トルコ外相、フィンランド・スウェーデンは「テロ支援国」
2022年05月15日付 Milliyet 紙
フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に関し、トルコのチャヴシュオール外相は、「トルコとしての姿勢を明確にした。フィンランドおよびスウェーデンとの会談で、トルコ側の懸念が払しょくされるような提案がなされた」と述べた。
ドイツ訪問中のメヴリュト・チャヴシュオール外相が、NATO加盟国外相らによる非公式会合後に報道機関に向け声明を発表。
チャヴシュオール外相は記者会見で、ベルリンで開催された、NATO加盟国外相会合(非公式)に出席したことを明かし、「ご存知のように、NATO加盟国外相会議と国防相会議は年に二度開催される。今回、ベルリンで非公式の外相会合が開催されたのは初めてのことで、ホスト国ドイツに感謝している。本日の会合で合意されたとおり、今後も年に一度は非公式外相会合が開催されることになる。これは昨日、今日と開催された非公式会合が非常に生産的だとわかったからだ。友好的な雰囲気の中、現状の安全保障状況とあわせてNATOの将来に関する問題について評価し、意見交換を行った」と話した。
同外相は、昨夜(5月14日)のワーキングディナーでも非公式な形でNATO拡大について議論がなされたとし、「このワーキングにはNATO加盟が話題となっているフィンランドとスウェーデンの外相も招待された」と述べた。
■「前半セッションではウクライナの状況を協議
チャヴシュオール外相によれば、前半セッションではウクライナの状況が協議された。同外相は、「今朝(5月15日)の前半セッションではウクライナの状況が協議され、後半セッションは、6月にマドリードで開催されるNATO首脳会議について議論がなされた。この首脳会議では、NATOの戦略コンセプトに関する文書が承認されることになっている。本日、この戦略コンセプト文書に関して、トルコおよび他の同盟国がそれぞれの見解(草案がある)と具体的な提案を共有する機会をもった」と話した。
■「懸念事項についてまとめた」
チャヴシュオール外相は次のように記者発表を続けた。
「先ほど、昨晩のNATO拡大に関するワーキングディナーにスウェーデンとフィンランドも参加したと述べた。我々はこの件に対するトルコの姿勢を明確に述べた。トルコはNATOのオープン・ドア(門戸開放)政策を長年支持してきた。特にジョージア、ウクライナ、ボスニア・ヘルツェゴビナの加盟にはNATO加盟国の多くが反対するなか、トルコは原則、オープン・ドア政策を支持し、首脳会議や外相会議等、あらゆる機会でそのことを強調してきた。 NATOはその名の通り同盟であり、統合体や国際機関ではない。したがって、ここでは同盟の連帯が非常に重要となる。特に、我々が直面している脅威に立ち向かうには、連帯と相互の支援も重要となる。レジェップ・タイイプ・エルドアン大統領は金曜日に、上記2カ国のNATO加盟見込みに対するトルコ側の姿勢を世論と共有した。当然、その反響はここにまで届いた。我々も、そうした姿勢をとるに至った背景を会議でかなりはっきり説明した。
とりわけ上記2カ国は、テロ組織であるクルド労働者党(PKK)およびクルド人民兵組織(YPG)やその構成員と会合をもち、特にスウェーデンはPKK/YPGに武器援助をおこなっている。そうした我々の懸念事項をすべて明らかにし、トルコが(フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に)反対する理由を明確に述べた。我々が収集した写真やその他の書類とともに、その理由を明確に説明した。
つまり、これらの国(加盟希望国)のうち、またNATO加盟国のうち、現状、上記のようなテロ組織と接触したり援助したりしている国、あるいはトルコに対して特に防衛産業製品の輸出に制限を課している国などは同盟の精神に反しており、そうした姿勢を彼らは放棄すべきだと説明した。その後、上記二カ国の外相と三者協議を行い、情報を一般にも共有した。さらにここでも、トルコが懸念するポイント、テロに対して彼らが行っている援助、テロ組織構成員との会合といった点について、詳細かつ各書類も整えて、改めて明確にし、トルコ側の考えを伝えた。」
■ 「トルコの懸念は正当」
チャヴシュオール外相は、トルコの懸念は正当なものであるとし、次のように述べた。
「あわせて、先ほど言及した輸出制限についても話した。残念ながら上記の二カ国はトルコに対する防衛産業製品の制限を継続させている。つまり輸出許可の点で制限が続けられている。NATOへの加盟を考える国が、NATOの同盟国に対して制限を課したり、あるいは許可を与えないというのは容認しうる状態ではない。普通なら、こうしたことは敵対する相手に対して行われるはずで、制限というのは敵と見なす国に対してかけられるものだ。
我々はそうした点への懸念を表明し、我々の考えを伝えた。彼ら側からいくつか提案があった。トルコの懸念を払しょくするために何ができるか、どのように動けるかといった提案だった。その提案は重く受け止めたうえで、それでも我々の懸念はまったく正当かつ明白だ。我々は、どんな形であれNATO拡大に反対しているわけではなく、テロを支持し、トルコへの(制限を)許すような政策をとる国々がNATOの同盟国であってはならないと信じている。そのため、この姿勢をはっきりと示した。昨夜の話し合い、そして今朝の別セッションでも、トルコの多数の友好国が、上記二カ国のNATO加盟に支持を表明しつつ、一方でトルコの懸念も理解し、これらは対処されるべきだと述べてくれた。
そうした発言をしてくれたすべての同盟国にも別途感謝したい。この方向性で、NATO加盟国は措置を講じる必要がある。結果としてそれが昨夜の話し合いにつながった」と語った。
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:53448 )