ボアジチ大ブル学長のCVと抗議への反論
2021年02月05日付 Cumhuriyet 紙

ボアジチ大学学長に先日任命されたメリフ・ブル博士が世間を賑わせている。「ボアジチが世界トップ100の大学に入るよう最善を尽くします」という声明を出したブル博士の経歴が人々の注目の的となっている。それでは、メリフ・ブル博士はどのような人物で、年齢はいくつ、出身はどこなのか?ボアジチ大学のブル学長の経歴を紹介しよう。

先日官報で公表された人事決定により、ボアジチ、ベイコズ、パムッカレ、アンタルヤ科学、チャーの5大学の新学長が明らかになった。ボアジチ大学の学長に任命された、メリフ・ブル博士の経歴が人々の関心を集めている。ボアジチ大学の学生、ボアジチ大学を志望する受験生を始めとして、全国民が知りたがっているブル博士の経歴を、本紙は取り上げた。メリフ・ブル教授はどのような人物で、年齢はいくつ、出身はどこなのか、以前はどこで働いていたかなどの疑問に一つずつ答えた。それでは、ボアジチ大学学長のブル教授の経歴を紹介しよう。

■ボアジチ大学メリフ・ブル学長はどのような人物か?

1970年、クルッカレに生まれた。高等教育を中東工科大学産業エンジニアリング学部で修めた(1992年卒)。ボアジチ大学経営研究科の金融分野で修士課程、管理組織研究科で博士課程を修めた。

トルコ人の学者、政治家、現在はボアジチ大学の学長である。金融分野で博士号を取得した。戦略分野を重点とした研究実績がある。イスタンブル都市大学経営学部の学部長(2010年〜2016年)、イスティンイェ大学初代学長(2016年〜2019年)、ハリチ大学学長(2020年)を歴任した。また、公正発展党サルイェル市支部を立ち上げ、2009年に行われた地方選挙ではアタシェヒル区長候補に、2015年の国政選挙ではイスタンブル第1選挙区の国会議員候補に立候補した。2021年1月2日付の官報で発表された大統領決定によりボアジチ大学の学長に任命された。
教育修了後は、アンカラで兵員輸送機の製造を行う防衛産業企業FMC-Nurol社と、F-16戦闘機を製造するトルコ宇宙航空産業社(TUSAŞ)で勤務した。P&G社で工場長として、生産性と財務管理分野の業務に従事した。加えて生産・サービス分野で、いくつもの企業の経営戦略分野のコンサルサントを務めた経験を持つ。

ブル氏は、2002年に公正発展党のイスタンブル県サルイェル支部を設立した。公正発展党の県政において、経済分野の責任者としてイスタンブル副市長を務めた。2009年に行われた地方選挙では、公正発展党からアタシェヒル区長候補に立候補した。一方2015年の国政選挙では、同じく公正発展党からイスタンブル第1選挙区の国会議員候補に立候補した。

2003年〜2010年にかけて、ボアジチ大学とイスタンブル商業大学にて、ビジネス戦略・パフォーマンス理論の半期講義を受け持ち、2009年以降は通年の教員として勤務した。2008年に助教授、2016年には教授の職階を得た。2010年〜2014年に、イスタンブル都市大学経営学部の学部長を務めた。2016年〜2019年にイスタンブルのイスティンイェ大学の初代学長の任にあたり、2020年にはハリチ大学の学長に就任した。

2004年、国際競争分析機関(URAK)というNGO(非政府組織)で、その創設メンバーとして総合コーディネーターの任にあたった。2017年〜2019年には管理部門の長を務め、URAKでトルコの部門・都市別の競争分析を行った。2021年に大統領布告により、ボアジチ大学の学長に任命された。

■ブル学長から新たな声明

ブル博士は次のように発信した。「ボアジチ大学の学長になることは、私の長年の夢でした。何年も前、おそらく22年前に「政治の広場」(訳者注:テレビの討論番組)で、アリ・クルジャ氏(訳者注:同番組の司会)へ、実はこのことを話しています。この世界で、今までかなり多くのところで、とても多くの経験を積んできました。ボアジチ大学の学長に就任するという夢を持ちながら、長年キャリアを重ねてきました。今ここにきて、私のこの夢が実現したことをとても嬉しく思います。ボアジチへの出資者ならびに卒業生、学生の皆さん、教員の方々、そして更に周辺の小売店の方々とともに、私たちはボアジチ大学をもっとより良いものにしていきます。もちろん、ボアジチは今でもとても良い場所です。しかしながら、私の目標は、本当にボアジチ大学を世界のトップ100位の大学に入れることです。そしてこれを4年以内に実現できると信じています。そのため、決して辞任は考えておらず、またボアジチ大学をトップ100に入れるために最善を尽くします。」

■「辞任は考えていない」

メリフ・ブル学長は、任命対する抗議と辞任要求に関して、「ボアジチ大学を世界のトップ100位の大学に入れるという目標が私にはあります。そのため、辞任は全く考えていません」と述べた。

レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領がボアジチ大学の学長に任命したメリフ・ブル教授は、任命後に起こった抗議と辞任要求について、辞任は全く考えていないと述べた。ブル氏は、航空・宇宙技術フェスティバル(TEKNOFEST)でのイスタンブルの紹介イベントの開始前に新聞記者の質問に答えて、ボアジチ大学では、民主性の境界が尊重される限り、人々は自らを表現する権利を持っていると述べてこう語った。
「私はこれを最後まで許す学長です。しかし、他人の権利を乱用したり、他人を強制するということになれば、もちろん私もできるだけこれを防ぐように動きます。この民主的な批評文化を必ず守らなければなりません。これは我が国にとって非常に貴重であり、ボアジチ大学にとっても非常に貴重なものです。」

■「過激な方向へ持っていく者たちがいる」

ブル氏は、ボアジチ大学において、いくつかのグループがこの批判文化を過激な方向へ持っていっていると述べ、次のように続けた。
「先日の出来事においては、学長室のあるビルにある3つのドアが封鎖され、ビルの中で働く職員は、実際に21時まで外に出ることができませんでした。これについて警告がなされたにも関わらず、学生達は他人の自由を妨げるという振る舞いに至りました。この事態においてももちろん警告が行われましたが、彼らが封鎖を解除しなかったために、措置を講じる義務が生じました。昨夜(水曜日の夕方)はそのようなことはなかったので、学生たちは以前と同じように民主的に抗議を続けました。したがって、私たちはこの抗議の境界線をうまく描く必要があります。」

■「学長職は夢だった」

ある新聞記者の「辞任は考えられていますか?」という質問に関して、ブル博士は次のように述べた。
「ボアジチ大学で学長職につくことは、私のずっと以前から思い描いていた夢でした。もしかするとご覧になったかも知れませんが、何年も前、おそらく22年前に「政治の広場」で、アリ・クルジャ氏にそう話したことがあります。ボアジチへの出資者、卒業生と学生の皆さん、教員の方々、そして更に周辺の小売店の方々とともに、私たちはボアジチ大学をもっとより良いものにしていきます。もちろん、ボアジチは今でもとても良い場所です、しかしながら、私の目標は、本当にボアジチ大学を世界のトップ100位の大学に入れることです。そしてこれを4年以内に実現できると信じています。そのため、決して辞任は考えておらず、またボアジチ大学をトップ100に入れるために最善を尽くします。」

ブル氏は、ボアジチ大学には民主的な抗議文化が常にあり、自身より前に在職していた学長も似たような抗議に直面してきたし、自身もまた抗議にあっているが、これに対し敬意を表すると述べた。スレイマン・ソユル内務大臣が「私が大臣である限り、学長室に立ち入らせない」と表明したことについて指摘されると、次のように話した。

「間違いなく、学生達、そして教員達には、自己の考えを表現する自由があります。私は今までこれらに関して、反対の姿勢を微塵たりとも示しませんでしたし、そのような考えもありません。なぜなら、民主主義は、批判なき場所で発展することはないからです。民主主義にはゆずりあいの文化が必要です。『自分の言う通りになるか、否かだ』という論理、オールオアナッシングの論理は、正しい論理ではありません。内務大臣に感謝します。オールオアナッシング論理の抗議行動があった場合、そこでは当然それが必要とする防壁が築かなければならないからです。」

■「それは新設クラブ候補の1つでした」

ブル氏は、LGBTIクラブの新設プロセスの終了に言及し、次のように述べた。「LGBTはボアジチ大学の新設クラブ候補の1つであり、2年以上の間、候補でした。通常、大学は2年以内にクラブの継続または停止について決定を下します。LGBTの場合、この2年が過ぎました。大学当局は、2年が経過したものの、LGBTを公式クラブにすることを決定していません。最近の出来事では、カーバ神殿についての挑発行為と、その後行われたLGBTの部室の捜索で、LGBTに関する違法な出版物が発見されたことにより、新設手続きを打ち切らなければならない事態に至りました。」

■「目的はゲズィと似たような抗議行動」

ボアジチ大学で、メリフ・ブル博士が学長に任命されてから発生した抗議行動は、それはまた、政治面でも大きく扱われた記事となった。

トルコ大国民議会ムスタファ・シェントプ議長のコメント:これらの行動は専門家によって組織されていると思います。カドゥキョイではパトカーを蹴る人がいます。また、逮捕された人の半数以上は学生ではありません。これは、学長の任命などではなく、任命を口実としてゲズィ運動と同様の行動を組織することです。彼らはゲズィ事件の抗議運動と同じレベルに上げ、運動を街頭に広めようとしているのだと考えます。大学は、イデオロギー闘争の場ではなく、科学と研究の中心地です。

■「ボアジチへの支援はテロリズムを支援することです」

デヴレト・バフチェリMHP党首のコメント:ボアジチ大学でトルコの神経の末端で遊んでいます。数人の無自覚の学生の裏に隠れたテロ組織のメンバーが火を煽っているのです。悪党はボアジチ大学にしがみついて、私たちの国に挑戦しています。ボアジチ大学でのイベントを支援することは、事ここに至ってはテロリズムを支援することです。共和人民党(CHP)党首は、拘束された違法組織のメンバーに向かって、「私たちの子供たち、私たちの学生、そしてトルコの子供たち」と言っています。クルチダルオール氏は、気が狂ってしまったか、もしくは行政と政治をテロ組織の人質としてしまいました。トルコにはこのような子供はいません。彼らが子供や学生というのは、破壊者、野蛮人であり、彼らの目は血と憎しみで覆われています。背中を諜報員、暴君、闇社会へ預ける人は子供などではなく、取り潰されるべき毒ヘビです。違法行為を他の大学に拡大するために列に加わっている人々は、相応の代償を払うわなければなりません。ボアジチ大学の学長は、モスクの用務員ではなく、法に基づき任命された科学者です。学長殿は決して辞任すべきではありません。もし要求に応じれば、大学は完全に管理不能になります。私たちの学長は、副学長をはじめ、空席のポジションを任命しなければなません。実際、仮に妥協がなされれば、結果は悲惨なものになります。ボアジチ大学から、ゲズィあるいはコバーニー事件、そしてクーデター未遂事件の派生事件は起こりません。

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( 翻訳者:宮崎友裕 )
( 記事ID:50636 )