Abdulkadir Selviコラム:米・露、秘密の合意はあるのか?
2019年11月09日付 Hurriyet紙

2019年10月15日
「米軍がマンビジュから撤退する際、ロシアとシリア政府の旗を掲げた軍用車がマンビジュに侵入していた。」
2019年10月16日
「米軍撤退後の基地はシリア軍の管理下に置かれた。米軍が撤退したマンビジュやタブカ、アインイーサ、ラス・アルアイン南部及びハセケの農地等を含むテルタミルのような重要地域には、シリア軍やロシア軍が侵入した。」
2019年10月19日
「アメリカ軍はコバーニーから撤退する際に、シリア軍及びロシア軍と遭遇した。」
アメリカとロシアは、どちらかの軍で地域を占領した撤退したりを繰り返している。アメリカが撤退した地域には、同時にロシア軍が侵入している。これは同じ軍隊の異なる部隊がそれぞれ行ったり来たりしているようなものだ。
2019年11月4日付で私が書いた「われわれはまだロシアといかなる合意にも達していない」という見出しの記事では、ある関係者の話として2016年に「アメリカ・ロシア間でわれわれには知らされていない合意があると感じている。そもそも、当該地域における彼らのやり方がこれを示している。彼らはシリアを共有しているのだ」という発言があったと書いた。

私はアンカラでこの記事を書いたが、これに対する回答はモスクワから来た。ブルンジ共和国のニビギラ外相との会談後に行われた記者会見で、アナトリア通信の記者がロシアのラヴロフ外相にロシアと米国間でシリア北東部に関する秘密裏の合意があるという主張について質問した。シリアのテロ組織が一掃された地域に関し、アメリカとはいかなる合意もないと回答したラヴロフ外相は、「現状、アメリカと何かしらの合意に至ることは可能と思えない」と発言した。さらにラヴロフ外相は、「トルコ・ロシア間においても、ソチで署名した合意書以外に密約を結ぶいかなる理由もない」と述べた。

■4点で合意

実際、ラヴロフ外相からの「アメリカと秘密協定を結んでいる」という発言は期待していなかった。ラヴロフ外相のような経験豊富な外相が「われわれはアメリカと合意し、シリアを共有することにした」など言うべきとは思えない。内戦が始まった2011年以降、シリアはアメリカの影響下にあった。それは2015年9月30日まで続いた。さらに言えば、アメリカがシリアで活動していた時期に、ロシアはシリアに招待されているのだ。

アメリカとロシアがシリアで同盟を結んだことは、重要なポイントとなった。

1:イスラム軍との戦い
2:YPGというカードの使用
3:石油のシェア
4:アサド政権の継続

エルドアン大統領はこれらのシェアを認識した上で、次のように発言した。「われわれは会談を行って、次のことを確認した。アメリカとロシアにとって、そもそもの問題は石油であった。アメリカはデイリゾールを、ロシアはカムシュルの放棄を望まなかった。なぜなら、これら2つの地域には豊富な石油の堆積物がある。カムシュルの石油埋蔵量は、トルコの石油使用料の50%程度ある。アメリカとロシアはいずれもこの石油を手放したくないのだ。会談ではアメリカ当局が、『油田がイスラム国の手中に落ちることを望まない』と発言した。両国はその他の問題を重要視していない。」

■アメリカとロシアの情報部員による会議

アメリカ・ロシア間に秘密裏のシリアに関する議題があることを示した進展が、2018年1月に行われた「情報部員」らによる会議であった。

アメリカの選挙にロシアが介入したという議論が高まった際、ロシアの主要な情報機関のトップがアメリカで会談を行っている。

現在のポンペオ外相は、当時CIAの局長であった。ロシアの情報機関で重要な役割を持つ3人がアメリカに赴いた。特別な許可によりアメリカに入国した代表団の筆頭には、セルゲイ・ナルイシキンロシア連邦対外情報庁長官の姿があった。ロシア連邦保安庁のアレクサンドル・ボルトニコフ長官とロシア軍諜報部隊のイゴール・コロボフ将校も同行していた。アメリカとロシア双方の情報機関の最高幹部が、シリアについて議論をしたのだ。

■ヒラリー・クリントンは何を話したのか

シリアにおけるアメリカとロシアの地位に関する舞台裏の情報は、段階的に私のもとに届いている。あくまで私の観点ではあるが、刺激剤となったのはトルコ及びイスラエルで行われた2つの重要な会談であった。2016年2月16日、イェニシャファク紙ではこれらの会談の舞台裏について次のように述べられている。

アメリカのヒラリー・クリントン米国務長官がトルコを訪問していた。シリアの今後についてが語られる中、「アサド政権の後は誰が台頭するか?」という質問があった。「シリア国民が誰を選ぼうと、その人が台頭することになるだろう」と回答するとともに、「選挙が実施されればムスリム同胞団が立つことになるだろう。一方で、シリアにはヌサイリー派やキリスト教徒のアラブ人、ドゥルーズ派もいる」と彼女は答えた。

また時期を同じくして、シリア内戦勃発時にアサド政権の運命について議論されていたときであったが、トルコの国家諜報機構(MİT)とイスラエル諜報特務庁(MOSSAD)の幹部らがエジプトで会合を行った。MOSSADのパルド長官は、MİTの幹部らに向けて「アサド政権が去った後は誰が台頭することになるだろうか?その人物の情報が欲しい」と話した。MİT幹部らは、シリア国民が誰を擁立するか、それ次第だと話したという。

MOSSADのタミル・パルド長官は、「アサドの次はムスリム同胞団が台頭するだろう。しかしわれわれはそれを望まない」と答えた。

ムスリム同胞団の台頭を恐れて、彼らはシリアを地獄に変えた。

もしエルドアン大統領が行動を起こさなければ、国境沿いでPKKはテロ国家を宣言しただろう。

そう、エルドアン大統領は明言している。プーチン大統領との合意はスピード感をもって進められている。しかし、これはアメリカ・ロシア間の密約を覗き見る妨げにはならないだろう。

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(翻訳者:指宿美穂)
(記事ID:48017)