中国の武漢市から拡散しはじめ世界に恐怖を振りまいているコロナウィルスの流行により、多数の国で中国人や中国人に似た外見をもつアジア人への偏見が生まれはじめている。本紙ではトルコで何が起きているのかをイスタンブル在住の中国人らに訊ねた。
■地下鉄で席が空いていても座らない。車両の隅に身をひそめる 武漢出身 ヤン・シャオユー
私は流行が始まった武漢で生まれました。家族はまだそこに住んでいます。毎日彼らに電話をかけてます。もちろん家族を心配していますが、私は自分の国がこの危機を乗り越えられると信じています。ここ1〜2日でも状況は改善しはじめ、良いニュースが届いています。私は7年前にトルコに来て、直近の5ヶ月はイスタンブールに住んでいます。公共交通機関に乗ると人々は私を避けます。たとえば公共交通機関であらゆるインフルエンザ菌から身を守るためにマスクを使用したいのですが、マスク着用者は病人だと思われます。マスクを着用していて、しかも中国人であることは人々を徹底的に怖がらせてしまいます。バスや地下鉄では空席があっても座りません。人々は訝しむ視線で、誰も私の隣に座りたがらないからです。私も決して座らず車両の隅に身をひそめます。私にはトルコの人々の気持ちがわかります。中国人を避けるのは正しいし、私たちにウィルスがいたら怖いと彼らは考えているのです。とはいえ私が最後に中国に行ったのは一年半前です。でもそのことを一人ずつに一から説明しようとは思いません。今は、自宅から職場、そして職場から自宅への往復でそれ以外の社会生活は完全に終わってしまいました。
■サルやコウモリ、昆虫を食べると思われている 中華料理&寿司店シェフ デユ・チェン
私は20年以上イスタンブールにいます。トルコでは、人々はインターネットを鵜呑みにして我々が昆虫やサル、コウモリを食べると考えています。
しかし中国でもそうした生物の販売は禁止です。正直に言えば、私もこれまでの人生で見たことがありません。我々もトルコにいるときと同じように牛肉や羊肉を食べます。中華レストランで使用されている食材はトルコ国内から調達しています。
■顧客25%減少 中華料理&寿司店マネージャー アリフ・エムレ・エムジ
20年間この仕事をしています。キッチンスタッフは全員中国人です。彼らは約5年間ずっと一緒にいます。彼らは、直近では2年半前に中国に行って帰ってきました。またトルコに戻る度に健康診断を受けています。今回のコロナウィルスの流行で顧客は25%減少しました。人々は中華料理について無知なために聞いたことを何でも信じてしまいます。インターネットで見たものをすべて信じて、「虫を売っていますか?ネズミは入っていますか?食材は中国産ですか?」といった質問を尋ねられることもあります。我々が使用する野菜はすべてトルコ産です。毎日公設市場から購入しています。また、例えば寿司に添える紅ショウガは中国ではなく日本から輸入しています。ソース等ももちろんここで作っています。
■レストラン入店拒否 トルコ語教師 マ・ヤン・アン
イスタンブルは中国で非常に有名でロマンチックな都市です。それに憧れて私も5年前にここに来ました。イスタンブル大学でトルコ語教育を学び、現在はトルコ語教室で教えています。これまでも常に私たちへの偏見はありましたが、今それが急増しています。私は外食が多い人間ですが、レストランで入店を拒否されるようになりました。「なぜ?」と尋ねると「ほかのお客様が不快に思われるためです。我々に他意はありません。ご理解ください」と言うのです。先日、地下鉄に乗り座席に腰掛けたところ、年配女性二人が怖がって私のそばから離れていきました。私は5年間トルコにおり、その間中国には行ったことがなく、ウイルスは持っていないと皆に言っています。しかし彼らも私に、「自分の身を守らないといけない」と言うのです。うなだれて隅っこに立っているせいか、暴力的な事件に遭遇したことはありませんが、この状況は私を悲しませ、憤らせています。中国に帰ることも考えましたがもうそれも不可能です。中国も今は危険なので。中国人だからといって病気ではありません。ウイルスをも持っていません。お願いですから怖がらないでください。
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:48530 )