衣料関係者、湾岸戦争期もこれほど酷くなかった
2022年07月11日付 Cumhuriyet 紙
トルコにおける衣類生産の重要な中心地のひとつであるイズミルで原材料費の高騰と急激なインフレが原因で深刻な危機が起こっている。生産者は、価格が1年で4倍上昇し、6ヶ月で3回値上げが行われたと強調し、以前にこのような時期はなかったと注意を引いた。
イズミルで、特にシャツ、ブライダル、パンツといった繊維製品の動向を示すミーマル・ケマレッティン通りの卸売業者と生産者は、市場の条件に苦しんでいる。
価格が1年で4倍上昇したと強調したシャツ生産者のムザフェル・アルトゥンソズさんは、「小売価格で一枚のシャツが約350リラから400リラである。つまり、人々は現在の最低賃金、給料でどうやってシャツを買うのか。パンツが700リラから800リラである。つまり、私はこの仕事についていなかったら、パンツやシャツを買えない。購買力がない。」とする。
今年ほど厳しい年はなかったと述べたラマザン・アルトゥンプナルさんは、「生地を準備する時に、まず私たちが衝撃を受ける。その後、商品を店に並べてお客が価格を知ると彼らが2番目に衝撃を受ける。」と述べた。
■布の1m当たりの単価は4倍近く上昇
18年間シャツと関わる仕事に従事していると述べたイルカイ・クルダシュさんは、以前は工場から長期の支払い期間で布を買うことができたが、最近は市場の混乱と不透明性が原因で前払いに変わったと述べた。価格の急激な上昇があると述べたクルダシュさんは、「私たちが昨年買った最も高い布の1mの単価は20リラ程であった。しかし、現在は70リラである。勘定は明らかである。これとともに労働者の賃金も100%を超えて上昇した。これも自動的に商品に反映している。60リラから70リラで売られていた最高値の商品が、160リラから170リラに上昇している。」と述べた。
■お客に価格を提示するのを躊躇する
クルダシュさんは、シャツの価格が昨年比80%から120%の間で増加していると強調して次のように述べた。
「現在、シャツの価格が130リラから170リラの間である。お客と1対1の関係で売っている商品である。しかし、お客に価格を提示する時に遠慮がちになるくらい価格が上昇している。つまり、コストは明白なのに、私たちは遠慮して値段を告げている。現在はスーツよりも1着のシャツの方が困難である。スーツはより早くより多く工場製品化されているから。しかし、私たちのアトリエでシャツは最低でも60人が制作に携わる。つまり、この工程のうち脇縫い、襟、袖口というと、少なくとも40人から50人、さらには60人が携わる。
信じてほしい。天然ガス、電気の高騰を理由に以前は1年に1回あるいは2回値上げをしていた。しかし、私たちは現在6ヶ月で3回目の値上げを行った。昨年は、シャツが80リラから100リラの小売価格で売られていた一方、今年は300リラである。突然上昇した。これを買うのは中産階級である。100リラから300リラへ価格が上昇すると不等な値上げの様に見える。しかし、大型ショッピングセンターやメーカー販売店を訪れた時、もっと高い。」
■以前は年間の価格を明らかにできた。現在は2、3月が限界
別のシャツ生産者であるアフメト・サルタシュさんは次のように述べた。「材料費が継続的上昇している。電気代の値上げ、天然ガスの値上げ、賃金への値上げ。以前、私たちはアトリエ間で年始に話し合い価格を合意し、その年の終わりまで通用した。しかし、現在、この合意は2ー3月が限界である。現在、この急激な最低賃金上昇が原因で再び話し合いが必要に思える。もはや、トルコリラでは全く布を買わない。現在はもう為替に基づいている。布を米ドルで買ったならば、米ドル[の為替変動]を通じて値上げする。全ての問題はこれである。経費が非常に増えている。今回は製品価格が高騰する。シャツが売れるのか売れないのかと私たちは恐怖の中にいる。昨年は52リラで売っていたシャツが今年は152リラである。しかし、この価格で売っても利益を得られない。」
■湾岸戦争期でさえ、これほど酷くなかった
35年間この業界に身を置いていると語るムザッフェル・アルトゥンソズさんは、「信じられない規模で経済的支障が生じている。以前に湾岸戦争を経験した。平価切り下げ、タンス・チルレル期を経験した。でもこれほど大きな問題が生じたのは記憶にない。今日の価格を見てみると、三倍、四倍となっている。でも私たちが困っているのは、原材料の高騰と働く人の賃金が安いことである。これの均衡が取れない限り、事態は常に悪い方に向かうだろう」と語った。
■この仕事についていなかったら、パンツやシャツを買えない
アルトゥンソズさんは、原材料費が4−5倍となったと述べる中、次のように続けた。
「現在、小売価格で一枚のシャツが約350リラから400リラである。つまり、人々は現在の最低賃金、給料でどうやってシャツを買うのか。パンツが700リラから800リラである。つまり、私はこの仕事についていなかったら、パンツやシャツを買えない。購買力がない。家族、子供がいる。子供たちは大学に行く。家賃。どの金で買えるというのか。蓄えもない。この条件でどうやって生きぬけと。ただ働いているだけだ。手にする給料でやりくりしている。
一塊のチーズは100-110リラ、その値段も一週間続くか、それ以下か。チーズだけでこうだ。油、チーズ、米、スパゲッティ…。最も簡単にお腹をいっぱいにする方法はスパゲッティである。今はスパゲッティを買うのさえ困っている。人々は何を食べたらいいのか。誰か出てきて言えばいい。こういう状況の人々は、これを食べたらいいと言えばいい。そしたら私たちもわかるから。原材料費が常に上がり続けて、人々はどこまで耐えればいい。月額最低賃金に行われる中間的な引き上げはいつ何時も人々を満足させない。賃金が引き上げられる限り、他の物の値段にも値上げが行われるから。何も変わりはしない。3の引きえげで5の値上げのものを購入、5なら10だ。こうやってどうして釣り合いが取れるというのか。電気代、ガソリン代、米ドルの価値が落ちない限り、今の経済が是正されるチャンスはない。」
シャツ生産者のラマザン・アルトゥンプナルさんは次のように述べる。
「15年間、この業界に身を置いている。父から仕事を引き継いだ。長年、何らかの影響を受けてきたが、これほど苦しんだのは記憶にない。布を買うたびに、以前の値段と異なっている。原材料費では偏差が激しい。全ての支払いが米ドルに転換される。売り上げた物の場所に新しい製品を置くことができない。仕立ての注文ができず、客を見つけるのも苦労している。つまり、今年ほど苦しんだ年はないということだ。Tシャツは現在卸しで70リラあたりで、シャツは90-110リラくらい。昨年Tシャツは20-25リラで、シャツは40-45リラくらいだった。今年は2-2.5倍の値上げである。
利鞘も落ちた。値段はこのように上がっていくが、過去には15%くらいの利鞘を得ていたが、今年は大半の品物で10%さえ見ることはない。もちろんのこと質も落ちている、仕方なく。売り上げも減ったから。かつてのような売上はない。止むを得ない所に品物を納めようとしている。もちろんも皆[値段に]驚いている。私たちはまずその驚きを布業者のところで経験している。生地を準備する時に、まず私たちが衝撃を受ける。その後、商品を店に並べてお客が価格を知ると彼らが2番目に衝撃を受ける。物の値段に慣れるよう努めている。」
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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:53733 )