地震で変わる不動産市場
2019年10月05日付 Cumhuriyet 紙
イスタンブルで先日発生したマグニチュード5.8の地震以降、特に古い物件に住む人々が新築物件を探してはじめた。これに不動産業界が動きはじめ、最近「耐震住宅」「新築」「地震対策適合住宅」といった広告が前面に押し出されつつある。一方でこうした状況は、特に賃貸物件の価格を押し上げた。地震への不安から物件探しをする人々は、高額な住宅価格に不満を口にしている。
過去数年の住宅広告といえば「ボスポラス海峡を一望」「公共交通機関に近い」といった特徴が軒を連ねていたが、イスタンブルで発生したマグニチュード5.8の地震以降「耐震」「新築」といった文言が加わった。不動産業者らは、こうした高い需要によって、特にアヴジュラル、ブユクチェクメジェといった地域で賃貸価格が上昇したとした。地上1階、あるいはエントランス階に住む人々が早くも2階、3階へ移ったり、低階層物件の需要も増加しているといわれ、新築物件では地域ごとに差はあるが2ベッドルーム+1サロンの間取りでも最低1200トルコリラ(約22447円)からスタートする。地震後、賃貸物件の価格は300~400リラ(約5000円から7000円)程度上昇している。
■賃貸住宅の価格上昇
購入需要より賃貸需要のほうがかなり大きいと語るブユクチェクメジェ地域の不動産コンサルタントであるウラシュ・ゲゼン氏は「我々の地域には築40~45年という古い物件がある。そうした古い建物に住む人々が新築住宅に移りたいと事務所にやってくることが最近非常に多くなっている。我々を訪れる顧客の45パーセントは古い物件から新しい物件に移りたいという希望をもっており、また購入ではなく賃貸の希望が多くなり始めている。これが賃貸価格を押し上げはじめた。長いこと買い手のなかった新築物件もこの需要に見合いはじめてきた。市場における地震の影響を感じていている」と述べた。
■広告も様変わり
不動産コンサルタントのメフメト・ファルク・オズゲン氏は、地震発生前は人々は建物の耐震性の有無はそれほど気にしていなかったといい、一方で「現在、我々のところにやってくる人々は「地震の影響をいかに最小化するか」という観点で物件を探している。最近は広告も変えはじめた。広告では人々にラディアル方式であること、新築であることを示す文言を使用し、安心感を与えるよう努めている。地震以降、新築物件探しも始まった。特に物件オーナーすら持っている部屋を賃貸に出すことさえも考えず、「新築物件に賃貸で暮らしたい、子供たちを守りたい、地震の被害を受けないようにしたい」と代替の選択肢を探しはじめた」と語った。
■「鉄筋、梁、コンクリートの特質まで書く」
現在インターネット上に掲載している住宅広告では、以前は見られなかった多くの特質が記載されているとオズゲン氏は強調し、「耐震工事業者が行った措置、コンクリートや鉄筋、施工の詳細な情報を公開している。以前は部屋数や賃貸料を示していた。今では柱や桁のシステムまで書いている。書かなければならないのだ、なぜなら人々は明らかにこちらのほうに関心を転換した」と話した。
■市民は住宅価格に不満
古い建物に住む人や自宅が地震被害を受けた人々は、新しい住宅を探し求めている。地震以降、価格は上昇したと語る市民らは、この状況に対して不満を抱く。不動産屋を渡り歩いても予算に見合う住まいを見つけられなかったという人々は、今後どうするか深刻に頭を悩ませている。
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:47731 )