Sedat Erginコラム:NATO首脳会議ートルコをめぐる米仏対立
2019年12月05日付 Hurriyet紙

12月4日、ロンドンで行われたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議が閉幕した。この首脳会議は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領の「NATOの脳死」発言に起因する議論が形作った雰囲気の中で行われた。

ニューヨークタイムズの報道によれば、マクロン大統領のこの言は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相から、11月にベルリンで行われた食事会で同大統領にあまり外交的とはいえない回答を引き出した。
メルケル首相は次のように話したのだ。「事態を混乱させるあなたの政治スタイルは理解しています。しかし私は砕けた欠片を広い集めることにうんざりしています。私たちが座ってお茶を飲めるように、私は毎度あなたが割るカップをつなぎ合わせて、1カ所に集めないといけないのです。」

NATO首脳会議は、ある意味でマクロン大統領がカップを割ってしまったダメージを修復しようという重大な試みの舞台となった。

ここで注目すべきことは、3年前にホワイトハウスに足を踏み入れて以来、NATOを重視していないことを隠すことなく、アメリカがヨーロッパの安全保障に関与することについて疑問を呈したドナルド・トランプ大統領が、彼のこうした発言を理由に、マクロン大統領に厳しい言葉を浴びせたことだった。

トランプ大統領は、12月3日のイェンス・ストルテンベルグNATO事務総長との会談後、マクロン大統領の発言について尋ねられると、「NATOは大きな目的に向かって活動している」と述べ、次のように続けた。
「彼らにとって非常に危険な発言だ。まったく、とてもひどい発言だ…。NATOについてこのような発言をしてはいけない。とても無礼だ…。彼を見るに、誰よりも最も守りを必要としているのではないか。」

NATOをフランス大統領から庇う役目が、NATOの熱心な支持者ではないことで知られるトランプ大統領に渡ったことも、マクロン大統領の発言が招いた動揺の大きさを示すのには十分である。もちろん、度々粗野で、測り知れない言動をとることで知られるトランプ大統領が、マクロン大統領に行儀を説く側に回ることは、この構図の皮肉な側面を強調している。


マクロン大統領とトランプ大統領が12月3日に報道陣らの前に姿を現した共同記者会見が極めて対立的な空気のなかで行われたことや、重大な見解の違いが示されたことは、全く意外なことではなかった。フランス大統領が、世界のメディアの前でNATOに対する「脳死」発言を支持する際に、これを一定度、トルコにその責を負わせようとしていることを私たちは強調しておかねばならない。

マクロン大統領のこうした奮闘には、注目すべきポイントが2点ある。1つ目は、「イスラム国(IŞİD)に対し我々と共闘する者たちと戦っている」として、トルコが人民防衛隊(YPG)を標的にしていることを批判し、加えてトルコをイスラム国と協力関係にあると見せかけようとしていることだ。2つ目は、ロシアからS-400ミサイルを購入したことでトルコがNATOを裏切ったと述べたことだ。

マクロン大統領に対し、トランプ大統領はトルコを庇った。こうした中で私たちが確認するべき重要なことがある。それは、今日の西洋世界においてトルコに対して最も批判的なラインに立つ指導者がフランスのマクロン大統領であり、トルコを最も力強く擁護するミッションをアメリカのトランプ大統領が担っているという事実だ。これについては、トランプ大統領とレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領の間にある個人レベルでの親密な関係性が重要なファクターだということは間違いない。


マクロン大統領のこの批判だけでなく、エルドアン大統領がマクロン大統領に先週発した「君はまず自分の脳死を確かめろ」と言う返答も、トルコ・フランス両政府間に元々あった緊張状態のレベルを間違いなく高めたと言える。

マクロン大統領の態度には、トルコが11月にユーフラテス川東部で開始した軍事行動が与えたフランス側への不快感が最も影響しているといえるだろう。この点について、長年にわたってNATOを取材するブリュッセルのベテラン記者、ギュヴェン・オザルプ氏の解説にも耳を傾ける必要がある。オザルプ記者は、マクロン大統領は、①「平和の泉」作戦を防ぐことができなかった、②この件でアメリカを味方につけることができなかった、③同盟者と位置づけているYPGに協力できなかったために、トルコを「個人的な問題」に巻き込んだ、と考察している。


興味深いことにマクロン大統領は、NATOの「脳死」発言をした『エコノミスト』誌のインタビューで、NATOの基本的な理念を構成する北大西洋条約の「1つの同盟国に対して行われる攻撃は、全同盟国に対して行われたものと見なす」とする第5条の適用性についても俎上に載せた。

マクロン大統領は、「第5条が適用されることについて疑問を感じているのか」という質問に対し、「分からないが、明日第5条にどんな意味があるだろうか?もしバッシャール・アサド政権がトルコへ報復することを決めたとしたら、私たちはこの条項の取り決めを適用するだろうか?これは極めて重要な質問だ」と述べ、答えを示さなかった。

12月4日に公表されたNATOの通知文の冒頭段落では、第5条が極めて力強く強調されていたが、これは間違いなくこの件における迷いを散らそうとしたものだ。しかし、この動きが「脳死」問題をどれほど鎮静化できるのか、見守っていく必要がある。

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(翻訳者:金戸 渉)
(記事ID:48199)