カブールからイスタンブルへ、ポップスター・アリヤナ・サイード、苦難を語る
2021年09月12日付 Milliyet 紙
アフガニスタンのポップスター・コンテストの審査員であるアリヤナ・サイードさんは、タリバンのカブール掌握後イスタンブルに脱出したときのことを説明した。サイードさんは、タリバンの検問を切り抜けるため 顔を隠して膝に知らない子供を乗せ、婚約者には次のように伝えていたという。タリバンが連行しようとしたら私の頭を撃ってほしい、と。
アフガニスタンで女性の権利を擁護したこととその服装を理由に、イスラム過激派の怒りにさらされている36歳のアフガニスタン人ポップスター、アリヤナ・サイードさんは、タリバンが支配権を掌握した後、首都カブールからイスタンブルまでどのように逃げてきたかを説明した。(ヒュッリイェト紙)
■最初の試みは失敗
歌手のアリヤナ・サイードさんはイスタンブルにあるオフィスでAFP通信に語り、愛するカブールから映画の題材にもなりそうな逃走を行った。サイードさんは、アフガニスタンでは、一時はファンがセルフィーを撮ろうするため道も歩けず、タリバンがカブール侵攻を始めた8月15日に最初の脱出に失敗していた。翌日、もう一度チャンスを試そうとしたものの、タリバンが空港周辺を包囲した。
■唯一の恐れていたこと
逃走を成功させた日については、次のように話した。「婚約者でありマネージャーのハシブ・サイードが、2台目の車で私と無線で連絡を取ろうとしていました。彼に、『もし私を生かしたまま連行しようとしたら私を撃ってほしい。頭を撃ってほしい』と伝えました。私が恐れていたことはそれだけでした。死ぬことは怖くありませんでした。」
■タリバンを切り抜ける計画
「空港に行くときは、タリバンの検問を通過するために、膝の上に知らない子供を乗せて、顔を覆って普通の家族のように見えるようにしました。膝に乗せた小さな子には、もし止められたら私は母親だと彼らに言うこと、私がアリヤナだとは言ってはいけないこと、私はフレシュタだと言いました。空港では人々が押し合っていました。子供や小さい赤ん坊もいて、女性たちは隙間に隠れていました。」
■アメリカ人を優先
「アメリカ軍の兵士たちは、アメリカ国民を優先し、アフガニスタン人避難民の通過を許可することを拒否しました。しかし、ある通訳が私の婚約者ハシブを知っていて、兵士たちに、命の危険がある大スターの婚約者だと言いました。こうして、私たちは飛行機に乗ることができました。」
■女性たちは以前より知識を持っている
歌手とその婚約者は、順にドーハ、クウェート、アメリカに行ったあと、オフィスがあるイスタンブルにやってきた。アフガン人ポップ歌手は、今のアフガン人女性たちは、タリバンが1996年から2001年に最後にアフガニスタンを統治していたときに強制的に学校や仕事を奪われた女性たちに比べ、より教育を受け知識を持っていると述べ、「アフガニスタンの女性たちは、20年前の女性たちと同じではない」と述べた。
■タリバンは同じタリバン
アリヤナさんは、さらに、今のタリバンは以前のタリバンと何も変わらないと述べ、「世界が、前とは変わった、または新しいタリバンではないということを早く理解してくれるよう望んでいます」と述べた。アリヤナ・サイードさんは、タリバンが来る前もから、過激派の顔を見ると自分たちが「刑務所にいるようだと感じていた」と言い、「タリバンの周辺にいれば絶対に自分の場所を見つけることはできません。なぜならタリバンは残忍だからです」と話した。
■J-LOはこんな経験をしなかっただろう
アリヤナさんは、ジェニファー・ロペスやビヨンセのような有名人たちから影響を受けたが、それでも彼女たちと直接対面することに賛成ではないと述べ、次のように述べた。
「考えてみてください。あなたがある音楽番組の審査員の一員だったとして、殺されないために防弾チョッキを着なければならないのです。私の人生は彼女たちのものとはまったく違うと思います。できることなら彼女たちのような人生を送りたかった。アフガニスタンのような戦争中の国で生まれたからといって、自分の運命をどうやって責めることができるでしょうか。」
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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:51566 )