1万5千ドルでアールからカナダへ
2021年11月29日付 Cumhuriyet 紙

トルコで望みがない[東部の]アールの人々は1万ドルから1万5千ドルを払って、非合法のルートでメキシコを経由してカナダへ入国していることが判明した。渡航した人々の中には、技師や医療関係者といった特殊技能のある職業に就く若者達もいた。共和人民党商工会代表団が問題を現地調査している際、人々は代表団に対して非合法な方法も説明した。

アールの人々が1万ドルから1万5千ドルの間と異なる金額を支払って、非合法なルートでカナダへ入国したことが判明した。入手した情報によると、人々はまず密入国業者と接触し、その後料金を支払いメキシコへ、メキシコからアメリカに移動する。アメリカからカナダに入国した人々は、そこで政治難民となる。カナダに入国した技師、医療関係者の人々は、最初は清掃業やベビーシッターなどの仕事を探す。

共和人民党ヴェリ・アーババ副党首を代表とする共和人民党商工会は、先週、アールの人々に[生活上の]問題を聞いたとき、仕事を見つける希望を抱いてカナダに不法入国したという情報も受けていた。

商工会代表団のメンバーである共和人民党ブルサ選出ヌルハヤト・アルタジャ・カユシュオール国会議員は、人々が物価高と失業に対して解決を国外移住に見出したと述べて、「一つの村で何十人もが高利貸しから借金をして国外に移住し、特にカナダで生活しようと努めるのを聞き知った。我が国をこの状態に変えた者たちはこうしたことに責任がある。私たちが目にしたものは、教育を受けた医療関係者、弁護士、看護師たちが国外で自立しようと努めていることである。」と述べた。

■メキシコ、アメリカ、カナダルート

人民の民主主義党アール選出ディラン・ディライェト・タシュデミル国会議員はというと、アールの人々が失業と貧困が原因で非合法な組織の手に落ち、人々から集めた大金によって、まずトルコからビザを必要としないメキシコに、メキシコから非合法なルートでアメリカとカナダに運んでいると述べた。

タシュデミル議員は次のように述べた。

■失業が希望を砕く

「アールでは、ここ1年間、国外特にカナダへの若年層の流出が問題である。わが県は、若年層の人口が多く、同時に若年層の失業率がトルコ平均以上である都市であ る。トルコの最も貧しい都市の一つである。行政サービス、医療、就業機会、文化活動の観点から条件はとても厳しく、根深い貧困にあえいでいる。若者は、[トルコの]大都市の建設現場で働かなければならない。建設現場の多くが不幸にも信頼性が低く、無保険で働かなければならない。毎年、何十人もの若者が、建設現場で死亡している。若者たちは、もはや、大都市で起こっている不公平、権利のはく奪が原因で国を後にせざる負えない。

■高利貸しから借金

[アール居住の人びとの]家族も大家族で、兄弟が多い。一人を国外に送り出すことは、残った家族を救う希望として見られている。希望の創出となっている。最近でもアールで一定のグループを通じて組織的行為が行われている。密輸業を通じて多額[を支払って]カナダに送るために人びとは多額の借金を負っている。高利貸しから借金をして、土地があるものは土地を売らなければならない。何らかの資産や家があればそれを売り、借金を負って、子供たちをこの密輸業者を仲介して国外に送り出す。多数の移動である。私たちが行った訪問でもこのことは多く話題となった。人々は私たちのもとに来てこれを話している。ほとんどすべての村で移住した何十人もの若者のことをである。

■通路のメキシコ

通路としてメキシコが選ばれる。メキシコはトルコからの訪問者にビザを要求しない。若者達は空路でメキシコに連れて行かれる。そこで密輸業者を介してアメリカに入国する。アメリカではキャンプで滞在する。密輸業者に多額の金を支払ってアメリカに滞在するか、カナダに移動する。かなりの組織であり、大きな金が動いている。

■キャンプに滞在

多くの場合そこで問題が生じる。特に私に連絡してくる。キャンプで身を寄せる場所を見つけられない。職がなく、移動先でも放置された。連れて行かれてアメリカのどこかの州に放置されている。私の所に移住者の家族から連絡が来るし、当人からもである。」

■特定の若者のことではない

共和人民党のアール県党代表のニハト・アスラン氏は、人びとが仕事を見つけるためにカナダやアメリカに行っていると述べ、「ある者は借金を負って行き、ある者は高利貸しに借金を負い、ある者は家畜や車を売って行っている。仕方ない、仕事が見つからないのだから。働くために行っている。常にカナダやアメリカのことが話題となる。注意してみると特定の若者がどこかに行ったということではない。5−6千人の若者が行ったということなのである。

■カナダで良い職業に就く者も

伝え聞いた所によると、カナダに行ったアール出身の人びとは協会をつくり、過日、大会さえ開いたという。カナダ在住のトルコ人の中には良い職業に就く者もいる。ソーシャルメディアでは在住者がつくったグループ同士が互いに支援し合うメッセージがあり、このことはトルコの労働・頭脳流出の模様を眼前に示している。メッセージを投じたあるトルコ人女性は、友人のため求人の呼びかけを行い、「凡そ1年カナダに滞在する友人のために仕事を探している。かつてあるレストランの厨房で働いていたが、最近辞めた。トルコでは看護師をしていた。清掃、ベビーシッター、美容、食事、裁縫などの仕事を急募している」と述べた。

■非合法で来たが、今は年間9万ドルの収入

カナダへの渡航を望むある人物は、投稿したメッセージの中で、本人が溶接工であり、観光ビザで渡航した場合、職が見つけられるかどうかを尋ねた。ある人物は次ような返事を投稿した。

「私は非合法な形でカナダに来た。ほぼ三年経った。当初、溶接工として仕事を始めたが、あなたと違うのは私には助けてくれる人がいた。兄達がいた。今、年間9万ドルに近い収入を得ている。アルゴン溶接で働いている。言い訳せず、無駄口叩く人びとに耳を傾けるな、夢を描くことは素晴らしいことだが、それを現実にするのはもっと素晴らしい。」

■技師が家の清掃のため求職

他のトルコ人女性が投稿したメッセージでは、一年半トルコで技師として働き、カナダには夫と共に来たとして、「こんにちは。私はシェイマ、カナダには最近来た。ILAC語学学校で学んでいる。トルコでは一年半程、技師として働いた。ベビーシッター、家の清掃、給仕などの職を求めている。ビクトリアパークに住んでいるが、[職場との]距離は重要ではない」と述べた。

カナダに合法的に渡航するために行った申請が退けられたある女性は、「こんにちは。医療関係者です。夫はカナダ人で、一月半まえに訪問ビザを申請した。昨日却下されたが、再申請するか裁判を起こしたらよい返事となるのか」と合法的手段を採った。

カナダに庇護を求めるある人物は、「カナダの難民手続きなどんなもので、どうやって申請できるのか」と尋ねた。

■強制捜査実施

アンカラ不法移民との闘い・国境管理支部は不法な方法でアメリカ、カナダへの入国を行う国際犯罪シンジケートを四ヶ月の間監視した後に強制捜査を実施した。警察関係者は、トルコ特に東部、南東部、他の県に暮らす人びとがアメリカやカナダに渡航するために合法的ではない手段を選択し、アールにいるシンジケート・メンバーのC.YとD.Aに辿り着き上記両国に渡航するため一人当たり1万ドルから1万5千ドルの料金を支払っていると情報を開示した。

シンジケートはまずビザの問題がないメキシコに渡航させ、そこからアメリカやカナダに連れて行った。組織メンバーによりアメリカ国境に近いシウダー・フアレスに連れて行かれた人びとは、長期間待った後に適切な時に国境を越えてアメリカに入り、国境にいるアメリカの警察官に投降する。不法な手段で入国した人びとのために作られたキャンプに連行されそこで引き渡される。犯罪組織の計画は、ここで関与して意思疎通のある弁護士を通じて人びとをキャンプから救い出しアメリカ入国が成就することである。カナダへの渡航を望む者は、そこから同じ方法で送り出される。

アンカラ不法移民との闘い・国境管理支部職員は、事実確認後にアンカラ、イスタンブル、アールで同時に強制捜査を行い、O.A、M.S.S、M.K、C.Y、D.A、İ.Uを逮捕した。彼らは罪を認めた。

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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:51924 )