南欧諸国のサマーシーズン戦略は?
2021年05月19日付 Cumhuriyet 紙
経済の大部分を観光に依存している南ヨーロッパ諸国は、隔離免除や無料のPCR検査などの措置で観光客に信頼できる休暇の機会を提供するための努力の途中だ。
経済の大部分を観光に依存している南欧諸国は、来たる夏季(ハイシーズン)前にヨーロッパの観光客を誘致するために、熱烈なプロモーション活動を開始した。
EUの執行機関である欧州委員会によってニュースになった「ワクチン証明」の適用は未だなされていないが、南ヨーロッパ各国はコロナ流行期において信頼できる休暇の機会を提供するために、観光客に対し様々な簡易措置を提供する準備がなされている。
観光産業は、コロナ禍において最も大きな影響を受けた産業の中でも群を抜いている。特に欧米からの観光客が最も好んでいたトルコやフランス、スペイン、イタリア、ギリシャ、クロアチア、そしてポルトガルはコロナウイルスの影響で深刻な減収となってしまった。
観光産業において多数が、資金援助にもかかわらず経営を持続するためには厳しい状況にある。そのため来たる観光シーズンにおいては被害を少なくするために多くの国が感染拡大防止措置を著しく緩和することを決定した。
ワクチン接種を観光地域に優先して行っている数カ国は、隔離措置の免除や帰国の際の無料PCR検査の提供などの簡易措置の確保を進めている。
特に個人情報保護や、ワクチン接種を拒否した人に対する差別が起こりかねないという観点から議論が起こっていることから、ヨーロッパ全土でワクチン証明やデジタルグリーンパス(グリーン証明)の適用は未だなされていない。
そのため、フランスやイタリア、スペインやギリシャのような観光立国間ではヨーロッパの観光客を誘致するために熱烈なプロモーション活動が始まった。
フランス政府は、休暇に訪れたヨーロッパの観光客に対し出国前に無料でPCR検査を実施することを発表した。フランスのヨーロッパ問題担当大臣であるクレマン・ボーヌ氏は、ヨーロッパの観光客の1番の選択肢となりたいと話した。
この簡易措置は、多くのヨーロッパ諸国の国民がフランスを選ぶ重要な理由である。なぜなら。多くの国では渡航証明やPCR検査は非常に高額である。渡航目的のPCR検査はスウェーデンでは300ユーロ、フィンランドでは200ユーロ前後である。
スペインでは検査の金額は120ユーロ、ベルギーやオランダでも65ユーロからとなっている。このためフランスの決定は、高額な検査費用のため現在休暇の計画をしていない多くの人々の気持ちを変える原因となりうると伝えている。
南欧諸国のシーズン前の観光客に対してなされたいくつかの決定は以下の通りだ
イタリア
・観光客は、入国の際の5日間の隔離措置適用の免除
・観光客のために「コロナウイルス除菌」された安全な空港を開設
・感染者数は未だ望まれるような数値ではないが、カフェやレストランを再開
・観光地となっている島の住民に対するワクチン接種の優先
スペイン
・ヨーロッパ数カ国の国民に対し、入国の際のPCR検査陰性証明の提出義務の廃止
・観光地におけるコロナ予防策の著しい緩和
ギリシャ
・政府による大規模なプロモーション活動の開始
・予測よりも早い制限の解除
・休暇地域や島々におけるワクチン接種活動の優先
・計画よりも早いビーチの開設
フランス
・政府のヨーロッパ規模の広範囲なプロモーション活動の開始
・観光客に対する出国時の無料PCR検査の実施
・レストランやカフェ、遊戯施設、文化施設の再開
・観光客の密回避のためほぼ全ての村や田舎などでのイベント開催
クロアチア
・観光客に対する無料PCR検査の実施
・観光産業従事者へのワクチン接種優先
・「クロアチアで安全に滞在しましょう」というスローガンのもとプロモーション活動の実施
ポルトガル
・観光客にサービスを提供する目的での検査容量の増加
・コロナ予防策の著しい緩和
・イギリスを含む多くのヨーロッパ諸国の国民に対する渡航制限の解除
■観光客誘致活動はより加速する
ベルギー人の観光専門家であるRobrecht Willaert氏はNieuwsblad紙に、夏季シーズンが近づく一方で、南欧諸国間での「観光客誘致活動」がより加速していると話す。
ルーベン大学のジャン・ヴァン・デン・ボーグ教授も無料PCR検査や制限の解除と同時とともに、観光客を魅了するさまざまな方法を適用する予定であると話している。
ヴァン・デン・ボーグ氏によると、ドバイで何日か前に行われていたような「ワクチン接種休暇パッケージ」や、アメリカのニューヨーク市の全観光客に対するワクチン接種のような「ばかげた」アイデアもニュースになっている。
トルコはというと、文化観光省が製作したトルコの夏季プロモーション映像の中での「あなたは楽しんで、私はワクチンを接種した」というスローガンが大きな議論を生んだ。
極めて短期間にわたり公開された映像は、共有元のアカウントから削除されたがソーシャルメディアにおいて最も話された話題となった。
コロナ禍において観光客に対しては、トルコ国民よりもより多くの権利が見られる。ロックダウン期間中でも、観光客はビーチに行き、全土を観光するのだ。
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( 翻訳者:瀬戸慈弘 )
( 記事ID:51077 )