米・カタール企業、トルコの反対に抗し天然ガス探査開始
2021年12月24日付 Cumhuriyet 紙
トルコとEUの関係悪化を原因とする天然ガス危機に拍車をかけうる進展が昨日あった。ギリシャのメディアは、トルコの反対と抗議にかかわらずエクソンモービル社・カタール石油会社が昨日採掘活動を開始したと報じた。
トルコにとって政治・経済・軍事面での同盟国であるカタールの国有石油会社とアメリカのエネルギー最大手・エクソンモービル社は、キプロス近海で天然ガスの採掘を開始した。南キプロスが一方的に宣言している13の経済開放区域(MEB)のうち、第10・11区域のみがトルコと北キプロスが権益を主張する区域と重複していない。在米ギリシャ人コミュニティが発行しているナショナル・ヘラルド紙は、カタール石油会社(別名カタール・エネルギー)とエクソンモービル社が第10区域で採掘活動を進めていると報じた。同紙には「トルコが権益を主張する海域に入り込んでいる状況で、トルコ海軍の戦艦と相対する危険がある」とある。
ナショナル・ヘラルド紙は、トルコが権益を主張する区域にはエクソンモービル社は入り込まないという米国国務省の声明を引用し、以前同地域に入り込んだイタリアのエネルギー調査船がトルコ軍の戦艦による威嚇行為を受けたが、それに対するイタリアの反応がなかったと書いた。
■ガス田の開削
2019年、エクソンモービル社・カタール石油会社が共同で実施した掘削調査で、1420億~2270億㎥に及ぶ天然ガスが発見された第10区域のグラフコス・ガス田に関して南キプロスがナブテックス(船舶向けの連絡装置)で発信を行った。これによると、2021年11月19日から2022年1月22日にグラフコス・ガス田で予備的な掘削調査が実施され、共同で探査ガス田が開削されるということだ。
さらに、EUのジョセップ・ボレル上級代表が、ギリシャの大陸棚をトルコの領域にまで伸ばすことに関し、トルコ政府が反対している国連の海洋法に関する国際連合条約を再び議題に上げた。
■地中海で何が起きているのか?
エクソンモービル社・カタール石油会社連合は、2017年4月5日にキプロス沖南東の第10区域で天然ガスの調査・採掘を行う権利について南キプロスと合意した。
トルコ共和国外務省は、キプロス沖で進められていた天然ガス調査について反対の意を示した。
エクソンモービル社・カタール石油会社連合が2018年11月15日に開始した掘削調査について、トルコ外務省のハミ・アクソイ報道官は声明を発表し「エクソンモービル社がキプロス島沖、南キプロス・ギリシャ政権が規定するところの『第10区域』で行なっている天然ガス調査活動は地域の安定に寄与しない」と述べ、トルコ政府は「ギリシャ政権による一方的な調査とそれによる利益を得ようとする活動に加担する企業に対する警告」を再度強調した。
ギリシャ政権の動きに対する対抗措置として、トルコは「ファティヒ」「ヤヴズ」と名付けられた掘削船をトルコ海軍の軍艦による護衛のもと地中海に派遣した。
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( 翻訳者:神谷亮平 )
( 記事ID:52039 )