固形・液体廃棄物処理施設をはじめ、あらゆるインフラ投資においてシリア人難民の流入により増加した人口をベースに検討されている。

国連の開発機関であるUNDP（国連開発計画）は、EUとトルコの間でなされた再加盟合意に基づき、EUからトルコへ支払われた30億ユーロ相当の基金のうち5000万ユーロ分でこのインフラ投資を支援する。UNDPはまた、シリア人への語学・職能教育も支援する。語学教育では職につけていなかった教員を雇用するほか、職能支援では支援可能キャパシティの半分がシリア人、残りの半分がトルコ国民向けに割り当てられている。

■3つの視点

UNDPトルコ支部のスクロフ・コジマトフ副代表、UNDPシリア危機対応・正常化プロジェクトのポートフォリオマネージャーであるブルジェ・デュンダル氏、プロジェクトマネージャーのセルタチ・トゥルハル氏が、こうした取り組みについて、投資が続けられているハタイ県の現場で説明した。

2日間の詳細な説明を一文にまとめるなら、UNDPはこの件を3つのキーワードからなる視点で捉えている。そのキーワードは、忍耐、緊張、そして発展である。

■4県にまたがる領域で

570万人のシリア人が彼らの国を捨て、そのうち360万人がトルコへやって来たことを「危機」としてとらえて9年を経たこの状況に対し、「耐久力」をつけることが必須としている。なぜなら「忍耐力」がなければ「緊張」が始まり「発展」が中断されるからだ。

トルコ国内のシリア人で難民キャンプにいるのはわずか3.2％、その他はキリス県、シャンルウルファ県、ハタイ県、ガーズィアンテプ県、イスタンブル、イズミル県、ブルサ県を始めとした都市で暮らしている。
UNDPのプロジェクトは、キリス県、シャンルウルファ県、ハタイ県、ガーズィアンテプ県で、シリア人の流入により人口の増加した自治体の「忍耐力」を高めることを目的としている。この目的に基づき、UNDPはこうした自治体に、固形廃棄物処理、廃水処理および消防サービスのための投資を行う。

■消防用の新車両

シリア人流入とともに必要性の高まっているもう一つの自治体サービスは消防である。
アフリン（シリア）作戦を支援する地域の消防隊として、そして難民の暮らす困難な状況下での一次的な保護・防寒方策の第一歩として、この必要性が高められている。火災は増加しており、隊員は一日あたり10～15件のケースに介入が必要だ。 UNDPの支援を受けて購入された新しい消防車両も、隊員の負担軽減が目的である。

■一人あたり1キロの廃棄物

計算結果は明らかで、トルコで一人が1日に排出する固体廃棄物は1キログラムである。地方自治体は人口に応じてこの廃棄物を処理するための投資を行っている。しかし、難民流入等の予期せぬ状況で、人口が急激に30パーセント以上増加したことで、既存の施設では需要を満たすことができていない。

この時点で、問題となっている四県でUNDPが動き、インフラ投資にかかる負担を自治体と折半する。しかも先進国の基準に照らして、トルコ最大の都市ですら滅多に見られないクオリティの施設である。例えば固形廃棄物用の連結処理施設を設置すると、そこへ近隣の小規模な集落から連結トレーラーが一度で廃棄物を施設に運搬する。それにより節約をはかる。

屋外廃棄場では地下水への漏洩も防止されている。そしてメインの処理場では廃棄物が分別される。さらに、梱包（パッケージ）ゴミからの販売や、有機性廃棄物が排出するバイオガスが自治体への収益を生むことも期待されている。

■下水汚泥が収入に

UNDPは自治体の下水処理も支援している。ハタイ県ハッサ郡に設置された排水処理施設は6万人分の処理能力を持つことになる。この秋の稼動開始を見込むこの処理施設は、オロンテス（アスィ）川へ流れ混む汚水の量を減少させる。

そしてトルコ第四号となる太陽光乾燥プラントがキリス県の排水処理施設内に設置される。これにより排水処理場に蓄積された高毒性汚泥がプラント内太陽エネルギーで乾燥される。

このように有毒汚泥は固形廃棄物施設に運ばれ、地下水との混合は防止され、さらにセメント工場に販売されることで自治体への収入も発生する。

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（ 翻訳者:原田星来 ）
（ 記事ID:47108 )