対アルメニア国交正常化へ、ディアスポラは障害となるか?
2022年01月16日付 Milliyet 紙
トルコとアルメニアそれぞれの特使であるセルダル・クルチ氏とルーベン・ルビニャン氏が1月14日、モスクワで面会。この初会合でみられた前向きな雰囲気は、両国の外交関係正常化に向けて開始されたプロセス成功に希望がもてる要素となった。正常化プロセスは、二国間関係に加えて南コーカサスにおける平和的環境の確立にとっても重要となる。専門家らは、このプロセスに立ちはだかる最大の問題は、アルメニア人ディアスポラだろうと懸念している。
バイブルト大学教員のラミン・サドゥク講師はMilliyet紙に次のように話している。
「過去数年間にも両国間の交渉はあったが、会合後のアルメニア側の行動、つまり、いわゆるジェノサイドへの言及や、アゼルバイジャン領土の占拠、およびトルコからの領土割譲要求等により、あまり進展がみられなかった。
現在、ナゴルノカラバフの占領問題は解決しているので上記の問題のうち一つは解消した。 しかしその他はどうだろうか? 言い換えれば、アルメニア側はいわゆるジェノサイドに関する主張を放棄したのだろうか? 私はそうは思わない。
4月になればまた彼らはいつもと同じような振る舞いを続けることだろう。いわゆるジェノサイド問題は、アルメニアのロビー(ディアスポラ)の存在意義でもある。 したがって彼らはアルメニア政府に圧力をかけ続けるだろう。
■「期待の持てる会合」
アゼルバイジャン・アルメニア問題の専門家として知られ、公正発展党(AKP)シャンルウルファ県選出の国会議員でもあるハリル・オズシャヴル教授も、この件を次のように評価している。
「30年ぶりの会合は非常に期待の持てるものだったと考えている。レジェップ・タイイプ・エルドアン大統領は2006年からずっと、「いわゆるジェノサイドの疑惑を共に調査したい」として合同歴史委員会の設立を呼びかけてきた。しかし、アルメニアはこれに決して同意しなかった。アルメニアは経済をはじめ、あらゆる面でロシアに依存している国家で、小麦でさえも92パーセントがロシアからの輸入である。そしてアルメニアはロシアにとって重要な緩衝地帯に位置する。ディアスポラには2本の越えてはならない線(譲れない2つのレッドライン)がある。ひとつはジェノサイドの主張で、もうひとつは領土の主張だ。ディアスポラは、アルメニア国内で、政権や世論に対して、ジェノサイドの主張を決して後退させないよう圧力をかけている。さらに彼らはトルコ東部領土を西アルメニアと呼ぶ。私は、もしロシアがアルメニアに対する権力を行使し、アルメニアがそれらの(ジェノサイド等の)主張を放棄した場合、トルコとアルメニアの関係再構築に向けた偉大な一歩を踏み出せると信じている。トルコからのシャトルトレード(自由往来交易)はアルメニア国民にとって重要だ。トルコとの関係改善は、アルメニアにとって最大の利益をもたらす。 今回は以前のようなナゴルノカラバフ問題がないため、さらに希望がもてる。つまり交渉プロセスにとって障壁となりうるのは、ジェノサイドの主張、この問題に対するアルメニアの姿勢、そしてディアスポラの圧力の三つである。
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( 翻訳者:原田星来 )
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