「戦時のボスフォラス海峡通過はトルコが決定権」に疑いなし
2022年03月03日付 Milliyet 紙


ロシアがウクライナへの軍事作戦を始めてから最も懸念されている問題の筆頭がモントルー条約の条項及び事態がどのように推移するのかである。大統領府の安全保障・外交政策委員会のメンバーであり、アルトゥンバシュ大学の学長であるチャール・エルハン教授は、本紙に対してモントルー条約を以下のように評価した。

「モントルー条約は解釈の余地を持たない。当条約によれば戦時と平時によって運用は異なる。黒海沿岸諸国の状況がそれ以外の国々と明確に異なることが記されている。黒海に面していない国々が大型の戦艦または航空母艦を黒海に運び込めないように保証されている。」

 エルハン教授は、戦争とみなされる状況下では戦争当事国の戦艦はボスフォラス海峡を通ることが出来ないが、戦争に参加していない黒海沿岸諸国は平時同様に船を通過させることができるとする。同教授はさらに「しかし、船籍港から離れて一時的な任務のためにシリア沖に向かった戦艦はもとの船籍港に戻ることが出来る。ただし、バルト海を船籍港とする船はというと、現状ではボスフォラス海峡の通過が禁止とされている。また、国連安全保障理事会が判断を下した場合及びトルコが軍事援助の条約を締結している場合は、戦艦の通過が許可される」と述べた。

 「モントルー条約によると、黒海に面していない国は、戦艦をボスフォラス海峡を通過させるには、15日前までにトルコに申請し許可を得る必要がある」と話すエルハン教授は、以下のように述べた。

「黒海沿岸諸国は7日前までに通行許可を取る必要がある。アメリカ、イギリス、フランスをはじめとした黒海に面していない国は、ボスフォラス海峡を通って黒海に出る戦艦の重さを8000トン以下に留めなければならない。またボスフォラス海峡を通行する戦艦は21日間過ぎたら黒海を出なければならない。その際、ボスフォラス海峡のみならず、マルマラ海、チャナッカレ(ダーダネルス)海峡も通過して出ることが義務付けられている。21日間が経過してから再度、通行許可を取り、入ることが出来る。アメリカ、イギリス、フランスといった黒海に面していない国々の航空母艦や駆逐艦は、人道目的だとしてもボスフォラス海峡を通行することが出来ない。

 モントルー条約によれば、トルコが戦争当時者である場合、あるいはトルコに戦争が差し迫っている状況下では、ボスフォラス海峡の監督権はトルコに属する。トルコは、開戦した場合、ボスフォラス海峡の通過の有無を決める専権がある。このような状況下で、トルコは通過する船を選定できる。
 
 同様に、ある国に最後通牒が伝えられた場合は、ボスフォラス海峡の通行は全てトルコの管理下となる。NATO加盟国はボスフォラス海峡の通行に関する権限は持っていない。しかしNATOは干渉はでき、トルコも関係している場合、ボスフォラス海峡に関する権限の問題はトルコにとって有利に展開する。」

■黒海に面する国々
―トルコ、ロシア、ウクライナ、ブルガリア、ルーマニア、ジョージア
―トルコ、ブルガリア、ルーマニアは黒海沿岸諸国かつNATO加盟国でもある。

 エルハン教授は、核戦争ないしは第3次世界大戦が勃発する可能性を否定する。そして「第3次世界大戦は起きない。今起きているのは『ロシア対世界の戦争』である。ロシアの同盟国はベラルーシ以外にいない。中国さえロシアの味方をしていない。プーチン大統領が今後もっと賢明な行動を取り、全世界を敵に回すのをやめるだろうと考える。プーチン大統領が今の外交政策を継続したら、ロシアは分解し瓦解する」との評価を行った。

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( 翻訳者:山下鈴奈 )
( 記事ID:52791 )