南東アナトリアの服喪の食事提供、禁止へ
2019年07月28日付 Cumhuriyet 紙
南東アナトリア地域で、郡長府と宗教局は、苦痛の種になるとして服喪の食事提供を廃止させる取り組みを始めた。
南東アナトリアで長年の伝統であり、苦痛の種である「服喪食の提供」が廃止される。この地域では身内を亡くした家族は、3日間にわたり弔問客を受け入れる服喪の家で、何百人もの客へ1日2回の食事を提供する。この習慣が一部の家族にとって苦痛となり、これを受けて郡長府と宗教局は、この伝統を廃止する取り組みを始めた。
弔問客へ3日間1日2度の服喪食を提供するために、ローンを組んだり借金したり牛やトラクターを売る家族がいることが判明した。その結果、解決のために商人、イマーム、教師、村長から成る代表団が結成され、ファトワーがだされ発表が行われた。
一部の県では、こうした苦痛が取り除かれる一方、伝統が続く県での取り組みが続いている。
ハニ郡長府、代表団結成
ディヤルバクルのハニ郡郡長のトゥラン・ソーウコルク氏はアナトリア通信社へ、市民との会談の結果服喪食の廃止を決定したと述べた。ソーウコルク氏は、最近皆が苦しんでいることが伝わってきて、行動を起こしたと話し、「この地域には悲しい話がある。銀行からお金を借りざるを得なかった人、支払えなかった人、牛やトラクターを売らざるを得なかった人々かいた。若者たちがやって来て、『あなたたちも支持してください、服喪食を終わらせましょう』と言った。これを受けて多くの参加者と協議を開催した」と続けた。
「全市民に喜んで受け入れられた」
ソーウコルク氏は、商人から市民、学校幹部からイマームまで、多くの人々が集まったと話し、次のように続けた。
「会議で服喪の家で服喪食を提供すべきでないと決定した。市民は身内を亡くすと、悲しみにくれる暇なく、急いで食事の提供にかかっている。この地域の服喪は3日間続く。毎昼夜食事を提供する。一人あたりの平均費用は2万5千リラである。決定の遂行と伝達のために、代表団を作った。代表団は、郡の宗教局が取りまとめる。商人、イマーム、教師、村長から構成されている。代表団は、身内を亡くした家族のもとへ赴き哀悼の意を示し、あわせて決定も伝えている。全市民がこの話題に喜んだ。わが郡の数カ所と服喪の家に垂れ幕を設置した。市民は、この決定を喜んで受け入れた。」
服喪食の提供が郡レベルでは廃止され、これが県に広がることを望むとした。
モスクで説教
ディヤルバクル県のムフティ代理のニハト・コチ氏は、服喪の家で提供される食事が市民への負担となり始めているとして、モスクに付随する服喪の家で食事提供しない旨の手紙を送り、宗教関係者にこのことを伝えたと述べた。コチ氏は、服喪の家で食事提供はイスラムの伝統に即したものではないと指摘し、街中のモスクでの説教で訴え、市民へ伝えると話した。
コチ氏は「(家族を亡くした)家々では、皆が悲しんでいる、心を痛めている。心を痛めている人々に、食事のことで苦労や迷惑をかけることはできない。喪主が服喪食のためにあれこれすることになるなら、私たちは彼らにさらなる苦しみや辛さを与えてしまうことになる」と述べ、この間違った習慣をやめなければならないと話した。
コチ氏は次のように続けた。
「支払い能力のない人々は、銀行から有利子でお金を借りている。これはあってはならない。弔問客に食事を出すといって利子付きの借金をしてはいけない。葬儀の際、近所の人、配偶者、友達、経済状況のいい人たちが、喪主を気にかけ、見守るべきだ。彼らが料理をして、服喪の家へ持っていくのだ。葬儀で食事の提供は必須ではない。この間違いからすぐに抜け出さなくてはならない。」
メルケズ・マハッレシのアブドゥッラーマン・エヴラン村長は、市民は郡長府の決定に喜んでいるとし、苦痛は取り除かれたと述べた。住民のマルフ・ナリン氏は、服喪食のせいで借金した人々に同情しており、この習慣の廃止のために行動を開始した、と話した。また、ナリン氏は「この地域ではこの習慣が大変な苦痛となっていた。我々の願いは、この廃止の適用が全地域で先例となること」とし、これが地域の問題であると強調した。
「服喪に20万リラかかった」
スレイマン・オズリュ氏は、母親を2011年に亡くし服喪食のために借金したと話した。オズリュ氏は次のように続けた。
「服喪で2万リラの費用がかかった。返済するのに、親戚に助けてもらい1年かかった。我々の郡で、こうした決定がとられた。あのとき、こうした決定が出されていたらよかったのだが。そうすれば、私もこれほど苦労しなかったでしょうに。これから、誰もがこんな苦労をせずに、穏やかに喪に服せますように。この決定に感謝している。」
バトマン
県のムフティであるトゥルグト・エルハン氏は、悲しんでいる遺族が服喪食を提供することが、大きな苦痛の原因となっていると説明し、NGO、発言力のある人々らと一堂に会し、服喪食提供はふさわしくなく、喪主への食事提供こそがなされるべきであると決定したと語った。エルハン氏は、この決定に県の80%の人々が応じたとし、大きな苦しみに苛まれていた市民らは、決定がなされたあと、彼らに感謝をつたえてきたと述べた。
シュルナク
シュルナクのムフティであるラマザン・トラン氏は、服喪の家での食事提供は宗教とは関係がなく、これから先行われることはないと述べた。トラン氏は、服喪の後悲しむ遺族が数千リラの支払いをせざるを得ないと述べ、「こんな光景を見たことがある。ある子どもたちが生活のため出稼ぎへ出た。子どもたちが帰ると、母親が亡くなっていた。子どもたちは稼いだお金を全て母親の服喪食に費やした。借金する人も、家財などを売らなければならない人もいる」と続けた。
また、トラン氏は宗教に従うことの大切さを指摘し、経済状況のいい人がまず服喪食をやめることが、経済状況の良くない人を安心させることになると話した。トラン氏は、人々を無意味な出費や被害から救う必要があると説き、「服喪の家で出される食事を恥ずかしいとか思わずに、躊躇せずに廃止しなければならない」と述べた。住民のメフメト・シリン・コヌク氏は、弔問客に対して恥をかきたくない人は、かなり苦しむと話した。またコヌク氏は、「つらいときもみんな客をもてなす。しかし、これを慣習にするのはよくない」と話した。
ヴェイセル・テイムル氏は、シュルナクで服喪の家での服喪食提供が真っ先に廃止されることを要請したと述べた。
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( 翻訳者:甲斐さゆみ )
( 記事ID:47252 )