在アンカラ・ウクライナ大使「最善の対応はNATO加盟承認」
2022年02月23日付 Milliyet 紙
ウクライナの在アンカラ大使ヴァシーリ・ボドナルは、テレビで生放送された記者会見においてロシアが様々なルートから自国を攻撃する可能性があると述べた。ボドナル大使は「ロシアは侵略軍を送っている」と述べた。また、ロシアへの最善の対応はウクライナのNATO加盟によって与えられるだろうと述べた。
ウクライナ大使ヴァシーリ・ボドナルは、大使館で開いた記者会見でドネツクとルガンスクに対するロシアの判断に関して声明を発表した。ボドナル大使はロシアが当地域へ軍隊を派遣し、それによってウクライナ領土の一部の占領を公的に恒常化することを望んでいると述べた。
ボドナル大使は「緊張が最大に高まった危機は現在占領されているドネツクとルガンスク地域の一部の場所に存在する。ウクライナはこうしたロシアの侵害を解決するために外交ルートを確認している。我々はロシアに対して取られる制裁決議を歓迎している。ロシアの示した侵略行動が激化するにつれて、これらの制裁が強化されるよう望んでいる。これに関連して、ウクライナが主権をもつ領土をロシア議会が承認した件で、議会で投票したロシア人国会議員達に対しEUの制裁を課すことも非常に効果的である。他の政府も侵略者であるロシアに対してそのような制裁を検討するべきであると確信している」と述べた。
■「戦争回避のために力を尽くしている」
ボドナル大使は、ウクライナ軍と国民の両方が自国を守る準備ができていると強調し、「我々は戦争を望んでいないし、戦争を煽っていない、ということを今一度強調しておきたい。戦争を回避するために全力を尽くしている。さらに、ウクライナ軍が強力であればあるほど、ロシアが攻撃する可能性は下がると確信している。そのため、ウクライナへ軍事装備とあらゆる支援を提供することが重要だ。もう一つの重要な問題は、ウクライナで財政上の安定が確保されることである。これについて、金融安定基金を支援することが我々にとって重要である。ウクライナがサイバー攻撃に苦しめられないことが必要だからである。平和的な手段の選択肢について語るのなら、制裁は最後の手段である。制裁はもちろん効果的だが、誰もがこれに従うわけではない。 我が歴史を振り返れば、現在国際社会からウクライナへ最も強い支持率が見られる。この文脈では、制裁のみでは効果的ではない。ウクライナの防衛能力も強化される必要である。その際、安全問題への解決法が見つかる。ウクライナは武力でロシアの侵略に立ち向かう唯一の国である」と述べた。
■「最善の対応はウクライナがNATOに受け入れられることによって実現する」
ボドナル大使はロシアのウラジーミル・プーチン大統領が出した声明によって提起した要求については、次のように述べた。
「あなた方全員、プーチンが提起した要求を聞いたことがあるでしょう。率直に言って、ロシア安全保障委員会が1978年に行った会合に似ている。まさにそこでアフガニスタン派兵の決議がなされたように、あなた方はその結果を既に知っている。また、ウクライナへの攻撃と戦争といった考えはロシア社会の中で一般的ではない。現在、その可能性を排除するものではないが、恐らくこの先いつの日かこれらの事件を推進した政府を現在のロシアの人々が裁くことになるであろう。特に今の行為を許すべきではない。こうした行為への最善の対応、侵略を止める点で最善の方法は、ヨーロッパ大陸の安全を確保することだ。これに対する最善の答えは、ウクライナがNATOに受け入れられることによってに実現する。ロシアが『我々は冷戦時代へ戻った』という言葉を信じないよう求める。ロシアの侵略行為はウクライナがNATOとの関係で中立の立場をとっていた時期に始まっていた、このことを思い起こしていただきたい。特にヨーロッパでグレーゾーンが存在しており、こうしたゾーンが存続していることが、ロシアが様々な国を侵略することを助長している。全般的に解決策がない限り、ヨーロッパに対するこうした侵略は続くだろう。ウクライナが引き受けたこれらの責任と義務を担い続ける、このことを信頼してほしい。もちろん、ウクライナと関わりのある世界の様々なパートナーがこれに沿って行動するよう要請する。エルドアン氏がかつて発言した『世界は5つの国連常任理事国より大きい』という表現は、現在のウクライナではかつてないほど妥当する言葉である。」
■「我々はエルドアン氏の調停案を支持する」
ボドナル大使はロシアへの制裁が効果的となるかどうかについて、「問題の制裁が2014年に実施されていたならば、我々も非常に嬉しかった。一部の西側諸国はロシアと通常どおり取引関係を確立しようとしている。エルドアン氏の調停案を我々は支持する。エルドアン氏はロシア側とも良好な関係を持っている。我々が提案した外交的手段を進めば、ロシアとの現在の問題が解決されると信じている。戦争は全員に害をもたらすだろう。トルコはウクライナともロシアとも貿易関係があるため、巻き込まれる。地域でこのように軍事活動が活発になりエスカレートすると、地域の経済、安全保障の状況に害を及ぼすだろう。ここで重要なことは平和が広がることであり、お互いを銃身からではなく対話で見つめることである」と述べた。
■「我々はあらゆる交渉に参加する準備がある」
ボドナル大使は、アンタルヤ外交フォーラム(ADF)にロシアが参加する予定であることに関しても、「ADFを含む、あらゆる交渉形態にも参加する準備がある。こうした我々の立場は公式にも非公式にも発表した。平和の鍵は現在ご存知のようにプーチンだけにある。武力侵略の拡大の決断も、交渉のテーブルに戻る決断も彼にある。ロシア側からのあらゆる発信を待っている。我々が行った調査によると、彼らには全面攻撃に入る十分な可能性はないが、もちろんロシアは局所戦、一部の地点で挑発行為を行う準備ができている。ロシア側が述べた声明から判断すると、ルガンスクとドネツク州の占領を継続することを望んでいる。公式の発表ではこうである。我々は最悪のシナリオに対しても準備が出来ている」と語った。
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( 翻訳者:伊永勇人 )
( 記事ID:52664 )