米紙「トルコの反YPGと反クルドを混同してはいけない」
2019年10月09日付 Hurriyet 紙
ウォール・ストリート・ジャーナル紙に掲載されたある記事で、「アンカラがYPG(人民防衛隊)の武装に対して反応していることを、反クルドとして解釈するのは無知なふるまいである。」という評価が行われた。
ハドソン研究所上級研究員で中東の専門家であるマイケル・ドラン氏とプリンストン大学の教授であるマイケル・レイノルズ氏は、ウォール・ストリート・ジャーナルのために
「トルコのアメリカに対する正当な訴えが存在している」というタイトルで記事を執筆した。
アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領による、シリアの北部でトルコが作戦をおこなうことを計画した地域におけるアメリカ軍の撤退の決定は、ワシントンの多くの政治家そしてシンクタンクから反発を受けたと指摘する発表において、「しかしながらこの批判を行う人々というのは様々な現実を無視している。」という表現が用いられた。
■「YPGにはPKKとの基本的な結びつきが存在する」
トランプ大統領が、シリア北部の「PKK(クルディスタン労働者党)と関わりがあるクルド人勢力」への支援をやめることには正当性があると強調する記事において、「トルコが南部の国境をYPGから守ることについての決定は、一般的にみて悪意があることのように見える。しかしながら、YPGはPKKとの基本的な結びつきが存在していて、これは当時の国防長官であるアシュトン・カーター氏が2016年の議会における発言で明言している。」という情報が共有された。
トルコを批判する人々は、ロシア製S-400ミサイルの購入も根拠なく批判していると強調している記事においては、アメリカとトルコ間の関係は、ただレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領のキャラクター以前に、トルコで増している「アメリカへの敵対心」と結びついてエルドアンを支持しない人々でさえもアメリカに対して対立する立場をとっていると指摘された。
■「アメリカの弱腰のシリア政策」
記事においては、トルコのアメリカ合衆国に対しての3つの基本的な問題が存在していると強調して、以下のような表現が用いられた。
「これらのうちの一つが、アメリカの弱腰なシリア政策だ。アンカラは、シリア国民の独裁者であるバッシャール・アル=アサド氏を退陣させるために支援をおこなったが、ワシントンはそのあとに続いただけだった。しかしながらトルコが、領空を侵犯したために2015年に一機のロシアのジェット機を爆撃した際に、バラク・オバマ大統領のこの状況をアメリカの重要な地域のパートナーと、アメリカの利益に対しての巨大な敵対者との争いであるというより、むしろ第三者同士の言い争いととらえた。アンカラは孤立すると、モスクワと和解するほかに解決策がないことに気が付いた。プーチンの確固たる姿勢は、オバマの及び腰な態度に打ち勝った。そしてこの状況もまたロシア製S-400ミサイル合意にいたることになる関係を生んだのだ。」
■「アメリカは、トルコとの協働の代わりにPKKのシリア派閥YPGを支援することを選んだ」
トルコの不満となっている他の問題は、アメリカがフェトフッラー派テロ組織(FETÖ)の首領であるフェトゥフッラー・ギュレン氏を迎え入れていることだと指摘する記事では、
「アメリカ合衆国のある時期にアンカラ大使になったジェームス・ジェフリー氏が、シリア特別代表の職務に就く前に、『ギュレンがアメリカに居住しているのは恥ずべきことだ。』と語ったらしい。どれほど多くのトルコ人が、アメリカが一体どのようにしてこの卑しい人間に対する隠れ家となりえるのだろうかと問いかけていることだろう?」という評価が行われた。
記事では、トルコの三番目、しかしながら最も重要な不満はといえばオバマ政権が2016年にとったYPGメンバーの武装と教育をおこなう決定であると指摘して、以下のような表現を用いた。
「アメリカは、トルコと協働する代わりに、PKKのシリア派閥のYPGを支援することを選んだ。トルコ国民はこの組織に何年間にもわたる争いそして何万人もの人々の死の責任があるとみている。PKKは、トルコ共和国に対しての巨大な脅威を構築している。そしてすべての政治的な傘の下にいるトルコ人は、この組織を嫌っている。アンカラがYPGの武装に対して反応を示すことを、反クルドとして解釈することは無知なふるまいだ。これはちょうど、アルカイダに対しての闘争をイスラム恐怖症として解釈することと似ている。」
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( 翻訳者:堀谷加佳留 )
( 記事ID:47762 )