レバノン:レバノンに対して改革の強制を企図する米国
2020年08月21日付 al-Mudun 紙


■米国によるヒズブッラーの首を絞めるための計画:腐敗組織の駆逐

【ムニール・ラビーア】

レバノンは、米国の態度に関する多くの言説で喧々囂々としている。レバノン人は自らの希望と願望に基づいて自分たちのスタンスを形成している。

レバノンと米国の態度

親ヒズブッラー派は、米国人らは後退の歩みを始めており、新たな解決策が準備段階にあるとみなしている。こうした見解はデイヴィッド・ヘイル米国務省中東局次官の態度に依拠しており、彼らは「かつてワシントンは、ヒズブッラーが代表する(歴代の)レバノン政府と複数回の協力を行った」「米国の関心は(政治)改革に集中している」と言っている。改革が実現した後は、ヒズブッラーが政権に参画していようがいまいが、米国がレバノン政府に支援を提供することを妨げるものはない。一方で反ヒズブッラー派は、ヒズブッラーを「変革されなければならない腐敗組織の筆頭」と表現したヘイル次官の発言が、ヒズブッラーを攻撃するものであるとみなしている。

レバノンの新たな顔ぶれ

米国の姿勢が多数の側面を帯びていることに疑いはない。誰もが、それらの側面を思うままに読み取っている。レバノン問題に関して米国の明確な見解が存在しないことを示すデータは多数ある。レバノンの崩壊がヒズブッラーの崩壊につながると考えている強硬派がいる。一方、レバノンの崩壊はヒズブッラーを強化するという第二の見方もある。データは、たとえ表現の仕方やアプローチの方法が異なっていたとしても、米国人が自分らの態度や圧力を譲歩することはなかったと示している。むしろワシントンは、レバノンで数多くの変革を引き起こすことを望んでいる。その変革とは、レバノンにおける現行の統治方法を変えるための強硬な政策を推し進めながら、政界の新たな顔ぶれを出現させ、古参らと並んで彼らを政権に参加させることである。

レバノン中央銀行口座の監査

ヘイル次官の発言のうち最も重要なものは、例えば以下の発言である。「レバノン中央銀行の口座を監査することは基本的改革のうちに含まれるという理解に基づいて、同銀行の口座の調査を実行すること」。ヘイル次官のこの発言は、「中央銀行は、制裁をくぐり抜ける方法で、ヒズブッラーに金銭的な利益を提供するよう力を注いでいた」とみなす米当局内部の見解に伴うものである。これによって、レバノンに対するさらなる圧力行使への扉が開かれ、レバノンの混乱と崩壊が助長される可能性がある。

一部の人々は、ヘイル次官の態度は、当局内の沈静と熟慮を呼び掛ける潮流に属する米国人高官(の見解)に由来する、計算された外交上の攻勢の一歩であると考えている。ヘイル次官は、改革という扉を通じて、ヒズブッラーとその同盟関係にある国家の包囲を試みている。ヒズブッラーが所有する兵器、そのレバノン国外の戦場からの撤兵、あるいはシーア派を排除しヒズブッラーの中で劣後させることと説明されうる「排除」に関わる談話のような、攻撃的なタイトルを用いる代わりとして、である。腐敗に関してのヘイル次官の発言は、ヒズブッラーだけに及ぶものではなく、武器の密輸と関税逃れの阻止にも言及している。

(後略)

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( 翻訳者:了源康平 )
( 記事ID:49795 )