ロシア・ウクライナ問題、トルコの役割
2022年01月28日付 Cumhuriyet 紙
ロシアとウクライナの間で続く緊張について批評したネジャト・エスレン元准将は「この緊張を抑えるためには、アメリカとNATOの影響力を遠ざけウクライナとロシアが共同で解決策を探す必要がある」と述べた。
アメリカとロシアの間ではウクライナ情勢に関する会談が続いているが、最終的な解決にはまだ至っていない状況だ。
最新の情報によると、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は「ウクライナと戦争をすることはないが、我が国の国益を損なうような結果は許されない」と述べたとのことだ。
仲裁者の役割を担うトルコの側では、メヴリュト・チャヴシュオール外相が昨日ロシアのウラジーミル・プーチンのトルコ訪問に関する声明を発表した。チャヴシュオール外相は「我々の望みはウクライナとの対話が続けられることだ」と述べた。
本紙の記事でロシア・ウクライナ間の緊張に関して評価してくれたネジャト・エスレン元准将は、ソ連崩壊後ロシアの国力が弱かった間、アメリカがNATOを拡大しロシアの包囲を図ったと述べた。現在この包囲網はポーランド⇒ルーマニア⇒黒海と延びている。
■黒海をNATOの内海にする望み
エスレン氏は、アメリカがウクライナとジョージアをNATOメンバーに加え、またベラルーシの影響力を弱めることでこの包囲網を広げ、黒海をNATOの内海にすることを望んでいると強調した。
エスレン氏は、ロシアがNATO拡大を生存に関わる安全保障面の脅威とみなしているとしたうえで「ウクライナはロシアとアメリカ・NATOの間で緊張に晒される地域となっている。プーチン大統領は以前10万人の軍勢をウクライナとの国境地域に派遣し、その後アメリカに文書で安全保障を要求した」と述べた。
エスレン氏、問題の要求の大枠を以下の通り列挙
・アメリカはNATOへの加盟国拡大を終えるべき
・ウクライナはNATOに加盟すべきでない
・NATO連合軍と軍事システムは1997年時点の水準まで削減されるべき
・ウクライナはミンスク議定書の条項を履行すべき
■NATO内部の連携は不十分
エスレン氏は、ミンスク議定書のプロセスの中でアメリカはロシアがウクライナを占領するだろうと述べており、一方でロシアはそのような意図はないと述べていたことに着目し「この条項の中でNATO内部の連携が不十分だった」と述べた。
エスレン氏は、ウクライナがアメリカとロシアの間の闘争の現場となっていると説いたうえで、アメリカとNATOがプーチン大統領のこの提案を受け入れなかったと述べた。
エスレン氏「この局面で答えを探すべき重要な問いは…」
・ロシアが望む譲歩を引き出せなかったことで、今後のプロセスはどう進んでいく?
・プーチン大統領はこの可能性を考慮しどのような動きを計画している?
・ロシアが軍を撤退させるには、どのような譲歩があれば満足か?
・もしくは、議定書の有効期間一杯で緊張状態が終わるのか?
■「トルコはどちらの側にもつかないべき」
エスレン氏は、トルコはNATOメンバーである一方でロシアやウクライナとも黒海を挟んで隣接しているため、両国間の緊張を注視しているとし、次のように述べた。
「トルコはこの緊張に置いて、決してどちらかの側についてはならず、モントルー条約を遵守するべきだ。この緊張を収めるために、アメリカ・NATOの影響力を遠ざけ、ウクライナとロシアが共同で解決策を探す必要がある」
エスレン氏は最後に「アメリカとNATOがロシアを信用していない中で、ウクライナにNATO加盟の意図がないことを明らかにすることでこの緊張を収拾することができる。このため、トルコにとっても仲介役をこなすことが重要になる」と述べた。
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( 翻訳者:神谷亮平 )
( 記事ID:52328 )