公娼宿の女主人であったマティルド・マヌキャン氏の巨額の遺産の分け前を預かろうと、ケロぺ・チリンギル氏に対して訴えを起こした36人が、今度は裁判所に戸籍の訂正を訴えた。この36名はケロぺ・チリンギル氏はマヌキャンさんの息子ではなく、戸籍は虚偽のものだと主張している。裁判所は、マヌキャンさんが何年も営んでいた公娼宿に関する全ての書類を、県知事府と内務省に請求することを決定した。
ケロぺ・チリンギル氏がマヌキャンさんの息子ではないと主張する36名の弁護士を務めるオクタイ・キョセ氏は、「マティルド・マヌキャンさんは、父親と、叔母であるスーザン・チャー・モウラディアンさん両方の遺産を相続している。彼女の死後、ケロぺ・チリンギル氏が、36名に渡るはずの全資産を相続した。ケロぺ・チリンギル氏はマティルド・マヌキャンさんの息子でも、相続人でもない」と述べている。36人の原告は、公娼宿の売り上げをはじめとして、220台のタクシーと486件の不動産、銀行口座、株や外貨資産などマヌキャンさんの遺産を、遺産管理人によって公平に分配することを要求している。彼らは今回、ケロぺ・チリンギル氏とマティルド・マヌキャンさんの戸籍が偽装されたものだとして新たに訴えを起こした。36名はイスタンブル第一審裁判所に訴えを起こし、オクタイ・キョセ弁護士は申立書に次のように記した。
「1985年3月25日付のマティルド・マヌキャンさんの身分証明書は偽物である。書類表面のトルコ国旗が反転して印刷されていることから明らかだ。彼女の生年月日は、偽の身分証明書に記載されているものと合致しない。証明書の裏面にあるはずの『婚姻の有無』と『信教』の項目が、表面の下部に詰めて入っており、すべて手書きだ。マティルド・マヌキャンさんに、新しい名前と人格、そして全く新しい人生が作られてしまったかのようだ。」
■裁判所は公娼宿の証明書を要求
キョセ弁護士は申立書で、ケロぺ・チリンギル氏の戸籍も偽装だと訴え、次のように語った。
「ケロぺ・チリンギル氏の署名がある、スィリヴリ証書局が1979年に発行した株式譲渡証書には、チリンギル氏の身分証番号が316938と書かれている。一方、1989年発行の身分証には308678と記載されている。二つの証明書の発行年は24年違うが(原文ママ)、24年前の出生証明書の整理番号の方が大きい。毎回の身分証明書の更新手続きの後は、整理番号は後ろにずれて大きくなるはずであり、数字が前に進むのはおかしく、疑念を抱かせるものだ。」
ケロぺ・チリンギル氏とマティルド・マヌキャンさんの戸籍の訂正を求めた裁判の2度目の審議で、裁判所は中間判決を出した。イスタンブル県知事府と内務省宛てに文書を出し、マティルド・マヌキャンさんが長年にわたって経営していた公娼宿に関する全書類の請求を決めた。
■マヌキャンさんの遺産
マティルド・マヌキャンさんの遺産相続人を主張する36名は、遺産管理人によって彼女の遺産が公平に分配されることを要求している。その後、ケロぺ・チリンギル氏の娘であるドラ・チリンギルさんは、裁判所にマヌキャンさんの遺産を提示した。これが裁判記録にあるマヌキャンさんの遺産である。
―アンタルヤ県、アランヤ県、バルケスィル県に各5棟の五つ星ホテル
―キプロスに五つ星ホテル
―イスタンブルに工場2つ
―クナル島とビュユク島に別荘2棟
―イスタンブルに500室とオフィス70件
―ヤロヴァに数百の部屋と土地
―ムーラ県、コジャエリ県、エルズルム県、アダナ県に数十棟の建物と土地
―フランスの銀行口座に1億5千万ユーロ
―220台のタクシー
―計486の不動産、銀行口座、株と外貨
■ムシュル一族は分配を要求
マティルド・マヌキャンさんは2001年に死去した。その後、遺産を相続したいムシュル・ベキラン一族の構成員である36人は、2年前イスタンブル簡易裁判所へ訴え、相続裁判を起こした。オクタイ・キョセ弁護士によると、原告の36名は、イスタンブル、ムシュ、ブルサ、コジャエリ、イズミル、ヤロヴァ、そしてアイドゥンの各県に住んでいる。キョセ氏は、マヌキャンさんの過去に遡った全家族の戸籍調査のため、遺産相続裁判が行われるイスタンブル簡易裁判所が裁判記録を専門家へ送付したことを話し、以下のように述べた。
「古文書(旧字)の専門家と偽装鑑定者という二人の識者が、マヌキャンさんの戸籍が偽装されているかどうかを調査する。我々はあれが偽装されたものであると確信している。今は調査中だ。我々の主張が証明されれば、他の調査は不要になり、ケロペ・チリンギル氏の相続資格は無効となるだろう。」
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( 翻訳者:大谷菜々 )
( 記事ID:49558 )