米ペンス副大統領「クルド組織YPGは撤退する」
2019年10月17日付 Milliyet 紙


アメリカ合衆国のマイク・ペンス副大統領は、「トルコとアメリカ合衆国は、トランプ大統領とエルドアン大統領の強い友好とリーダーシップ、トルコとアメリカの強い友好関係のおかげで今日(2019年10月17日)休戦協定に合意した」と述べた。

「トルコとアメリカはシリアにおける停戦協定について合意した」と述べたペンス副大統領は、「平和の泉作戦に120時間の停戦が与えられる」と語った。

ペンス米副大統領は、トルコとアメリカはイスラム国がシリア北東部から完全に掃討されたことに関して同じ見解に至ったと強調しつつ「(120時間以内に)アメリカ合衆国はYPG(人民防衛隊)の安全地帯からの完全撤退を保証する。我々の目的は次の120時間以内に(YPGの)撤退を確実にすることだ。これはすでに開始されている」と述べた。

ペンス米副大統領はYPGは当該地域からの撤退を保証したと述べ、トルコに課している経済制裁に関して、「120時間のなかで新たな制裁を行うことはない。シリア北東部で恒久的停戦がもたらされれば、現在の経済制裁は解除される」と述べた。

■「トルコとアメリカは強い友好関係によって合意に至った」

ペンス米副大統領はドナルド・トランプ米大統領が先週トルコに作戦中止を求めていたことを指摘しつつ次のように述べた。

「トルコとアメリカは、トランプ大統領とエルドアン大統領の強い友好とリーダーシップ、トルコとアメリカの強い友好関係によって今日停戦協定に合意した。トルコ側は、YPGに安全地帯からの撤退を許すため、平和の泉作戦を120時間休止する。撤退が完了したのち作戦は完全に中止される。

ペンス米副大統領はアメリカ政府が、テロ組織YPGとクルディスタン労働者党(PKK)と現在接触しており、YPGとPKKが国境の20マイル(約32キロメートル)南に撤退を開始している。

トルコがアイン・アルアラブ(コバニ)に軍事介入することはなく、トルコとアメリカは近く国際的に管理される安全地帯の形成に向けて合意した。

シリア北部におけるテロ組織イスラム国の活動の完全終結のために両国の協力関係を再確認した。これは同時に、イスラム国が以前から支配している地区における監獄や土地を追われた人々への協調対策についての協約も含まれている。

シリア北部で困難な状況にある人民と、宗教的、民族的マイノリティの保護に向けて合意した。少し前に私はトランプ大統領と話をした。トランプ大統領はエルドアン大統領の停戦協定への歩みに対する前向きな姿勢と、一週間前に始まったこの争いの平和的緩和策に感謝を示している。
トランプ大統領とエルドアン大統領の強いリーダーシップが合意を可能にした。トルコとシリア国境につくられる安全地帯に平和と安定をもたらすためにトルコと他の国々との取組みを継続していく。」

■協定合意の早急な実現に尽力する

この1週間でのアメリカとトルコとの展開を経て、両国の関係をどのように修復するかという問いに対して、ペンス米副大統領は次のように語った。

「協定合意からも分かるように、もちろんアメリカは停戦の実現後、トルコへ新たな制裁を科すことはない。そして恒久的停戦が実現すれば、トランプ大統領は現在の経済制裁を解除することで合意した。トランプ大統領は我々の盟友であるトルコに対し、明確にこのようなメッセージを発した。トルコ軍事力のシリアへの進軍に関して反対の意を示した。エルドアン大統領とのいくつもの会談や書簡でこの件を何度も言及した。トランプ大統領の率直な言葉とエルドアン大統領との強い関係性、そしてこれらすべてがこの協定合意を可能にしたのだ。これからは協働してこの合意を早急に実現させるために尽力する。」

ペンス米副大統領は、職員らがこの問題について既に動き始めており、秩序ある撤退のためにテロ組織YPG、PKKとともに活動し始めていると述べ、地域に平和と安定をもたらすだろうと評価した。

■「停戦協定は、宗教的少数派の人々を守るために重要なステップとなる」

ペンス米副大統領は、地域における宗教的、民族的マイノリティが保護されることの重要性についてエルドアン大統領と綿密な話し合いを重ねており、エルドアン大統領からはトルコにおける宗教的指導者の考えを伝えられていると述べ、マイノリティの人々が安全に生活できるよう協働し、多元主義が適用できるように協力を続けると語った。

マイク・ポンペオ米外務相も、停戦協定は宗教的少数派の人々の保護に重要なステップとなり、マイノリティたちが直面してきたリスクを抑えるだろうと述べ、「我々は確かに多くの試練に直面している。特に、イラクなどの国々にいる宗教的マイノリティたちだ、しかし停戦協定はこの問題に重要な貢献をするだろう。また別の点では、エルドアン大統領とその側近がこの問題に様々な主張を展開するであろうことに疑いはない」と語った。

ポンペオ外務相に続いて再度発言したペンス米副大統領は、テロ組織YPG/PKKとともに撤退に尽力すると繰り返し、次のように語った。
「我々の目的は、きたる120時間内に彼らの撤退を確実にすることで、これが実際に文字通り開始されている。これは国境の約20マイル南まで至る地域である。彼らがこの地域から撤退し、トルコがこのような形で軍事作戦を中止することを受け入れたこと、我々がこれを実現させるべく作戦中止を決定したことが、実際に撤退の実現を可能にする。今まさに撤退が始まっていることが分かっている。我々が話している今この時に開始したのだ。」

■「120時間以内の実現を確信」

ペンス米副大統領は「トルコは実際に国境に関して大きな懸念を抱えている。アメリカはシリア国境に対する軍事作戦を適切だと思わなかった。しかし、我々は常に安全地帯を支援した。この問題は、会談と交渉で取り上げられた」と語った。

ペンス米副大統領はシリアで良好な関係にあるクルド人に、テロ組織イスラム国を敗北に至らしめたことについて感謝していると強調し、「同様に、我々はシリア人やクルド人の人口と、トルコ国境間の安全地帯の存在の重要性を認識している」と述べた。

ペンス米副大統領は、トランプ米大統領が停戦協定の早急な実現のために自身をトルコへ派遣したのであり、この合意はトランプ大統領が示した強い姿勢で実現されたと述べた。

また、協定合意によって、YPG/PKKが安全地帯から撤退することが、平和と安定の強化に向け新たな機会を生むことを強調して次のように述べた。

「我々は撤退の120時間以内の実現を確信している。撤退後は恒久的停戦となり、我々はともに活動を継続するが、それは軍事的なものではない。トランプ大統領は現地から軍の人員はいなくなると明確に発言した。ただしアメリカは、地域の情勢に影響を受けるすべての人々のために、行政的、政治的、また人道支援の立場から介入していく。」

マイク・ペンス米副大統領は、トルコとの会談が始まってからこれまでに、停戦協定をどう導入するか検討してきたこと、トルコとアメリカ両国の利益に適い、安全地帯に関する状況が平和的な方法で解決しうる合意がなされたことを強調した。

YPG/PKKとは繋がりを持っており、彼らが地域から撤退することをアメリカに確約したことを強調したペンス副大統領は、「この合意は、シリアにいるクルド人とトルコにとって利益となる。この地域でこの先長期間に渡って緩衝地帯が形成され、平和と安定をもたらすことが可能になる」と語った。

■「国民銀行(ハルクバンク)については会談で取り上げなかった」

ペンス米副大統領はハルクバンクについて会談で取り上げなかったとして、この問題が法務省と裁判所でのプロセス上にある問題だと述べた。

ペンス米副大統領は停戦協定が結ばれなかった場合、トランプ大統領がトルコにとても大きな制裁を科すことは間違いないだろうと述べ、「120時間の休戦協定であり、今後5日間攻撃が中止されることになっている。我々もこの期間内に新たな制裁を科すつもりはない。アメリカは、恒久的な停戦協定が実現し、YPG勢力が安全に撤退した後に、最近一部省庁の高官と一部組織に科した制裁の解除を決議した」と語った。

ペンス米副大統領は、アメリカはトルコのシリアでの軍事作戦を支持しないことを明言すると述べ、次のように語った。
「トランプ大統領は、友人であるエルドアン大統領にこれを明確に伝え、アメリカは週初めにトルコに制裁を行使した。トランプ大統領は昨日もこれを明言し、我々は今日これを明確に語った。暴力の終結と罪のない人々の犠牲を終わらせるために新たな制裁を行使すると語った。

今日の停戦協定はトランプ大統領とエルドアン大統領の強い関係性の結果であると強く信じている。これは、二国と二人の指導者の力を示している。親友の間でも意見の相違はありえる。しかし、親友は意見と感情を表現する。このことが我々が一つの協定に至ることを可能にし、停戦協定の実現をもたらした。これは平和的、安定的な安全地帯の設定の先駆けとなった。アメリカ合衆国はこれを成功させることを約束した、これも全員の利益となるだろう。」

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( 翻訳者:齋藤楓 )
( 記事ID:47850 )