ファフレッティン・コジャ保健大臣が先週と今週公開した「県別感染者数」のグラフの中で最も注意を引いた点は黒海地方での増加であった。この原因は専門家がしばしば言及する「黒海地方変異株」なのであろうか。
県別感染者数のグラフで黒海地方のとりわけリゼ、トラブゾン、ギレスン、オルドゥ、サムスンの感染者の増加が著しかった。オルドゥがこのグラフで10万人につき感染者が228人で先頭に立つ一方で、他の黒海地方の県であるギレスン(217人)、トラブゾン(207人)、サムスン(202人)、リゼ(200 人)がそれに続いている。当然、以下のような疑問が浮かぶだろう。
・これらの県では感染者がなぜ増えたのか。
・黒海地方と他の県の間のこの非常に大きな違いはなぜ生じているのか。
・実際に黒海地方変異株に我々は直面しているのか。
・感染者の減少のためにどういった対策が取られているのか。
我々はこの全ての問いを当地で働く専門家へ投げかけた。
■トラブゾン:結婚式は行われ、村では密集した環境
トラブゾン医師会会長のキバル・ヤシャール・ギュヴェン氏は、最も大きな疑問は、対策が十分に取られていないことであると述べた。ギュヴェン氏によると、感染拡大の速度は人々の行動を基本的な要因としているとする。
「人々は週末には買い物すると言い、通りにいる。このパンデミックの時期に人々のほとんどは成すべきことを十分に行っていないと考えている。葬式や人の多い結婚式が行われ、特に週末に村へと足を運んでいる。村では同じ家に密集している。ここでマスクやディスタンスは少しも気をつけられていない。週の初めには街へと戻り、そして感染が増えている。最近、家庭内感染率の増加が見られ、村へ行くこと、同じ家に密集しているのが原因と考えている。」と述べた。
ギュヴェン氏はこの問題について県で増加する患者が変異株である可能性を想起させると述べた。また、起こりうる急速な感染に対しても対策を提案する。
「このタイプの感染が多いため拡大が急速になっている。黒海地方の町は互いに近接しているため町の間の動きが多い。この動きを減らすべきである。町の入口と町内でチェックポイントを増やすべきである。週末の村への往来を減らすべきだ。隔離者と接触者の管理をより厳格に行うべきだ。」
■サムスン:イスタンブルから戻る人々を受け入れている
サムスン5月19日大学医学部呼吸器学科のオウズ・ウズン教授は、この地域は多くの人々がイスタンブルへ移住し、イスタンブルがロックダウンされるこの時期に帰郷してくるのを受け入れている地域であると強調し、感染者の増加の原因としてこれを考慮する必要があると述べた。また、ロックダウンで村へと来た人々と長い冬を大人数の家族で集まっていることも大いに影響していると付け加えた。
サムスン医師会会長の感染症の専門家であるフンダ・ネスリハン・フルトゥン氏も、黒海地方の人々が集まって過ごす生活スタイルを好むこと、県間での往来が多いことが、根本的な原因となっていると考えている。フルトゥン氏によると、土日の外出禁止を村で過ごし、村ではさらに集って大家族で食事するといった要因が感染者を増加させている。
■サムスンでは変異株の感染数が多い
フルトゥン氏は変異株に関してもサムスンが危機に瀕していると述べた。
「変異株を特定するに別のPCR検査のキットが使われていて、この検査キットは通常の全てのサンプルのために用いられはしない。変異株の検査を行うのは疑いのある検査結果が出たときに決定される。ご存知の通りサムスンで検出された変異株の感染者数は非常に多い。また知っての通り変異株は発症力が同じだったとしても感染性はより高い。この影響を実際に家族全員やアパート全体、あるいは地区一帯に感染させたという形で目にすることができる。もちろん『変異株が原因で黒海地方で感染者が増加している』という主張は憶測である。なぜならこう発言できるデータが我々にはないからだ。変異株を検出するキットは全てのPCRラボでより広く使用されるべきである。」と語った。
■では何がなされるべきか。
オウズ教授によると、感染者数を減少させるために陽性患者は一週間病院に置かれる必要がある。
「新型コロナウイルス感染症では感染者のおよそ80%は非常に軽症であることが明らかになっている。このため入院しなかったり、あるいは入院させられない。記憶を辿れば、パンデミックの最初の時期、PCR検査で陽性であった患者の全員が入院させられ隔離されていた。感染者がピークに達した際、少々病床数が不足したため、この軽症者グループは自宅での経過観察という方向となった。どれほど感染者が家で隔離・待機しているかと考えたとしても、実際にはその通りにはなっていない。
この感染者が大人数の家庭環境で家族全員にまずウイルスを感染させている。ほとんどの感染者も家の中にとどまらず、外出していることが分かっている。彼らはドルムシュやバスの中や買い物をするときにウイルスを広めていて、このため感染者は減らないのだ。刑罰を実際にはルールに従っている人々が被っているのだ。そのため必ず全てのPCR陽性者は少なくとも一週間病院で隔離される必要があると考えている。
病院で十分な病床数が確保できないのならば、大学の寮をこの目的に容易に使用することができる。なぜなら全ての大学でオンライン授業がなされているからだ。こうするには簡単な調整作業がなされる必要がある。特にサムスンとその他黒海地方の県で、これをすぐに行うことができる。」
前述のフルトゥン氏も、最新のデータに則れば、東黒海地方の県に関しサムスンも含めた形で県と郡の間の移動制限のような、より徹底した対策をとることが必要であるという考えである。
■ギレスン:町に来た客人たちは戻ってはいかない
ギレスン医師会会長のセラミ・オクタイ氏は、「ギレスンでの感染増加の根底にある原因は社会生活上の特徴にある」と述べ、以下のことを付け加えている。
「つまり仕事の関係で中心部に住んでいるギレスン出身の勤労者や公務員の労働者たちは、パンデミックの時期においても村や地区、高原といった田舎固有の生活様式を捨てなかった。そのため週末は街の制限から逃れ、監視のない田舎で無防備に、対策を打たず人との接触を続けている。また、嬉しい日も悲しい日も友人・親戚関係者の中で密集し、濃厚接触をしながら暮らしている。」
オクタイ氏は家庭医から得た興味深いデータを我々に共有している。
「データによると、異なる町で暮らし、ヘーゼルナッツの収穫や訪問目的で我々の町を訪れたギレスン出身の人々の一部は元の場所に戻っていない。感染者の増加が変異株に関係あるかを示すデータはないが、我々の県で何人かの患者に変異株の診断がなされている。」と述べた。
オクタイ氏はギレスンで感染者を減少させるために採るべき対策も以下の通りあげている。
・ギレスンでの感染者を減らすために県のパンデミック委員会のルールに従って村と高原へと向かうことを禁止する。
・密集が見られる通りはHESコードを携帯し通行するようにする。
・婚礼、葬式といった社会活動は制限ルールに則る。
・自治体の葬式の告知は禁止する。
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( 翻訳者:岩坂翼 )
( 記事ID:50715 )